JFEスチール 石炭由来CO2から有価物を製造

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2021年12月8日

 JFEスチールはこのほど、石炭利用産業から排出されるCO2と製鉄プロセスで生成する高炉ガスと製鋼スラグを有効利用して有価物を製造する新プロセスの研究開発2件が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発」に採択されたと発表した。事業期間はいずれも今年度からの5年間。 

 1件目は「CO2を用いたメタノール合成における最適システム開発」で、地球環境産業技術研究機構(RITE)との共同開発。高炉ガスはCO2濃度が比較的高くCOや水素を含むため、これらを最大限利用して、メタノール合成の低コスト化・高効率化を図る。圧力スイング吸着法(PSA、ゼオライトや活性炭による吸脱着)による低コスト型CO2分離とメタノール合成システムの最適化を同社が、メタノール合成時に生成する水を効率よく除去する水選択透過性ゼオライト膜の開発をRITEが、高効率メタノール合成反応器の開発を両者で行う。

 2件目が「製鋼スラグの高速多量炭酸化による革新的CO2固定技術の研究開発」で、愛媛大学との共同開発。高温状態の製鋼スラグに石炭利用産業から排出されるCO2を吹き込み、製鋼スラグ中の酸化カルシウム成分に、短時間で多量のCO2を固定して炭酸塩化する。同時に、CO2固定化後のガスの熱を回収し、エネルギー効率を高めてプロセス全体のCO2固定量・削減量を最大化する。炭酸塩化した製鋼スラグは、需要が大きな道路用鉄鋼スラグとしての利用を図る。製鋼スラグの高速多量炭酸化技術と熱回収技術、溶融製鋼スラグの凝固・熱間破砕技術の開発と、熱間破砕・炭酸化スラグの道路用鉄鋼スラグとしての評価を同社が、スラグ炭酸化メカニズムの解明を両者で行う。

 JFEスチールは、気候変動対応を経営の最重要課題と位置づけており、様々な超革新的技術の開発を複線的に推進し、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。