《化学企業トップ年頭所感》DIC 猪野薫社長

, ,

2022年1月13日

 昨年は、ウィズ・コロナへの移行による需要回復が顕著となった1年だった。半導体不足に伴う自動車生産数の減速懸念が下期までおよび、主要化学原料の調達難と物流停滞、原油価格高騰に伴うコスト上昇など、サプライチェーンに起因するトラブルが目白押しではあったが、総じて底堅い受注を維持した。第4四半期はさらなる原油価格の上昇に見舞われながらも、当初計画達成に向け、力戦奮闘した社員の皆様に改めて感謝する。

 昨年6月末には当社のグローバル顔料事業を盤石化するColors & Effectsの買収がクロージングし、DICグループに約2600名の新たな仲間が加わった。心より歓迎の意を表したい。すでにDICグループは世界60数カ国で事業展開しているが、グローバル運営を先駆けてきた仲間が加わることで、様々な幅広いシナジーが創出され、一層の事業拡大と繁栄をもたらすものと期待している。

 今年は新たな中長期経営計画がスタートする。昨年までの中計で掲げた事業ポートフォリオの転換は、引き続きスピード感をもって臨まなければならない。そして、①サステナビリティへの貢献:持続可能な社会に向けたサステナビリティ戦略の推進、②働き方改革の推進:社員・組織の「働き甲斐の向上」と「生産性の向上」を通じて、レジリエントな企業体質へ変革、③デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進:デジタル技術の活用による新たな付加価値の提供と企業構造の変革、を急ぎたいと考える。社員と会社がもつべき視点は、「財務的利益の極大化」だけに捉われるのではなく、より社会に目を向けた「社会的意義の最大化」だ。理性と感情に響く使命と企業理念を掲げる組織の下で、存在意義に共鳴する社員の皆様が働きがいを感じられる「エンゲージメントの高まり」を期待する。

 「DICグループで働いてよかった」と誰もが思う会社にしたいと思う。