東ソー コロナ検査試薬、体外診断用医薬品で販売開始

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2020年8月17日

 東ソーは7日、新型コロナウイルス(SARS‐CoV‐2)検査試薬「TRCReady SARS‐CoV‐2」を体外診断用医薬品として、同日から販売を開始したと発表した。

新型コロナウイルス検査試薬「TRCReady SARS-CoV-2」
新型コロナウイルス検査試薬「TRCReady SARS-CoV-2」

 同製品は、同社の自動遺伝子検査装置「TRCReady‐80」の専用試薬。生体試料を検体として新型コロナウイルスを高感度かつ簡便な操作で、約40分程度での検出が可能なもの。検査作業の効率化、医療・検査従事者の作業負担を大幅に軽減でき、感染拡大防止や検査体制の拡充への貢献が期待されている。

 同検査試薬は、先月末に体外診断用医薬品製造販売承認を取得し、医療機関や検査施設に向むけた販売準備を進めていた。1箱24テスト分で販売する。

 

ダウ 高精度PE樹脂の新製品、オールPE構造が可能

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2020年8月7日

 ダウはこのほど、高性能、消費者の利便性、リサイクル性を求める業界のニーズに応え、「INNATE 高精度ポリエチレン樹脂」製品群のブランドを拡張した革新的な新製品を発表した。

TF-BOPEフィルムを使用した製品
TF-BOPEフィルムを使用した製品

 テンターフレーム二軸延伸用「INNATE TFポリエチレン樹脂」は、長年にわたり包装業界の目標とされてきたテンターフレーム二軸延伸用ポリエチレン(TF‐BOPE)フィルムの商業用途への拡大を実現。従来のPEフィルムと比較して、「INNATE TFポリエチレン樹脂」製のTF‐BOPEフィルムは、透明性や光沢性などの優れた光学的特性、衝撃強度と引張係数が2倍、突刺強度と引張強度が従来のインフレーションPEフィルムの3倍、低温下でも優れた強靭性、消費者に便利な易カット性といった多くの利点をもつ。

 また、同フィルムは、リサイクル性を改善するオールPE構造が可能であり、持続可能性でも大きな利点を提供。独特な物理的特性を備えていることから、包装材に使用されている材料の代替やフィルム構成の変更のみでなく、フィルム薄肉化が可能となるためパッケージ用材料の使用量を削減することができる。

 パッケージの印刷層に直接使用できるため、PEの機能層を組み合わせてオールPEのフィルム構成が可能となり、パッケージのリサイクル性の改善につながる。

トクヤマ 自家発電所の一部廃止と発電事業者の廃止届を提出

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2020年8月7日

 トクヤマはこのほど、徳山製造所の自家発電所について、一部発電設備の廃止と発電事業者廃止届の提出を行った。

 徳山製造所中央発電所5号発電設備は石炭を主燃料とし、1963年に稼働開始。老朽化などの理由で2014年から停止していたが、今年6月に廃止届を所管官庁に提出した。これにより徳山製造所の自家発電設備は4基になり、発電最大出力は552㎿から517㎿になった。設備解体などの日程は未定。

 また、自家発電の余剰電力は周南市役所と近隣施設に供給・販売していたが、今年7月に電気事業法に基づく発電事業者の廃止届を所管官庁に提出した。これは、外部への電力販売比率を1割超とする発電事業者の要件に該当しないと判断したため。いずれも業績に対する影響は軽微だとしている。

 

宇部興産 複合プラ高度分離技術開発がNEDO事業に採択

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2020年8月7日

 宇部興産はこのほど、名古屋大学と共同で、NEDOの「廃プラスチックを効率的に化学品原料として活用するためのケミカルリサイクル技術の開発」委託事業の公募に対し、「複合プラスチックの高度分離技術開発」を提案し採択されたと発表した。なお同事業の委託期間は2020年度末まで。

 今回採択された技術は、包装用多層フィルムなどに代表される複合プラ製品を成分別に分離するもの。同技術により複合プラスチック廃棄物から単一のプラスチックを得て再生するマテリアルリサイクル技術の開発を目指す。

 また、採択された技術は、低エネルギーかつ安価なコストで成分を分離できる可能性があり、革新的なリサイクル技術として資源使用量や温室効果ガス(GHG)排出量の削減に高い効果が期待される。

 今回の事業採択を受け、新規分離技術の開発を産学の協働により加速するとともに、社会実装を見据え対象となる廃棄物の調査と処理プロセス適用時のLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)評価を行っていく。

 宇部興産グループは、「UBEグループ環境ビジョン2050」を定め、自然と調和した企業活動の推進に取り組み、2050年までにGHG排出量の80%削減を目指している。また、中期経営計画の基本方針の1つとして「資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献」を掲げており、さらなるGHG排出量の削減や、環境負荷低減に貢献する新たな技術・製品の創出と拡大に取り組んでいく考えだ。

旭化成 医薬品添加剤のサンプル提供を開始、事業化を検討

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2020年8月7日

 旭化成はこのほど、添加剤事業の強化拡大を図るため、事業化検討を行っている新規医薬品添加剤「ヒアルロン酸ナノゲル」について、工業的製造技術を確立し、性能評価のためのサンプルを提供できる体制を整えたと発表した。

 同社の添加剤事業部では、医薬品などで主に錠剤の賦形剤として用いられる結晶セルロース「セオラス」を国内外で販売しているが、今後、注射剤用途に適したドラッグデリバリーシステム(DDS)基剤「ヒアルロン酸ナノゲル」を新たに製品ラインアップに加えることで、医薬品製剤の様々なニーズに幅広く対応していく意向だ。

 同剤は、難溶性薬物の低毒性での可溶化や、タンパク質やペプチドといったバイオ医薬の凝集、変性を抑制することによる製剤化の実現、また頻回投与が必要な注射剤の投与回数削減など、患者のQOL向上が期待できる。 

「ヒアルロン酸ナノゲル」の構造
「ヒアルロン酸ナノゲル」の構造

 同剤の特徴として、ヒアルロン酸(HA)に、部分的にコレステロールが修飾されたヒアルロン酸誘導体であり、水中では、コレステロール同士の疎水性相互作用により自己会合し、ナノサイズのハイドロゲルを形成する。HA分子量やコレステロール修飾率の違いによって物性が異なり、現在同社は2種類のグレード(分散グレード、沈殿グレード)をサンプルとして取り揃えている。

 薬物と混合するだけで、疎水性相互作用により、難溶性の低中分子化合物からタンパク質まで様々な薬物をナノゲル内に封入することができ、DDSに適した基剤として使用できる。主な機能として、薬物の徐放化、可溶化、凝集抑制、活性保持などがあり、顧客の目的に応じて最適なグレードの提案が可能だ。

「ヒアルロン酸ナノゲル」の機能
「ヒアルロン酸ナノゲル」の機能

 現時点で同社は「ヒアルロン酸ナノゲル」の事業化を正式に決定していないが、今回のサンプル提供を通して、同剤が顧客の製剤開発に対する問題解決に貢献できることを確認した後に、正式に事業化していくことを目指す。同社は今後も、世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〝に貢献するため、様々な製品で顧客ニーズに応えていく考えだ。

NEDO 石炭火力のCO2固体吸収法の実証研究を開始

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2020年8月5日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、はこのほど、CO2分離・回収コストの大幅低減が期待される固体吸収法について、実際の石炭火力発電所で燃焼排ガスを使用するパイロット規模の研究開発に着手すると発表した。川崎重工業と地球環境産業技術研究機構に委託し、石炭火力発電所での燃焼排ガスのCO2分離・回収の長期連続運転試験を行う。事業期間は2024年度までの5年間。

 CO2排出量の大幅削減には、分離・回収したCO2の地中貯留(CCS)や、原料として利用するカーボンリサイクルの推進が重要になる。経済産業省の「カーボンリサイクル技術ロードマップ」はCO2分離・回収の重要技術として固体吸収法を挙げ、今年の「革新的環境イノベーション戦略」で同手法による燃焼排ガスの研究開発の方針を示した。固体吸収法は化学吸収法(液体)と異なり、CO2の脱離に要するエネルギーは少なく、分離回収コストを半減(CO 2 1t当たり2000円台)できる可能性がある。

  NEDOは、2018年から固体吸収法の実用化研究を進め、ベンチスケール試験(日産数t規模)でCO2分離・回収エネルギー1.5GJ/tを達成(化学吸収法の約6割)。吸収方式はアミン担持多孔質材料の移動層方式。実燃焼排ガス使用のスケールアップ試験用に、石炭火力発電所に試験設備(数十t/日)を設置し、CO2分離・回収の長期連続運転試験を行う。同時に固体吸収材の性能向上、製造技術・シミュレーション技術の高度化も進め、スケールアップ試験に反映させる。2030年までに、固体吸収法の技術確立を目指す。

日本電気硝子 カバーガラス用世界最薄ガラスを開発

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2020年8月5日

 日本電気硝子はこのほど、フォルダブルディスプレイのカバーガラス用に世界最薄となる厚さ25㎛の化学強化専用ガラス「Dinorex UTG」の開発に成功したと発表した。

 スマートフォンやタブレットなどの携帯端末のカバーガラスや、車載ディスプレイなどのディスプレイ画面を傷や衝撃から守る化学強化専用ガラス「Dinorex」に、フォルダブルディスプレイ対応の最薄の「Dinorex UTG」が加わった。

  同製品は同社のオーバーフロー技術により直接成形し、その高い表面平滑性と板厚均一性による優れた曲げ特性で(直径3mmの折り曲げ可能)、高信頼性のフォルダブルディスプレイが実現できる。

 また従来の薄板ガラス製造に使われるスリミング工程(元板をフッ酸溶解で薄膜化)は不要で、環境負荷物質の使用削減とコストダウンにも寄与。同社は、高品質な特殊ガラスの開発・生産によるディスプレイ産業の発展と、透明導電膜や反射防止膜などの成膜技術を生かした製品開発に取り組んでいる。

 今後も大型化、薄型・フレキシブル化、高機能薄膜など、様々なニーズに応えるモノづくりを通して、社会に新たな価値を提供していく考えだ。

SEMI 半導体製造装置、来年の投資は過去最高を予測

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2020年8月4日

 SEMIはこのほど、オンラインで開催した「SEMICON West」の中で、半導体製造装置(新品)の世界販売額が、2021年には2桁成長を達成し、過去最高額となる700億ドルを記録するとの予測を発表した。これは世界半導体製造装置の年央市場予測によるもの。なお、2020年は前年比6%増の632億ドルに達するとしている。

 多くの半導体分野での成長が、この市場拡大を支える要因となる。ウェーハファブ装置分野(ウェーハプロセス処理装置、ファブ設備、マスク/レチクル製造装置)はメモリー投資の回復と先端プロセスへの投資、中国の投資にけん引されて、2020年に5%、2021年には13%の成長が見込まれる。ウェーハファブ装置販売額のほぼ半分を占めるファウンドリとロジックの投資は、2020年と2021年ともに一桁台での成長となる。DRAMとNANDの2020年の投資額はどちらも2019年の水準を上回り、2021年には20%を上回る成長が予測される。

 組み立ておよびパッケージング装置分野は、アドバンストパッケージングの生産能力拡大により2020年に10%成長の32億ドルに達し、2021年には8%成長の34億ドルとなると予測。半導体テスト装置市場は5G需要などにより2020年に13%成長し57億ドルに達し、2021年も成長が継続するとみられる。

 地域別では、中国、台湾、韓国が2020年の投資をリード。中国ファウンドリの旺盛な投資によって、同国は2020年と2021年の両年にわたり、世界最大の装置市場となる見込み。台湾の装置投資額は、2019年に68%の成長を遂げた。2020年は減額するものの、2021年は10%のプラス成長と反発し、世界第3位の市場となると見込まれる。韓国の装置投資額は、メモリー投資の回復により2021年に30%の成長を予想。その他の地域も、ほとんどで2020年から2021年にかけて成長が見込まれている。

ダウ 日本初のカーボンプロジェクト協定をイオンと締結

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2020年8月4日

 ダウはこのほど、日本初のプロジェクトとして「カーボンプロジェクト協定」をイオンと締結したと発表した。ダウの技術を使った食品の真空スキンパック包装をイオンの商品に採用し、店舗での食品廃棄物のさらなる削減を目指すとともに、食品廃棄物の削減による温室効果ガス(CO2やメタンなど)の排出削減に取り組む。

真空スキンパック包装を活用した商品
真空スキンパック包装を活用した商品

 今回のプロジェクトは、ダウと国際オリンピック委員会(IOC)との公式カーボンパートナーシップに基づき、世界中で実行されているカーボンプロジェクトの1つ。

 SDGsでは、「小売・消費レベルにおける世界全体の1人あたりの食料の廃棄を半減させる」という目標を定めている。現在の日本の食料自給率はこの25年間では最低水準を記録している一方、本来食べられるのに捨てられてしまう食品ロスの量は、1年間で643万tにも上る。

 こうした中、イオンは、グループの食品廃棄量を2025年までに半減する目標を設定。今回のプロジェクトの下、グループ企業の店舗に、ダウの革新的な素材であるアイオノマー樹脂を使用した真空スキンパック包装を採用し、さらなる食品廃棄物の削減を目指す。

 ダウの真空スキンパック包装は、商品の鮮度保持期間を延ばし、輸送時のダメージから内容物を保護できることから、食品廃棄を削減することが期待される。

 両社のコラボレーションは、持続可能なソリューションの導入による食品ロスの削減を通じ、食品のライフサイクル全体での温室効果ガス排出削減を推進する。また、今回のプロジェクトを通じた気候変動に対する成果は、CO2換算の削減量として第3者検証を受け、IOCの活動に関連したCO2排出量を相殺する、ダウとIOCの公式カーボンパートナーシップへの貢献につながる。

カーボンプロジェクト
カーボンプロジェクト

 

カネカ 培養脂肪幹細胞による乳房再建治療を開始

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2020年8月4日

 カネカはこのほど、グループ会社バイオマスター(横浜市)が運営するセルポートクリニック横浜(横浜市)が培養脂肪幹細胞を使う乳房再建治療「培養CAL」を開始したと発表した。患者自身の脂肪由来幹細胞を用いる、生着率の高い医療技術だ。同治療の開始に際し、大阪大学の特定認定再生医療等委員会で審査された治療計画は、厚生労働省関東信越厚生局に受理されている。

 「培養CAL」は、患者から事前に少量採取した脂肪中の幹細胞を培養し、移植用の脂肪に加えて移植する。脂肪の採取量は従来の「CAL」より少ないため、「CAL」による治療ができなかった体脂肪の少ない患者にも治療が可能。「培養CAL」により乳房再建の選択肢を広げることで、乳がん患者の生活の質の向上に貢献する。

 セルポートクリニック横浜は2006年の開院以降、東京大学と共同開発した「CAL」による乳がん治療後の治療を提供してきた。今後は臨床研究の結果を踏まえ、乳がん術後の乳房再建のほか顔の変性疾患や豊胸などにも応用し、軟部組織再建の新しい治療を提供していく考えだ。