帝人 パラ系アラミドのLCA評価、データシートを公表

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2021年3月4日

 帝人は3日、グループ会社であるオランダのテイジン・アラミドが、ライフサイクルアセスメント(LCA)の評価資料として、パラ系アラミド「トワロン」の持続可能性に関する情報を開示するエコデータシート(英文)を作成・公表すると発表した。

 アラミドはその特性から、幅広い用途での軽量化や高耐久化、省資源・省エネルギー化などに貢献している高機能素材。その中核を担うテイジン・アラミドは、帝人グループの企業理念である「QOLの向上」に資するため、環境配慮や経済価値について顧客利益の向上に向けた取り組みを強化している。

 それを体現する施策として、20年以上にわたり使用済みとなったアラミド製品のリサイクルを推進しているほか、「トワロン」の使用による環境への影響を定量化することができる独自の換算システムも導入。2019年度には、「トワロン」を使用したタイヤやコンベアベルトが21万5千t以上のCO2排出の低減に貢献することを算出した。

 今回作成・公表するエコデータシートには、生産工程のCO2排出量や、リサイクル性、国際規格に基づく化学物質や環境に関する規制対応などについての情報が記載されている。テイジン・アラミドは、このエコデータシートで自社製品の持続可能性を開示することにより、企業の社会的責任を果たすとともに、SDGsの実現に向けた取り組みを一層加速していく。

三井化学ファイン 地震被災地支援、NPOに除菌タオル寄付

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2021年3月4日

 三井化学ファインは3日、先月13日に発生した福島県沖地震による被災地の衛生性改善のため、次亜塩素酸ナトリウムと圧縮タオルを同梱した除菌タオル「FASTAID ウイルス・スウィーパータオル」を寄付したと発表した。NPO法人ジャパン・プラットフォームを通じて、現地で活動を続けるNPO法人オペレーション・ブレッシング・ジャパン(南相馬市)に1日、同製品720個を届けた。

南相馬市で支援活動を続けるNPO法人に届けられた『FASTAID』
南相馬市で支援活動を続けるNPO法人に届けられた「FASTAID」

 今回の福島県沖地震により、一部被災地では断水が長引いている状況があり、地元自治体やボランティアによる飲料水の運搬が実施されている。しかしながら、生活用水の不足から衛生面の課題が残っているため、飲料水と共に「FASTAID」を各戸へ配布することになった。また、配布を担当する職員の感染症対策としても活用される。

『FASTAID ウイルス・スウィーパータオル』。必要な時にすばやく利用できる、次亜塩素酸ナトリウム含浸除菌タオル
「FASTAID ウイルス・スウィーパータオル」。必要な時にすばやく利用できる、次亜塩素酸ナトリウム含浸除菌タオル

 「FASTAID」は、三井化学がNPO法人などと進める災害支援イノベーション共創イニシアチブ「More Impact(モア・インパクト)」から生まれたコンセプトを、三井・ダウ ポリケミカルのロック&ピール技術を活用して2in1パッケージにした災害支援イノベーション製品。使用したいときに袋を押すと次亜塩素酸ナトリウムが圧縮タオルに染み込み、除菌タオルが完成する仕組みで、災害時のみならず病院や介護施設、ホテル、乗り物内など様々な場面での使用が期待されている。

帝人 豪社とモビリティ向けソーラールーフを共同開発

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2021年3月3日

 帝人は2日、AEV社(オーストラリア)と共同で、ポリカーボネート(PC)樹脂製の近未来モビリティ向けソーラールーフを開発したと発表した。

共同開発したソーラールーフ搭載のAEV社製LS-EVプロトタイプ
共同開発したソーラールーフ搭載のAEV社製LS-EVプロトタイプ

 近未来のモビリティ像としてCASEやMaaSが示される中、世界各国で自動車の電動化や自動運転化に向けた技術開発が進む。また、世界的な指標として、エネルギー効率を総合的に評価する「ウェル・トゥ・ホイール ゼロエミッション」が掲げられるなど、自動車社会にはさらに大きな変化の到来が予測されている。

 こうした中、両社は、将来のEVに求められる技術基盤を獲得・整備するため、2019年よりLS-EV(低速EV)の共同開発を推進。最近の成果として、用途に合わせた車体を搭載して自動走行が可能な多目的プラットフォーム「ブランク・ロボット」を開発した。

 今回開発したLS-EV向けソーラールーフは、帝人のPC樹脂「パンライト」グレージングを表層に使い太陽電池を搭載。帝人が長年培ってきたグレージングの知見を駆使し、ガラスでは難しい車体ルーフに適した曲面形状を一体成形することで強度や剛性を実現した。また、PC樹脂の課題であるは耐候性についても、帝人独自のハードコート技術を活用することで自動車に要求される10年相当の耐久性を実現した。

共同開発したソーラールーフ
共同開発したソーラールーフ

 一方、ソーラ―ルーフに搭載した太陽電池セルの出力は、豪州でのテストで一般的なソーラーパネルと同等の約330Wを記録。さらに、両社はソーラールーフのエネルギー効率を実証するため、一般車両向けLS-EVを想定した10kWhのバッテリー搭載のプロトタイプ車体を製作。「ブランク・ロボット」に装填して試験を行ったところ、走行距離が30~55Km(最大約30%)伸びることが確認された。

 両社は今後、各部品に帝人の素材や技術を活用した量産向け軽量LS-EVについて、2022年後半の実用化を目指し、ソーラールーフの技術向上を図りながら、「ウェル・トゥ・ホイール ゼロエミッション」の実現に向けた取り組みを進めていく。

 帝人は、AEV社との取り組みを一層強化していくことにより、近未来のモビリティへのニーズを先取りし、自社の高機能素材や設計、デザイン、複合化技術による技術提案力を強化していく考えだ。

NEDO CO2から合成燃料、プロセス技術の開発着手

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2021年3月3日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、CO2を液体合成燃料に変換し、カーボンニュートラル(CN)な燃料を高効率で製造する一環プロセスを構築する研究開発として、1グループによる2テーマを採用した。

 製油所や工場などから排出されたCO2を原料に、再生可能エネルギー由来の水素や電力と合成技術を組み合わせることで、内燃機関向け液体合成燃料を一貫製造する技術の確立に取り組む。このプロセスで製造した液体合成燃料は将来的に自動車や航空機に供給する計画で、これにより温室効果ガスの大幅削減を目指す。

 菅首相が昨年10月に「2050年カーボンニュートラル宣言」を打ち出したことを踏まえ、経済産業省は関係省庁と連携して「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定。CNの実現にはCO2を回収・貯留して利用する仕組みの確立が不可欠とされており、中でも液体燃料の製造技術は、CO2を有効利用する手法の1つとして注目されている。

 ただ、液体燃料は既存の石油サプライチェーンで供給できるため新たなインフラ整備が容易である半面、製造面では生産効率の低さやコストの高さといった課題があり、普及に向けては官民が一体となって技術開発に取り組む必要がある。

 こうした中、NEDOはCO2を原料に再エネ由来の水素や電力と合成技術を組み合わせることで、液体化石燃料を代替する内燃機関向けの液体合成燃料を高効率に一貫製造するという、世界でも類を見ない研究開発に着手。そして今回、直接合成や選択性制御などの「次世代フィッシャー・トロプシュ(FT)反応の研究開発」と「再エネ由来電力を利用した液体合成燃料製造プロセスの研究開発」の2テーマを採択した。これによりCO2を有効利用するカーボンリサイクルを促進するとともに、CO2の排出量削減を目指す。

 採択した2テーマでは、CO2を原料とした化学品製造の実現や炭化水素製造に最も親和性が高いと考えられるフィッシャー・トロプシュ反応の次世代技術開発と液体合成燃料一貫製造プロセスの構築と最適化、さらに将来のスケールアップに向けた研究開発を行う。事業期間は2020~2024年度で、全体予算は45億円程度を見込む。

DSM 新たな飼料添加物、乳牛のGHG排出を大幅削減

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2021年3月2日

 DSMはこのほど、同社が開発した新しい飼料添加物「Bovaer」を与えることで、乳牛のメタンの排出量を大幅に削減できることが実証されたと発表した。

 反すう動物から排出されるメタンは、現在排出されている温室効果ガス(GHG)に占める割合が非常に大きく、気候変動の要因ともなっている。同添加物を使うことで、飼料の種類と同添加物の添加量によって変わるが、牛一頭あたり27~40%のメタンガス削減量が期待される。

 オランダの酪農試験場で3カ月にわたり行われた試験では、牧草サイレージとコーンサイレージを3種類の配合率で粗飼料に混ぜたものに対して同添加物を2種類の分量で添加しメタンの削減量を調査。泌乳中期のホルスタイン・フリーシアン種64頭を調査対象とし、配合の異なる飼料にそれぞれメタン抑制剤を補給し、その効果を測定した。

 コーンサイレージを含まない粗飼料に低用量の同添加物(乾燥飼料1kg当たり60mg)を加えた場合のメタン削減率は27%。一方で、コーンサイレージ80%の乾物粗飼料に低用量の同添加物を加えた場合のメタン削減率は35%に増加した。同添加物の添加量を少し増やした場合(同80mg)は、メタン削減率が29~40%となった。

 これらの結果から、同添加物を使用した場合のGHG排出削減効果は明白となった。また、政府やGHGインベントリ作成機関にとっても、同添加物を使用することで、腸内メタンの削減量に関して十分な説明ができ、農家は、サステナビリティへの貢献に対する認証などに役立てることができる。

 「Bovaer」は、DSMが10年以上の年月を費やして研究・開発した、乳牛などの養牛、羊、ヤギなどの反すう動物向けの飼料添加物。牛一頭1日当たり、わずか小さじ4分の1杯の同添加物を与えるだけで、腸内メタンの排出量を約30%削減できる。その結果、同添加物は、食肉・牛乳・その他酪農製品の環境フットプリントの迅速かつ、大幅な削減に貢献する。

 同社は、この新しい飼料向け原料を様々な地域で「Bovaer」として商標登録。現在、各国の酪農・牛肉バリューチェーン各社との協業により、上市に向けた準備を進めている。具体的には、現地のビジネスシステムでの有効性を確認するための共同試験、低炭素酪農製品の共同開発、ビジネスモデルの確立などに取り組んでいる。

ENEOS 山形県で風力発電事業の共同開発に参画

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2021年3月2日

 ENEOSはこのほど、三菱UFJリースの100%子会社であるMULエナジーインベストメントが開発を進める、山形尾花沢風力発電事業(仮称)の環境影響評価法の事業承継手続が完了したことを受け、同事業開発に参画し、今後は両社共同で開発を進めていくと発表した。山形県尾花沢市に最大出力17.2MWの陸上風力発電所を建設する計画。3~4MW級の風力発電機を最大3~4基設置し、2026年以降の運転開始を目指す。

 同県は陸上風力発電事業では国内有数の適地であり、良好な風況が見込まれている。両社は、国や同県の再生可能エネルギーに係る取り組みに即する形で、地球温暖化対策や地元自治体の活性化に寄与するものとして、同事業開発に取り組んでいく。

 ENEOSは、グループ長期ビジョンの中で、2040年時点でのカーボンニュートラルを掲げており、2022年度までに、国内外で行う再エネ事業の総発電容量を約100万kW以上に拡大することを目指し、事業展開を加速している。

 一方、三菱UFJリースは、再エネを注力分野の1つに位置づけており、MULエナジーインベストメントは、風力発電所や太陽光発電所などの開発、発電事業の運営管理などのアセットマネジメント事業を通して、再エネ分野のトータルソリューションを提供している。

 両社がこれまでに培った再エネ事業の知見を生かし、同事業の開発を加速するとともに、再エネ事業の拡大を通じて、低炭素化社会の実現に貢献していく考えだ。

帝人フロンティア センシング技術活用、睡眠サービスを共同開発

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2021年3月2日

 帝人フロンティアは1日、FiNCテクノロジーズと共同で、睡眠時の体動情報を解析し、睡眠の質について評価・アドバイスする睡眠サービス「スリープ コンシェルジュ」を開発したと発表した。

:「MATOUS SS」の使用例
「MATOUS SS」の使用例

 同サービスには、新開発した睡眠センサー「MATOUS SS」を専用デバイスとして使用。就寝時に、寝具の下に置くだけで体動情報を計測し、独自のアルゴリズムにより睡眠時間や寝返りの回数、呼吸数、心拍数、室温などの情報を評価できる。同日からFiNCが運営する「FiNC MALL」(https://store.finc.com)で専用デバイスの販売、およびスマートフォン(アンドロイド、iOS)向け専用アプリケーションの配信を開始した。

 現在、日本人の5人に1人が睡眠に関する悩みを抱える。睡眠不足による疾患リスク上昇や生産性・創造性の低下などが注目され、さらにコロナ禍にあって、睡眠を改善することの重要性が高まっている。こうした状況に応えるため、「予防ヘルスケア×AIテクノロジー(人工知能)」に特化したFiNCのテクノロジーと、帝人フロンティアのセンシングおよびデータ解析の技術を融合させ、新たな睡眠サービスの開発に至った。

「スリープ コンシェルジュ」の表示画面
「スリープ コンシェルジュ」の表示画面

 「スリープ コンシェルジュ」は、睡眠サービスのプラットフォームとして、睡眠ログの管理や評価、改善のためのアドバイス、情報提供などのサービスを行う。

 主な特長として、①睡眠状態を可視化:「MATOUS SS」は、身体に装着することなく、寝具の下に設置して就寝するだけで体動情報やバイタルサインの計測が可能。入眠から起床までの睡眠時間管理や、睡眠の深さ、中途覚醒、寝返りなどの睡眠の質の判定を行い、心拍数や呼吸数といったバイタルサインとともにアプリ上でグラフ化・スコア化し、データを解析した上で専門家が監修したアドバイスを受けられる。

 ②日報・月報で確認が可能:データ解析により毎日の睡眠状態を評価するとともに、それらを月単位で時系列表示。睡眠習慣をグラフ化し、データに基づくアドバイスから、利用者が気づかない課題を見える化し、改善のポイントを確認できる。

 両社は今後、ビッグデータの解析により、利用者の睡眠課題の解決をサポートするための製品開発を進めるとともに、FiNCが提供する健康経営向けのサービス「FiNC for BUSINESS」と連動した新たな健康ソリューションの開発を進めていく。

積水化学工業 抗ウイルススプレー、コロナ不活化効果が持続

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2021年3月2日

 積水化学工業は1日、100%子会社である積水マテリアルソリューションズが、「抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレー」について、新型コロナウイルスへのウイルス不活化効果の持続性を確認したと発表した。

 同社は、試験を外部研究機関である奈良県立医科大学医学部微生物感染症学講座およびMBTコンソーシアムで実施。①一定の条件下で同スプレーを新型コロナウイルスに一分間接触させると、ウイルス感染価が99%以上減少、②一定の条件下で同スプレーを噴霧したフィルムは、1カ月後に新型コロナウイルスを5分間接触させると、ウイルス感染価が99%減少、といった試験結果を得た。

 これらの成果により、同スプレーおよびその噴霧フィルムは、新型コロナウイルスを短時間で不活化することが判明した。また、1カ月静置させた噴霧フィルムで効果があったことから、不活化効果の長期継続も期待される。

三菱ケミカル 「ソアロン」を使用したアパレルブランド展開

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2021年3月2日

 三菱ケミカルは1日、同社初となるアパレルブランド「age3026」(エイジ・サン・マル・ニー・ロク)を立ち上げ、同日から公式サイトにて販売を開始したと発表した。

ソアロン使用したアパレルブランド
ソアロン使用したアパレルブランド

「age3026」は、クリエイティブ オフィス イオのプロデュースの下、身近な5年先の未来である2026年を考えることから始めて、「千年先の未来まで美しい世界を紡いでいきたい」という想いを込めて立ち上げたアパレルブランド。

 木材パルプを原料として、三菱ケミカルのみが生産するトリアセテート繊維「ソアロン」を使用することで、環境へも配慮した高品質な服を完全受注生産する。また、「ボーダーレス」「ジェンダーレス」「トレンドレス」の3つの「レス」をコンセプトに掲げ、新しい時代、新しい暮らしに寄り添うようにデザインしている。

 三菱ケミカルはこれまで、天然原料と化学の力を組み合わせることで、サステナブルかつ機能的な新素材を多数開発してきた。今後も、「ソアロン」や「age3026」の提供を通じて、新たな時代に生きる一人ひとりに寄り添った事業を展開するとともに、環境課題の解決に貢献していく。

アパレルブランド「age3026」ロゴ
アパレルブランド「age3026」ロゴ

 

DSM 畜産分野の温室効果ガス排出削減の活動を開始

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2021年3月1日

 DSMはこのほど、戦略的イニシアチブ「We Make It Possible」の一環として、畜産分野の温室効果ガス(GHG)排出削減に関わる活動を開始した。この活動は国連が掲げるSDGsの実現に寄与する同社のコミットメントを表している。

 畜産業界で実現すべきこととしては、GHGであるメタンの削減、また、土地の富栄養化を招き、その結果として生物多様性を減少させるアンモニアの元となる亜酸化窒素の排出量を直積的かつ間接的に減らすことが挙げられる。

 同社は、バリューチェーンのあらゆる段階で排出量を削減できる革新的なソリューションを提供。環境への窒素化合物流出を飼料の配合に応じ7~17%減少させる「Ronozyme ProAct」、養豚から発生するアンモニア排出量を最大17%減少させる「VevoVitall」、環境へのリン排出量を減らす「Ronozyme HiPhos」、養牛のメタン排出量を30%以上減少させる「Bovaer」、アンモニアの年間排出量26%減、抑臭効果48%でカーボンフットプリントの削減につながる「Digestarom」(バイオミン社)などを展開している。

 DSMアニマルニュートリション&ヘルスのIvo Lansbergenプレジデントは、「畜水産業を営む人々が、動物性タンパク質を適正価格で販売でき、世界中の人々が手頃な値段で購入することができるモデルにシフトする必要がある。そして、このモデルで最も重要なのは、畜産による環境への負荷(温室効果ガスの排出、家畜排せつ物による水質汚染、生物多様性への影響)を大幅に削減することだ」とコメントしている。