DSM 吉田カバンの記念モデルに強化レザーを提供

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2020年9月7日

 DSMはこのほど、ECCOレザー社と共同開発した「ダイニーマ ボンデッドレザー」が、日本の老舗メーカーの吉田カバンが販売する「PORTER フリースタイル」シリーズの新製品に採用されたと発表した。

「ダイニーマ ボンデッドレザー」は、DSMの、鉄の15倍の強度を誇り世界最強の繊維と言われる「ダイニーマ」繊維を、ECCOレザー社の高品位レザーにボンディング加工することで独特な質感を演出する。通常、レザーの薄さを極限まで追求すると、耐久性が低下する懸念があるが、「ダイニーマ」繊維の軽量高強度の特性を生かすことで、極めて薄く高強度のハイブリッドレザーが実現した。

 吉田カバンは、創業85周年の記念モデル「PORTER フリースタイル」シリーズに、このハイブリッドレザーを採用することで、「フリースタイル」シリーズのコンセプトを現代的にアップグレードすることに成功した。

 なお、「PRTER フリースタイル ダイニーマ レザー」はPORTE表参道で販売を開始しており、今後は他店舗でも展開を予定している。

東ソー CO2分離回収の技術開発がNEDO事業に採択

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2020年9月7日

 東ソーはこのほど、九州大学と共同提案した「革新的CO2分離膜による省エネルギーCO2分離回収技術の研究開発」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業に採択されたと発表した。

 同事業は、「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」の中で行われる「産業部門のCCUS/カーボンリサイクルの抜本的な省エネ化に資するCO2分離・回収技術」に公募したもの。

 採択された技術では、アルカノールアミンを高分子マトリックスに担持した高分子膜からなるCO2分離中空糸膜モジュールを活用する。このアルカノールアミンを使ったCO2分離膜は、高いCO2選択性を示すため、高純度のCO2を分離回収することが可能になる。

 今回の委託事業では、産学連携を通じ、同中空糸膜モジュールを利用することで、省エネルギー型石炭火力発電の排ガス中から、CO2を分離回収する技術の確立を目指す。委託期間は今年6月から来年3月まで。

 東ソーは、気候変動問題に関わる課題として、温室効果ガス(GHG)排出量削減への取り組みが事業の中長期的な成長に繋がると考えている。今後も引き続き、エネルギー使用の効率化、GHG排出量の削減、CO2の分離回収・原料化による有効利用に向けた技術開発を推進し、持続可能な社会の実現に貢献していく。

ユーグレナ バイオマス50%含有プラスチックを開発

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2020年9月7日

 ユーグレナはこのほど、バイオポリ上越(新潟県上越市)と共同で、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)からバイオ燃料用脂質を抽出した後の残渣(ユーグレナ脂質抽出残渣)を配合したバイオマスプラスチックの開発に成功したと発表した。バイオポリ上越は樹脂の製造からプラスチック最終製品の製造まで一貫して行い、自然素材からプラスチック樹脂を創る高度な混錬加工技術をもつ。

加工前のユーグレナ・ポリプロピレン複合体のペレット
加工前のユーグレナ・ポリプロピレン複合体のペレット

 海洋プラスチックごみなどの社会問題に対し、環境省が昨年策定した「プラスチック資源循環戦略」で、プラスチックの使用量削減、リサイクル推進とともに、植物などの再生可能資源を使ったバイオマスプラスチックの利用推進を掲げ、バイオプラスチックの需要も高まっている。

 今回、パラミロン(ユーグレナ特有のβ‐1,3グルカン)粒子含有の複合体に関する特許技術に基づき、汎用プラスチックのポリプロピレン(PP)とユーグレナ脂質抽出残渣を混錬・均一分散してバイオマス含有率50%のユーグレナ・PP複合体を開発した。

 純石油由来のPPと比べ、最大曲げ応力と曲げ弾性率が高く、強さと硬さが向上。これは、有機物固体であるユーグレナ脂質抽出残渣がフィラーとして働き、PPの力学物性を向上させたことを示している。さらに、一般の射出成型機でフォークなどの加工が可能なことから、食品容器や成型材料などの様々な用途展開が期待される。

ユーグレナ・ポリプロピレン複合体を用いて作成したフォーク、スプーン
ユーグレナ・ポリプロピレン複合体を用いて作成したフォーク、スプーン

 同社はユーグレナなどの微細藻類活用の事業を通じ、社会をよりサステナブルに変革していくことを目指している。石油由来プラスチック量の削減に向け、ユーグレナの特有成分パラミロン使用の機能性プラスチックの開発とともに、バイオマスプラスチックの可能性検討を進めていく考えだ。

 

ハイケム 副生ガスからEG生産、CO2削減へ

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2020年9月7日

C1ケミカル軸に経済性・環境性の両立を目指す

 ハイケムのC1ケミカルが新たなステージに入った。先月、同社がもつ「SEG技術」を採用した、製鉄所の副生ガスを利用してエチレングリコール(EG)を製造する世界初のプラントが稼働を始めた。

中国・山西沃能化工科技のEGプラント。ハイケムのSEG技術により副生ガスから年産30万tを製造
中国・山西沃能化工科技のEGプラント。ハイケムのSEG技術により副生ガスから年産30万tを製造

 SEG技術とは、水素とCOからなる合成ガス(Syngas)を原料とし、ポリエステル繊維やペットボトルの原料の1つとなるEGを非石油由来で製造する技術。

 今回の取り組みでは、製鉄所のコークス炉や高炉から排出される副生ガス中の水素とCOを活用する。COを燃やしてCO2にすることなく、EGの原料として利用し炭素を固定することから、CO2の発生を抑制。同プラントが通年で稼働した場合、年間56万tのCO2排出量を削減できるとしている。

 同プロジェクトは、中国の大手民営鉄鋼企業である山西晋南鉄鋼集団の完全子会社「山西沃能化工科技」との共同によるもので、製鉄所からの副生ガスを原料に年産30万トンのEGを製造する。2017年にハイケムがSEG技術のライセンス供与を行っていた。

 同社が目指すのは、C1ケミカルのトータルソリューションカンパニー。今年度からの中計に基づき、C1ケミカルを川上・川下へと拡大する「水素エネルギー事業」と「生分解性ポリマー事業」への展開が始まったところだが、その中心となるのがSEG技術のライセンス事業になる。

 同社は2009年に同ライセンス事業に参入した。宇部興産がもつ石炭由来の合成ガスからシュウ酸ジメチル(DMO)を製造する技術と、さらにDMOからEGを生産するパイロット技術に注目。ハイケムは、後工程のDMO水添によりEGを製造する実機を確立し、両社の技術を中国企業にライセンスしている。

 さらに、COからDMO、DMOからEGの生成に必要な銅触媒・パラジウム触媒も、同社の中国・南通にある触媒工場から提供しており、EGのビジネスモデルを構築した。第1基目のプラントは2012年に稼働。以降、高純度のEGを安全・安定的に供給することが高く評価され、製造するEGは中国国内の大手ポリエステルメーカーへの採用実績も多い。

 SEG技術は、CO2削減効果が見込めるエコな技術としても注目を集める。石炭・天然ガスをはじめ、各種産業排気ガスなどを原料として利用でき、炭素を固定するためだ。

 現在、合計23件、約940万t規模のライセンス供与を行うが、このうち75万tのEG製造にはコークス炉ガスなどの産業排気ガスを原料として使用する。そのプラントが全て稼働した場合、年間125万tのCO2を削減できる見込み。また、バイオマス原料やCO2を利用したEG製造も技術的には可能であり、研究開発を進めている。

 同社は「炭素利用効率を上げて空気をきれいにする」をビジョンの1つに掲げ、事業活動を通じて環境の豊かさに貢献していく。

 

東京大学など 「めっき」で高性能有機トランジスタを製造

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2020年9月4日

 東京大学と産業技術総合研究所(産総研)の共同研究グループはこのほど、「無電解めっき」による高精細パターニング金電極を有機半導体に貼り付けた高性能有機トランジスタの製造に成功した。

 有機半導体は印刷で作れるため、RFID(近接無線通信)タグや種々のセンサーなど膨大な数のデバイスを使うIoT時代に有望な基盤材料。移動度(動作速度)も実用レベルに達している。

 有機半導体の電極には、キャリア効率が高く酸化されにくい金や銀の貴金属薄膜が使われる。製造には高真空・高温/プラズマプロセスを要し、高真空チャンバーとポンプ、電極の微細パターニング用のリソグラフィーなどが必要で、高額設備投資、コスト、環境負荷が量産化の課題だった。

 今回、材質表面を金属被覆できる「めっき」のうち、薬品を用いる「無電解めっき」により真空プロセスなしで金電極を作製した。まずフッ素系高分子薄膜に真空紫外光LEDを照射し、銀微粒子インクが濡れる領域をパターニング(親液・撥液パターニング)。そこに銀微粒子インクを塗布して銀微粒子層のパターンを形成する。それを金めっき液に浸すと、銀の触媒作用で銀微粒子層表面に金の薄膜が被膜される。これでリソグラフィープロセスなしで10㎛程度の高精細パターニングが可能となった。

 この金電極を、同グループが開発した電極転写法により有機半導体上に取り付けて有機トランジスタを試作。ゲート電圧・ドレイン電流から求めた移動度は10㎠/Vs程度と実用レベルで、金属-有機半導体界面の接触抵抗も120Ωcm程度と十分に小さく、単分子層有機半導体(厚さ4㎚)の本来の性能を引き出せることを実証した。

 「無電解めっき」で、積層デバイスの大面積化が可能となり、半導体側の制約も減る。また、めっき液は基本的に有機溶媒を含まない水溶液で再利用が可能なため、環境負荷も小さい。低コスト・低環境負荷、フレキシブルエレクトロニクス用のプロセスとしての利用が見込まれる。

 今後、有機半導体を用いたソフトエレクトロニクスの社会実装やバイオエレクトロニクス分野への貢献が期待される。

 

 

カネカ 新型コロナ用DNAワクチンの製造体制に参画

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2020年9月4日

 カネカはこのほど、グループ会社カネカユーロジェンテック(ベルギー)が、アンジェス(大阪府茨木市)や大阪大学などが開発を進めている新型コロナウイルス用DNAワクチンの大量生産に向け、タカラバイオを中心とする製造体制に参画したと発表した。同ワクチンは大阪大学とアンジェスのプラスミドDNA医薬品開発の実績をもとに開発され、今年6月から臨床試験を開始。実用化に向けて開発が加速している。

 カネカユーロジェンテックは、1985年から医薬・診断薬、研究試薬用のタンパク質、核酸、ペプチドの製造販売を行っている。世界トップクラスのプラスミドDNA技術をもつことから、同ワクチンの中間体製造を受託した。なお、同社はベルギー政府の要請で、新型コロナウイルス検査用のPCR検査試薬も供給している。

 カネカは、mRNAやプラスミドDNAなど最先端の高度技術を活用し、ワクチンの受託製造や抗ウイルス薬の開発、医療器を用いたソリューション提供などにより新型コロナウイルス問題の課題解決に貢献し、世界を健康にしていく考えだ。

Kaneka Eurogentec社の外観
Kaneka Eurogentec社の外観

日本触媒 三次元細胞培養容器を変形性膝関節症の研究へ提供

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2020年9月4日

 日本触媒はこのほど、独自開発した3次元細胞培養容器「ミコセル」を、そばじまクリニック(大阪府東大阪市)で開始する脂肪幹細胞凝集塊による臨床研究に提供すると発表した。今回の臨床研究は、患者自身の脂肪由来幹細胞を用いた変形性関節症に対する臨床研究で、「第2種再生医療等計画」を再生医療等委員会へ申請し承認された。

 「ミコセル」は、培養基材表面に細胞が適度に接着する非生物由来の材料で作られており、粒子径の揃った細胞凝集塊を多量に作製できることが特徴。細胞凝集塊では、従来の2次元で培養された細胞とは異なり、体内の状態に近い細胞が得られることが知られており、細胞凝集塊の作製技術は近年注目されている。

 市販されている細胞凝集塊形成を目的とした培養容器は、容器内部に細胞接着性の低い処理を施したものが一般的で、得られる細胞凝集塊は基材との相互作用をしない状態(浮遊状態)。これに対して、「ミコセル」は培養基材表面に細胞が適度に接着した細胞凝集塊が形成するため、他の培養容器で形成される浮遊の細胞凝集塊にはないさらなる高機能化と、投与疾患部で有効に働く効果が期待されている。

 また、「ミコセル」で作製した細胞凝集塊は、今回の臨床研究開始にあたり、2次元で培養された細胞や他の3次元培養容器で作製した浮遊の細胞凝集塊と比較して高い機能と安全性をもつことを非臨床で確認している。

 さらに、ミコセルは①培養時の培地交換が容易で操作性に優れる、②容器内部に設置した区画分けで均一な大きさの細胞凝集塊が多量に形成する、③細胞凝集塊の形成後に、薬剤を用いることなく凝集塊の剥離・回収が可能、といった特徴があり、効率的な細胞凝集塊の作製を実現する。

 日本触媒は、今回の臨床研究を通じ、「ミコセル」を使い作製した細胞凝集塊の安全性が実証されることにより、細胞凝集塊を用いた治療の実用化と再生医療のさらなる発展に向けて大きく貢献ができると考えている。

「ミコセル」の特徴
「ミコセル」の特徴

 

東洋紡 新型コロナウイルス検出キットが医療保険適用に

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2020年9月4日

 東洋紡はこのほど、新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit〈Multi〉」について、厚生労働省および国立感染症研究所発行の「臨床検体を用いた評価結果が取得された2019-nCoV遺伝子検査方法について」(2020年8月18日版)で、陽性一致率100%、陰性一致率100%である遺伝子検査方法として結果が公表されたと発表した。

 これにより、同キットは国立感染症研究所作成の「病原体検出マニュアル 2019-nCoV」に準じた方法に該当し、公的医療保険適用の対象となった。

 

DIC 水処理事業で米デュポンと戦略的パートナーシップ契約を締結

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2020年9月4日

 DICは3日、同社と米国グループ会社サンケミカルが、水処理用中空糸脱気製品の世界的な拡販を目的に米デュポンと戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。

 今後、工業用の水処理用途で使われる大型中空糸脱気モジュール「セパレル」シリーズのグローバルでの販売独占権をデュポン・ウォーター・ソリューションズに付与することで、アジア、米国、欧州地域の販売を拡大し、2021年には同事業の売上高を2019年比で約2倍の増収を目指す。

 デュポンは、限外ろ過膜、逆浸透膜、イオン交換樹脂など、世界をリードする水の浄化と分離技術のポートフォリオをもつ。水処理設備メーカーなどの顧客は、DICの中空糸脱気モジュールとデュポンの製品を組み合わせて使用することが多いため、今回の提携は、顧客に対してトータルソリューションサービスの提供が可能になる。

 今後は、DICの中空糸脱気関連製品「セパレル」シリーズのうち、水処理用途の製品ブランド名をデュポンのブランド「LIGASEP」へ変更する予定だ。なお、デュポン・ウォーター・ソリューションズとの独占的パートナーシップは、水処理市場にのみ適用。DICグループは、引き続き「セパレル」を製造し、独自の脱気技術を活用してインクジェットインキ市場を含む他の産業市場へ販売していく。

 DICグループは、中期経営計画「DIC111」の中で、環境に配慮した製品や高機能製品を社会へ提供することで、社会貢献と成長の実現を目指すことを事業方針に据えている。今後も中空糸膜モジュールの市場要請に対応した高機能な製品を提供し、世界的な事業規模拡大に努めていく方針だ。

出光興産 バイオマス発電用植物の植生と木質ペレット化試験を開始

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2020年9月4日

 出光興産は3日、100%子会社である出光オーストラリアリソーシス(ブリスンベン)を通じ、石炭と混焼が可能なバイオマス発電燃料用植物の植生試験と木質ペレット化試験を開始したと発表した。既存のエンシャム石炭鉱山(クイーンズランド州、権益85%)での資産(鉱山内遊休地、用役設備など)を活用する。

 今回のプロジェクトで栽培するのは、バイオマス発電燃料として使用する「ソルガム」。降雨量が少ない同エリアでの生育に適しており、7月までに順調な生育が確認され収穫を行った。現在、ソルガムの木質ペレット化試験を進めており、今年後半には木質ペレットの半炭化(ブラックペレット化)試験を予定している。

 木質ペレットを半炭化したブラックペレットは、従来の木質ペレットに比べて耐水性・粉砕性などに優れ、石炭と同様に取り扱うことができるため、石炭火力発電でのCO2排出量低減が期待できる。

 なお、プロジェクトは、同地が石炭の輸出基地に加え、バイオマス発電燃料の大規模商業輸出基地となる可能性があるとして、クイーンズランド州政府から補助金2万豪ドルを受託している。

 出光興産は、エネルギーを取り巻く環境変化を踏まえ、エネルギー源の多様化とベストミックスの構築により、日本のエネルギーセキュリティへの貢献と再生可能エネルギー普及を推進する考えだ。

エンシャム石炭鉱山での植生試験の様子 植物種「ソルガム」
エンシャム石炭鉱山での植生試験の様子 植物種「ソルガム」