日本ガイシなど 空間伝送型電力伝送システムの普及促進

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2021年12月27日

 日本ガイシとトレックス・セミコンダクター(東京都中央区)、Ossia社(米ワシントン州)はこのほど、空間伝送型ワイヤレス電力伝送(WPT)システムの普及に向けた協業を開始した。日本ガイシのLIB「EnerCera(エナセラ)」とトレックスの低消費電力「電源IC」、OssiaのWPT技術「Cota」を組み合わせ、WPT受電レシーバー開発キットを開発する。

 多数のIoTデバイスを使ったセンサーネットワークの利用が進む中、電源ケーブルや一次電池によるIoTデバイスへの給電は、配線や電池交換が必要だ。WPTは電波により10mほど離れた場所へ電力を伝送する技術で、メンテナンスフリーIoTデバイスへの給電技術として注目されている。なかでも5.8㎓帯を使った「Cota」技術は、小売店や工場、倉庫に設置されるセンサー電源などの幅広い用途で活用できる。他のWPTより高い周波数帯を使うため、受電レシーバーの小型化や給電の高精度制御も可能だ。

 今回のWPT受電レシーバー開発キットは、受信した電波を電力として取り出す「Ossiaアンテナ」、その電力をためる「エナセラ」、ためた電力をMCU(電子機器動作制御チップ)やセンサーへ最適な電圧で安定的に供給するための「電源IC」で構成される。「Ossiaアンテナ」は移動中でも複数のデバイスを自動的に充電し続けるスマートアンテナで、効率的かつ真にワイヤレス電力伝送を可能にする。

 「エナセラ」は独自の結晶配向セラミックス板を電極に使用した超小型・薄型の半固体電池で、高容量、高出力、高耐熱、長寿命が特長。電源ICの「micro DC/DC XCL」シリーズは、コイルと制御ICを一体化した超小型DC/DCコンバータで、省スペース・高効率・低ノイズ・高放熱性を両立している。このキットを任意のMCUやセンサーに接続することで、WPTを電源とするデバイスの開発が行える。これにより、メンテナンスフリーIOTデバイスの開発・普及の促進を図るとしている。