BASF 産業規模のガス精製で組成をリアルタイム分析

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2021年12月28日

 BASFはこのほど、CO2分離・回収設備の商用初号機を設置したアンモニア工場の立ち上げから50年を迎えた。以来、ガス精製分野の革新と成長を追求し、天然ガスや合成ガスを使用するために特定成分を安全に除去するガス精製技術、さらに製油所の排ガス、燃焼排ガス、バイオガス向けなど様々なガス精製ソリューションを開発・提供。世界中で500超の採用実績がある。

 10年前から「OASE(オーエイス)」ブランドで、技術・ガス吸収液・包括的サービス一式を提供。ガス精製効率が高く、資源の保全・省エネルギーによるCO2排出量削減に貢献し、同社ポートフォリオの中でサステナビリティに大きく貢献する「アクセラレーター」製品の1つになっている。

 一昨年には革新的デジタルプラットフォーム「OASE connect」を構築。シミュレーションツールによるプラント運転の最適化とサンプル分析結果の保存、eラーニング教材によるガス精製技術の学習ができる。また昨年、米エクソンモービル社と共同で高エネルギー効率のCO2排出量削減と硫黄回収のためのガス精製技術「OASE sulfexx」を開発した。

 今年発表予定の「OASE digilab」は、ガス精製効率をさらに向上させる。BASFグループのtrinamiX社(ドイツ、ルートヴィッヒスハーフェン)と共同で、ガス吸収液の状態をほぼリアルタイムで分析する方法を開発。モバイル型近赤外分光器とデータ分析技術を組み合わせ、サンプル組成を定性・定量的に分析判定する。

 これにより、ガス精製条件を継続的にモニターし、最適な吸収液で稼働できる。ガス中のCO2や硫化水素などの酸性ガスは、吸収塔の中でガス吸収液と向流接触し、吸収液と反応して分離される。酸性ガスを吸収した吸収液は、再生塔で加熱されて酸性ガスを分離。その後冷却して吸収塔に再循環させる。分離回収されたCO2は純度が高く、化学合成用途にも使用できる。

 「OASE」ガス精製プロセスは省エネルギーで可用性が高く、大量の高純度ガスを提供する。また、特定のガス成分の選択的分離回収も可能。ガス吸収液は安定性が高く耐用年数が長いため、補充量も最小限で済むとしている。