三井化学 ヨウ素系抗菌・防カビ剤に抗ウイルス効果確認

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2021年12月1日

抗ウイルス効果を確認した「ヨートル」シリーズ。写真左が「ヨートルDP95」(粉状)、右がシクロデキストリンでカプセル化し水溶性を付与した「ヨートルDP-CD」(水溶液)

 三井化学はこのほど、ジヨードメチル‐p‐トリルスルホン(DMTS)を活性成分とするヨウ素系抗菌・防カビ剤「ヨートル」シリーズの抗ウイルス効果を確認したと発表した。

 日本食品分析センターで行ったウイルス感染試験により、「ヨートルDP95」と開発品「ヨートルDP‐CD」にインフルエンザウイルスを不活化する効果があることを確認。「DP95」を添加することで、試験開始2時間後にウイルス数が99%減少した。

 一方「DP‐CD」では、10分後にウイルス数が99.99%減少。同社では同効果について、「「DP‐CD」の水溶性が寄与している」と推察している。さらに「DP‐CD」では、新型コロナウイルス(SARS‐CoV‐2)を不活化する効果も確認。試験開始直後と比べて2時間後にウイルス数が99%減少しており、即効性はないものの、一定時間抗ウイルス効果の維持が期待される。

 三井化学が1985年から製造販売を開始した「DP95」は、幅広い種類のカビに対する高い生育阻害能を示し、木材防腐、塗料、皮革、壁紙などに採用されている。SIAA(抗菌製品技術協議会)の防カビ剤ポジティブリストに登録されており、その活性成分であるDMTSはFDA(米国食品医薬品局)のポジティブリストに掲載されている。

 また「DP‐CD」は、シクロケムバイオ社(兵庫県神戸市)と共同開発。三井化学の「DP95」とシクロケムバイオ社のシクロデキストリン技術を融合し、環状オリゴ糖であるシクロデキストリンでカプセル化することで水溶性を付与、さらに抗菌性向上に成功した抗菌・防カビ剤の水溶液。「DP95」の用途に加えて水系塗料、水系接着剤、金属・レンズ加工液など水を主剤とする用途への適用範囲を広げた。現在粉体タイプの「DP95」の開発も進めている。