東大と三菱ケミカル サーキュラーエコノミーの実現に向け協働

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2020年8月17日

 東京大学と三菱ケミカルはこのほど、サーキュラーエコノミーの実現に向け協働していくことで合意したと発表した。

 東大の未来ビジョン研究センターが8月1日付で新設した「グローバル・コモンズ・センター(CCC)」の活動に対し、三菱ケミカルが寄附を行うとともに、資源の循環・有効活用の観点で素材産業が目指すべきビジネスモデルなどについて、CCCと三菱ケミカルとで共同研究を開始する。なお、CCCのダイレクターである石井菜穂子氏は、三菱ケミカルのシニア・エグゼクティブ・フェローに就任した。

 グローバル・コモンズとは人類の持続的発展の共通基盤である地球環境システムのことを指す。CCCでは、地球環境システムの持続可能性を確保するため、社会・経済システムの根本的転換のモデルと道筋を科学的に示すことを目標としている。また、企業などと連携しながら、転換の具体的なあり様と実現経路を研究し、その実現を国際的な連携の中で促すことを目指す。

 三菱ケミカルは今年4月に「サーキュラーエコノミー推進部」を設置。同部のイニシアティブにより、グローバルな視点・規模で、事業部門の枠を超え、サーキュラーエコノミーに関連するソリューションの提案と事業化を推進し、取引先、アカデミアやスタートアップなどとの連携も積極的に進めている。

 三菱ケミカルは、豊かで持続可能な社会を目指し、その基盤である安定した地球環境を保全するというCCCのミッションに賛同し、その活動を支援することを決定。同時に、両者はCCCの活動の一環として、資源の循環・有効活用が、社会に幅広い素材を提供する化学産業のビジネスモデルとしてどのようにあるべきかなどにつき、共同研究を行うべく協議をしている。

 両者は、これらの活動を通じ、それぞれの立場から、持続可能な社会・経済システムの構築に向け貢献していく。

ダウ 高精度PE樹脂の新製品、オールPE構造が可能

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2020年8月7日

 ダウはこのほど、高性能、消費者の利便性、リサイクル性を求める業界のニーズに応え、「INNATE 高精度ポリエチレン樹脂」製品群のブランドを拡張した革新的な新製品を発表した。

TF-BOPEフィルムを使用した製品
TF-BOPEフィルムを使用した製品

 テンターフレーム二軸延伸用「INNATE TFポリエチレン樹脂」は、長年にわたり包装業界の目標とされてきたテンターフレーム二軸延伸用ポリエチレン(TF‐BOPE)フィルムの商業用途への拡大を実現。従来のPEフィルムと比較して、「INNATE TFポリエチレン樹脂」製のTF‐BOPEフィルムは、透明性や光沢性などの優れた光学的特性、衝撃強度と引張係数が2倍、突刺強度と引張強度が従来のインフレーションPEフィルムの3倍、低温下でも優れた強靭性、消費者に便利な易カット性といった多くの利点をもつ。

 また、同フィルムは、リサイクル性を改善するオールPE構造が可能であり、持続可能性でも大きな利点を提供。独特な物理的特性を備えていることから、包装材に使用されている材料の代替やフィルム構成の変更のみでなく、フィルム薄肉化が可能となるためパッケージ用材料の使用量を削減することができる。

 パッケージの印刷層に直接使用できるため、PEの機能層を組み合わせてオールPEのフィルム構成が可能となり、パッケージのリサイクル性の改善につながる。

トクヤマ 自家発電所の一部廃止と発電事業者の廃止届を提出

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2020年8月7日

 トクヤマはこのほど、徳山製造所の自家発電所について、一部発電設備の廃止と発電事業者廃止届の提出を行った。

 徳山製造所中央発電所5号発電設備は石炭を主燃料とし、1963年に稼働開始。老朽化などの理由で2014年から停止していたが、今年6月に廃止届を所管官庁に提出した。これにより徳山製造所の自家発電設備は4基になり、発電最大出力は552㎿から517㎿になった。設備解体などの日程は未定。

 また、自家発電の余剰電力は周南市役所と近隣施設に供給・販売していたが、今年7月に電気事業法に基づく発電事業者の廃止届を所管官庁に提出した。これは、外部への電力販売比率を1割超とする発電事業者の要件に該当しないと判断したため。いずれも業績に対する影響は軽微だとしている。

 

旭化成 医薬品添加剤のサンプル提供を開始、事業化を検討

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2020年8月7日

 旭化成はこのほど、添加剤事業の強化拡大を図るため、事業化検討を行っている新規医薬品添加剤「ヒアルロン酸ナノゲル」について、工業的製造技術を確立し、性能評価のためのサンプルを提供できる体制を整えたと発表した。

 同社の添加剤事業部では、医薬品などで主に錠剤の賦形剤として用いられる結晶セルロース「セオラス」を国内外で販売しているが、今後、注射剤用途に適したドラッグデリバリーシステム(DDS)基剤「ヒアルロン酸ナノゲル」を新たに製品ラインアップに加えることで、医薬品製剤の様々なニーズに幅広く対応していく意向だ。

 同剤は、難溶性薬物の低毒性での可溶化や、タンパク質やペプチドといったバイオ医薬の凝集、変性を抑制することによる製剤化の実現、また頻回投与が必要な注射剤の投与回数削減など、患者のQOL向上が期待できる。 

「ヒアルロン酸ナノゲル」の構造
「ヒアルロン酸ナノゲル」の構造

 同剤の特徴として、ヒアルロン酸(HA)に、部分的にコレステロールが修飾されたヒアルロン酸誘導体であり、水中では、コレステロール同士の疎水性相互作用により自己会合し、ナノサイズのハイドロゲルを形成する。HA分子量やコレステロール修飾率の違いによって物性が異なり、現在同社は2種類のグレード(分散グレード、沈殿グレード)をサンプルとして取り揃えている。

 薬物と混合するだけで、疎水性相互作用により、難溶性の低中分子化合物からタンパク質まで様々な薬物をナノゲル内に封入することができ、DDSに適した基剤として使用できる。主な機能として、薬物の徐放化、可溶化、凝集抑制、活性保持などがあり、顧客の目的に応じて最適なグレードの提案が可能だ。

「ヒアルロン酸ナノゲル」の機能
「ヒアルロン酸ナノゲル」の機能

 現時点で同社は「ヒアルロン酸ナノゲル」の事業化を正式に決定していないが、今回のサンプル提供を通して、同剤が顧客の製剤開発に対する問題解決に貢献できることを確認した後に、正式に事業化していくことを目指す。同社は今後も、世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〝に貢献するため、様々な製品で顧客ニーズに応えていく考えだ。

NEDO 石炭火力のCO2固体吸収法の実証研究を開始

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2020年8月5日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、はこのほど、CO2分離・回収コストの大幅低減が期待される固体吸収法について、実際の石炭火力発電所で燃焼排ガスを使用するパイロット規模の研究開発に着手すると発表した。川崎重工業と地球環境産業技術研究機構に委託し、石炭火力発電所での燃焼排ガスのCO2分離・回収の長期連続運転試験を行う。事業期間は2024年度までの5年間。

 CO2排出量の大幅削減には、分離・回収したCO2の地中貯留(CCS)や、原料として利用するカーボンリサイクルの推進が重要になる。経済産業省の「カーボンリサイクル技術ロードマップ」はCO2分離・回収の重要技術として固体吸収法を挙げ、今年の「革新的環境イノベーション戦略」で同手法による燃焼排ガスの研究開発の方針を示した。固体吸収法は化学吸収法(液体)と異なり、CO2の脱離に要するエネルギーは少なく、分離回収コストを半減(CO 2 1t当たり2000円台)できる可能性がある。

  NEDOは、2018年から固体吸収法の実用化研究を進め、ベンチスケール試験(日産数t規模)でCO2分離・回収エネルギー1.5GJ/tを達成(化学吸収法の約6割)。吸収方式はアミン担持多孔質材料の移動層方式。実燃焼排ガス使用のスケールアップ試験用に、石炭火力発電所に試験設備(数十t/日)を設置し、CO2分離・回収の長期連続運転試験を行う。同時に固体吸収材の性能向上、製造技術・シミュレーション技術の高度化も進め、スケールアップ試験に反映させる。2030年までに、固体吸収法の技術確立を目指す。

日本電気硝子 カバーガラス用世界最薄ガラスを開発

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2020年8月5日

 日本電気硝子はこのほど、フォルダブルディスプレイのカバーガラス用に世界最薄となる厚さ25㎛の化学強化専用ガラス「Dinorex UTG」の開発に成功したと発表した。

 スマートフォンやタブレットなどの携帯端末のカバーガラスや、車載ディスプレイなどのディスプレイ画面を傷や衝撃から守る化学強化専用ガラス「Dinorex」に、フォルダブルディスプレイ対応の最薄の「Dinorex UTG」が加わった。

  同製品は同社のオーバーフロー技術により直接成形し、その高い表面平滑性と板厚均一性による優れた曲げ特性で(直径3mmの折り曲げ可能)、高信頼性のフォルダブルディスプレイが実現できる。

 また従来の薄板ガラス製造に使われるスリミング工程(元板をフッ酸溶解で薄膜化)は不要で、環境負荷物質の使用削減とコストダウンにも寄与。同社は、高品質な特殊ガラスの開発・生産によるディスプレイ産業の発展と、透明導電膜や反射防止膜などの成膜技術を生かした製品開発に取り組んでいる。

 今後も大型化、薄型・フレキシブル化、高機能薄膜など、様々なニーズに応えるモノづくりを通して、社会に新たな価値を提供していく考えだ。

ダウ 日本初のカーボンプロジェクト協定をイオンと締結

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2020年8月4日

 ダウはこのほど、日本初のプロジェクトとして「カーボンプロジェクト協定」をイオンと締結したと発表した。ダウの技術を使った食品の真空スキンパック包装をイオンの商品に採用し、店舗での食品廃棄物のさらなる削減を目指すとともに、食品廃棄物の削減による温室効果ガス(CO2やメタンなど)の排出削減に取り組む。

真空スキンパック包装を活用した商品
真空スキンパック包装を活用した商品

 今回のプロジェクトは、ダウと国際オリンピック委員会(IOC)との公式カーボンパートナーシップに基づき、世界中で実行されているカーボンプロジェクトの1つ。

 SDGsでは、「小売・消費レベルにおける世界全体の1人あたりの食料の廃棄を半減させる」という目標を定めている。現在の日本の食料自給率はこの25年間では最低水準を記録している一方、本来食べられるのに捨てられてしまう食品ロスの量は、1年間で643万tにも上る。

 こうした中、イオンは、グループの食品廃棄量を2025年までに半減する目標を設定。今回のプロジェクトの下、グループ企業の店舗に、ダウの革新的な素材であるアイオノマー樹脂を使用した真空スキンパック包装を採用し、さらなる食品廃棄物の削減を目指す。

 ダウの真空スキンパック包装は、商品の鮮度保持期間を延ばし、輸送時のダメージから内容物を保護できることから、食品廃棄を削減することが期待される。

 両社のコラボレーションは、持続可能なソリューションの導入による食品ロスの削減を通じ、食品のライフサイクル全体での温室効果ガス排出削減を推進する。また、今回のプロジェクトを通じた気候変動に対する成果は、CO2換算の削減量として第3者検証を受け、IOCの活動に関連したCO2排出量を相殺する、ダウとIOCの公式カーボンパートナーシップへの貢献につながる。

カーボンプロジェクト
カーボンプロジェクト

 

住友ベークライト 車載用光学系製品が採用、ラインアップ拡充

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2020年8月3日

 住友ベークライトはこのほど、成長市場である車載用光学関連分野で、新開発のセンシングカメラ用偏光フィルターが一部車種に採用されたと発表した。これを機に、従来品のヘッドアップディスプレー(HUD)用光学カバーの拡販や、ドライバーモニタリングシステム(DMS)、LiDAR(光検知・測距)用波長選択フィルターの開発など、ラインアップを拡充していく考えだ。

ヘッドアップディスプレー用光学カバー
ヘッドアップディスプレー用光学カバー

 同社は光学材料として、ポリカーボネート製偏光板や、ハードコート、防曇コートなど表面を機能化した各種グレードを製造販売し、サングラスなどのアイウェアやゴーグル(医療用、民生用)、携帯ゲーム機、家電製品などに採用されてきた。

 自動車関連では運転補助や自動運転のニーズが増大。各種映像装置、カメラ、センサーの多様化や高度化、複合化が求められ、光学材料の樹脂化や樹脂材料への要求機能が高まっている。特に光学系では、材料特性が機器やセンサーの重要特性のキーとなるケースも多い。

 また、車外用では信頼性(耐久・耐候)と光学特性の両立が必要。同社は、様々な光学材料の研究開発・製造販売で蓄積した光学特性(位相差、偏光、選択波長)や表面機能コート(ハード、防曇など)に加え、建築用途で培った耐候・耐光性設計と評価技術を組み合わせてきた。特に車外側に設置する場合には、これらの両立が必要とされており、自動車メーカーや部品メーカーとの協業により、HUD用光学カバーを実績化し、センシングカメラは今年採用が決定した。

 今後、2023年に向けて市場形成が期待されるLiDAR用製品の開発も加え、2025年には30億円の売上を目指す。

 

東ソー コロナ検査試薬が体外診断用医薬品の承認を取得

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2020年8月3日

 東ソーは31日、新型コロナウイルス検査試薬の体外診断用医薬品製造販売承認を同日付で取得したと発表した。今後、8月中旬より、医療機関や検査施設向けに販売を開始する予定となっている。

検査試薬:TRCReady SARS-CoV-2
検査試薬:TRCReady SARS-CoV-2

 この検査試薬は、同社の既存製品である自動遺伝子検査装置「TRCReady‐80」の専用試薬として、新型コロナウイルスを高感度かつ簡便な操作で、約40分程度で検出することが可能となる。

 同社のバイオサイエンス事業の一翼を担う遺伝子検査システムは、「迅速」「簡便」「小型」を特長としている。簡単な前処理(約5分)をした生体試料を装置にセットした後は、全自動で新型コロナウイルスRNAの有無が約40分で判定されるため、検査作業の効率化が可能となり、医療・検査従事者の作業負担を大幅に軽減できる。

検査装置:TRCReady-80
検査装置:TRCReady-80

 さらに、小型装置であることから、より多くの医療機関・検査施設に設置しやすく、新型コロナウイルスの感染拡大防止や検査体制の拡充に貢献することが期待される。

 さらに同社は現在、既存製品である全自動化学発光酵素免疫測定装置「ATA‐CLシリーズ」向けの専用試薬として、新型コロナウイルス抗体検査のための試薬の共同開発も進めており、関係機関の協力を仰ぎながら早期の発売を目指す。

 東ソーは、ライフサイエンス分野の製品やサービスの提供を通して、人々の健康と福祉に関する社会課題の解決に貢献できるよう、これからも積極的に取り組んでいく考えだ。

 

ダウ バイオPE使用のストレッチフィルムをアジア展開

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2020年7月30日

 ダウはこのほど、マレーシアの包装材メーカーであるトン・グアンと、植物由来ポリエチレン(PE)製品をアジア太平洋地域に導入したと発表した。同地域での再生可能原料由来プラスチック製品の商品化では画期的な事例となり、バリューチェーンを通しCO2排出量削減に貢献することが期待される。

 トン・グアンの新しいストレッチフィルム「ナノ・バイオ」は、ダウの直鎖状低密度PEである「ELITE5230GC R」エンハンスドPE樹脂を使用。この植物由来PE樹脂は、紙パルプの副産物であるトールオイルからのバイオナフサを使って生産されており、一般的な化石由来のPE樹脂と比較してCO2排出量を大幅に削減できる。

 さらに、マス・バランスアプローチをベースとするISCC認証を取得。このアプローチにより、各産業の複雑な製造または生産システム内でのサステナブルな原料調達を支援することで、すべての工程でトレーサビリティ基準が満たされ、各産業の持続可能性に貢献する。

 ダウ・パッケージング・アンド・スペシャルティ・プラスティック事業部アジア太平洋コマーシャルバイスプレジデントであるバンバン・キャンドラ氏は、「再生可能原料である植物由来のPE樹脂をアジア太平洋地域に導入することは、サステナビリティ目標を達成する上で重要な一歩だ」と述べている。

 一方、「ナノ・バイオ」は、薄肉化、柔軟性や耐久性の向上を実現する最先端のナノテクノロジーにより生産される。この環境に優しい高性能なストレッチフィルムは、物流用のパレット貨物を安定させ、輸送時の損傷や事故の発生の低減に貢献する。

 トン・グアン・インダストリーズのマネージングディレクターであるダトアング・プーン・チュアン氏は「ダウとの継続的なコラボレーションは、再生可能製品の提供とサステナビリティ推進への私たちの決意を示すものだ。ダウの植物由来のPE樹脂を使用することで、既存製品と同等の高性能を保ちながら化石燃料由来のPE樹脂の使用を削減し、顧客のビジネスとサステナビリティ面でのニーズを満たす」と述べている。