ダイセル 知財に関する新型コロナ対策支援宣言に署名

, ,

2020年6月12日

 ダイセルはこのほど、「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」に署名した。新型コロナウイルス感染症の早期終息に貢献するため、同社が持つ知的財産権を一定期間無償で提供することを宣言した。

 この宣言は、保有する知財権などに関し、コロナ感染のまん延終結を目的とした行為(診断や予防、封じ込め、治療など)に対し、一切の対価や補償を求めることなく、原則として全ての特許権、実用新案権、意匠権、著作権を一定期間行使しないことを表明するもの。

 このことで、急務である治療薬やワクチン、医療機器、感染防止製品などの開発・製造・提供を可能な限り迅速に行うため、宣言の対象となる知財権などについて、侵害有無の調査やライセンス許諾の要求に時間・費用をかけることなく、速やかな利用が可能になる。同社は、コロナ感染まん延の早期終結に向け、知財活動を含めてできる限りの貢献をしていく考えだ。

知的財産マーク 縮小版

 

 

三井化学 欧州初自社PPコンパウンド拠点の営業運転を開始、量産品初出荷

, , ,

2020年6月12日

 三井化学とグループ会社のプライムポリマーは11日、オランダ・ケメロット工業区内にある、欧州初の自社ポリプロピレン(PP)コンパウンド拠点の営業運転を開始したと発表した。

欧州初の自社PPコンパウンド拠点・ACE外観
欧州初の自社PPコンパウンド拠点・ACE外観

 まずは量産品を初出荷、自動車材コンパウンドの世界トップに向けた欧州展開が始動した。生産能力は3万t/年。これにより、欧州での製造・販売・研究の一貫体制が整うことになり、欧州拠点の自動車メーカーや部品メーカーに対し、効果的な軽量化ソリューションを提供するとともに、グローバルでの需要拡大に対応していく。

 三井化学グループは現在、世界8つの地域(日本、アメリカ、メキシコ、欧州、タイ、中国、インド、ブラジル)に製造拠点を、6つの地域(日本、アメリカ、欧州、タイ、中国、インド)に研究拠点を持つ。今年度内にタイとインドでの能増を控え、グローバルの生産量は年産112万t体制になる。 

 新型コロナウイルスの影響により、世界的に自動車生産台数の減少が見込まれている中、同社グループは「環境規制強化による自動車の軽量化ニーズは、今後も引き続き世界中で高まる」と予測。ニーズに合致するPPコンパウンドを使用したバンパーやインパネ材などの需要増加の傾向は将来的にも変わらないと見る。自動車の軽量化に貢献する高品質なPPコンパウンドの製造・販売・研究体制を強化していくため、欧州拠点「Mitsui Prime Advanced Composites Europe」(ACE:出資比率は、三井化学75%、三井物産15%、プライムポリマー10%)の建設を進めてきた。

 三井化学グループは、欧州自動車メーカーからも高い評価を得ている軽量化技術により、今後とも高品質の製品を供給する製造・販売・技術サービス体制を拡充し、さらなるPPコンパウンド事業の強化・拡大を積極的に進めていく考えだ。

産総研 東京湾岸をゼロエミッション版シリコンバレーに

, , , ,

2020年6月11日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、東京湾岸周辺エリアを世界に先駆けてゼロエミッション技術に係るイノベーションエリアとするため、「東京湾岸ゼロエミッションイノベーション協議会(ゼロエミベイ)」を設立した。会長は東京工業大学特命教授・名誉教授の柏木孝夫氏が就任し、事務局は1月に産総研が設立した「ゼロエミッション国際共同研究センター(CZR)」(センター長は旭化成名誉フェロー吉野彰氏)が担う。

 東京湾岸には、電力・ガス・石油・化学・電機・自動車など多様なエネルギーサプライヤーやユーザーなどの事務所や研究施設、大学が多くある。これらが様々な分野で連携すれば、ゼロエミッション技術に関する世界最大の研究開発・実証に関するPRの場所となり得る。 

 こうした中、政府が今年1月に策定した「革新的環境イノベーション戦略」の下、産学官の協議会を設置し、中長期的な視点でゼロエミッションに関する研究開発・実証プロジェクト(水素利用、二酸化炭素回収・有効利用・貯留、エネルギーマネジメントなど)の企画・推進、広報活動などが提言された。

 それに基づき、ゼロエミベイでは主な活動として、①湾岸周辺エリアの企業、大学、研究機関、行政機関などの活動情報を含むエリアマップ「ゼロエミベイマップ」の作成と海外への発信、②研究開発・実証プロジェクトの企画・推進と成果の普及・活用、③同技術に係る研究開発・実証、ビジネスへの取り組みに関する会員間の情報交換と連携の推進、④目的達成に必要なその他事業、などを行う。

 今後、趣旨に賛同し東京湾岸エリアでゼロエミッション活動を行っている会員を募集し、設立総会を6月16日に開催する。その後「ゼロエミベイマップ」をウェブサイトに掲載するなど本格始動する予定だ。入会案内などの詳細は、専用サイト(https://unit.aist.go.jp/gzr/zero_emission_bay/)まで。

プラ循環協 ハムの機能性包装に関するLCA調査を報告

, ,

2020年6月11日

 プラスチック循環利用協会はこのほど、プラスチック製食品容器包装に関するLCA(ライフサイクルアセスメント)調査研究を報告した。同協会では、プラ製食品容器包装について、使用段階を含めた製品トータル(容器包装とその中身食品)のライフサイクル全体での環境影響評価を実施している。

 今回は、機能性包装が適用されたハムの消費スタイルに基づいて、環境負荷削減効果に係る定量的解析を行った。研究調査内容として、消費者アンケートを実施し、世帯類型別にハムの購入から消費の頻度や量、時期などの定量情報分析を行い、ハムの消費シナリオを、機能性包装(小分けスキンパック)、トレイ包装、経木包装に適用し、現在のライフスタイル維持を前提としたLCAを実施した。

 調査結果として、環境負荷(温室効果ガス=GHG排出量、エネルギー消費量、水消費量)は、機能性包装品の負荷を1とした場合、トレイ包装品は1.5倍、経木包装品は3.3倍であり、機能性包装品の環境負荷削減効果が高いことが明らかとなった。

 一方、日本全体のハム生産量を考慮して、全ての包装を機能性包装に置き換えた場合のGHG削減貢献の可能性量は、2020年に最大258万t、2030年にはハム生産量の増加を見込み272万tと推算された。また、世帯類型別の2030年のGHG削減貢献の可能性量は、一般世帯が98万tと対1970年比で約6倍であるのに対し、単独世帯は46万tと約26倍も大きく伸長する推算結果を得た。

 これらのことから、ハムに適用されたプラスチック製機能性包装は、①消費期限を長くし、小分け包装の効果と合わせ、家庭での食品ロス発生を抑制することや、②加工食品では、機能性容器包装自体はわずかに環境負荷を増大させるが、環境負荷が高い中身食品に対し、保護効果や品質保持効果が高く、廃棄ロスを削減し、環境負荷削減貢献に高く寄与していることが判明した。

 さらに、消費スタイルの変化については、1人暮らし世帯では、1人当たりの環境負荷削減貢献の可能性量が大きく、現代の食に係るライフスタイルを容器包装が下支えしていることが示された。

 今後、日本の単独世帯比率の増加が予測される中、機能性包装は環境負荷削減にますます貢献していくことが期待される。

 

ヘンケル マスク寄付で大阪府知事から感謝状を授与

, ,

2020年6月11日

 ドイツの化学・消費財メーカーヘンケルの日本法人、ヘンケルジャパンはこのほど、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)対策への支援として、大阪府にN95規格の医療用マスクを寄付し、府知事から感謝状を授与されたと発表した。

 今回のN95マスクの寄付は、ヘンケルグループが顧客や社員、地域社会への支援を目的に、包括的な世界連携プログラムの一環として実施したもの。ヘンケルジャパンは、4月7日に最初の緊急事態宣言が発令された7都府県のうち、同社が事業所を置く地域に対して、事業所に備蓄していたN95マスクの寄付申し出を行った。その結果、大阪府からの要請を受け、N95マスク1520枚を寄付した。

 同社は、「一刻も早いCOVID‐19の終息を心より祈念いたします」とコメント。引き続き、コロナ禍の影響を最小限に留められるよう、ステークホルダーへの協力やサポートを検討していく。

JXTGエネルギー EV・HV向け専用フルードの新シリーズを開発

,

2020年6月11日

 JXTGエネルギーはこのほど、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の各駆動システムの特性に合わせた専用フルード「ENEOS EV FLUID」を開発したと発表した。EVやHVは今後さらに普及が見込まれている。それらのシステムには高い絶縁性能や冷却性能、ギヤ保護性能などを兼ね備えた専用フルードが求められる。

 同社は、自動車潤滑油をはじめとした幅広い種類のオイル開発に長年にわたり携わっている。これらの開発を通じて蓄積された知見を活用することで、オイルに対する新たな必要性能を高いレベルで満足させる独自の潤滑油技術を確立した。様々な使用環境下でベストなパフォーマンスを発揮することができるよう、それぞれ特長を持った同シリーズを全6種類のラインアップで提供する。

 まず、日本国内と中国を中心に、EVメーカーやHVメーカー、その関連部品メーカー向けに商品提案することを予定。その後、各国・地域の需要やニーズに応じて対象を全世界へ拡げることを目指す。また、将来的には一般消費者向け商品としての展開も検討していく。

 同社グループは長期ビジョンの中で、「グローバルトレンドに適応する商品開発の推進」を潤滑油事業の将来像として掲げている。日々進歩を続けるEVやHVの駆動システムに対応する独自の潤滑油技術を通じて、今後も同社は、革新的な技術と有用な商品・サービスを開発・提供し続けることで、顧客の満足と信頼獲得に努めていく。

三菱ケミカル 食品向け抗菌・鮮度保持シートを無償で提供

, , ,

2020年6月11日

 三菱ケミカルは10日、グループ会社である三菱ケミカルフーズが、新型コロナウイルス感染症対策の支援として、食品向け抗菌・鮮度保持シート「ワサオーロ」の無償提供を開始すると発表した。無償提供の対象は、感染者受け入れ先へ弁当などを提供する事業者、および営業自粛により弁当販売を開始した飲食店。

ワサオーロ使用イメージ
ワサオーロ使用イメージ

 「ワサオーロ」は、ワサビやカラシの辛味主成分であるアリルカラシ油(AIT:アリルイソチオシアネート)を主剤とした抗菌・鮮度保持シートで、消費期限の短い弁当や持ち帰り食品の品質保持に適している。菌やカビ・酵母の増殖を抑える特性があり、食品にシートをかぶせて蓋をすることで、速やかに抗菌効果を発揮する。また、電子レンジでの加熱に対応したタイプもある。

 「ワサオーロ」の無償提供の申し込みや詳細については、三菱ケミカルフーズのウェブサイト(https://www.mfc.co.jp/)に掲載している。

 同社グループは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」実現に向け、総合化学メーカーとして、世の中に貢献する製品を提供していく考えだ。

 

東ソー 韓国に合弁会社を設立 低燃費タイヤ用シリカの生産拠点を建設

, , , ,

2020年6月11日

 東ソーは10日、同社100%子会社の東ソー・シリカが韓国の南海化学と合弁会社を設立し、低燃費タイヤ用シリカの生産拠点の建設を決定したと発表した。韓国に設立した合弁会社の名称は、東ソー南海シリカ(全羅南道麗水市)。出資比率は、東ソー・シリカが67%、南海化学が33%。来年10月の商業運転開始を予定する。

 低燃費タイヤ用シリカは、転がり抵抗を減少させることで、自動車の燃費改善などのタイヤ性能向上に優れた効果を発揮する材料。自動車の低燃費化や電動化にともない、今後も需要の拡大が見込まれている。東ソー・シリカは現在、山口県周南市にある南陽工場で各種シリカの製造を行う。

 今回、これまで培ってきた高い技術力を背景に、旺盛な需要に対応するために、生産能力を増強し製品の安定供給を目的として、海外に第2の生産拠点を確保した。事業基盤のさらなる強化を図っていく考えだ。

 

AGC 低環境負荷型HFO、GSC賞環境大臣賞を受賞

, ,

2020年6月10日

 AGCはこのほど、低環境負荷型HFO(ハイドロフルオロオレフィン)「AMOLEA」が、その優れた環境技術を認められ、新化学技術推進協会の第19回「Green & Sustainable Chemistry(GSC)賞環境大臣賞」を受賞したと発表した。

AMOLEA溶剤外観
AMOLEA溶剤外観

 GSC賞とは、GSC(人と環境にやさしく、持続可能な社会の発展)を支える化学の推進に貢献する優れた業績が表彰されるもの。中でも環境大臣賞は、総合的な環境負荷低減に著しく貢献したものが選定される。

 オゾン層破壊問題を背景に、フロンガスに代わり使用が拡大しているHFC(ハイドロフルオロカーボン)による地球温暖化が新たな問題となっており、従来の性能を維持しながら環境負荷の小さい代替品の開発が求められている。

 同社の「AMOLEA」は、冷媒や溶剤としての性能はそのままに、地球温暖化係数を大幅に低減することをコンセプトに開発された次世代冷媒・溶剤ブランド。現在は用途ごとに3つの製品を展開しており、今後さらに拡張していく予定だ。

 いずれも大気中で容易に分解するHFOを選定しているため、従来の安全性などの優れた性能を維持しながら、地球温暖化係数を大幅に低減することができる。例えば冷媒、発泡剤用途では、従来製品から「AMOLEA」製品への代替でLCAが10分の1程度に低減可能となり、温室効果ガス排出量削減効果は、CO2換算で年間1000万t規模に相当する。同製品への転換により、大きな環境負荷低減が期待できることから、今回の受賞に至った。

 同社グループは今後も、長年培ったフッ素化学の技術力を生かし、環境負荷低減に貢献する製品を開発・提供し続けていく方針だ。

ダイセル 硬化性樹脂のウェハーレンズ開発で化学技術賞を受賞

, , , ,

2020年6月10日

 ダイセルはこのほど、「硬化性樹脂によるウェハーレンズの開発と製品化」が、近畿化学協会の2019年度「第72回化学技術賞」を受賞したと発表した。

本技術で製造されたウェハーレンズ(中央の丸状のもの一つひとつがレンズ)
本技術で製造されたウェハーレンズ(中央の丸状のもの一つひとつがレンズ)

 化学技術賞は、化学に関する研究・技術で、工業化・製品化に対して顕著な業績があると認められた45歳未満の研究者・技術者に贈られる。

 今回、「硬化性樹脂によるウェハーレンズの開発と製品化」の功績が認められ、同社の研究開発チーム(竹中啓起氏、藤川武氏、福井貞之氏、本間大海氏)の受賞に至った。

 小型レンズが広く使用されるモバイル機器や車載、医療、ヘルスケアなどの領域では、さらなる高機能化が求められている。こうした中、研究開発チームは、耐熱性、小型・薄型化、形状の複雑さを達成するために、材料と成型技術の開発を同時に取り組み、硬化性樹脂を用いたウェハー状のレンズ成型により、世界で初めて商業レベルでの実用・製品化に成功した。

 同社のウェハーレンズは、スマートフォンなど3Dセンシング機能のある製品への搭載をはじめ、先進の医療機器やAR/VR、虹彩/表情認証システムなど、今後の5G社会を支えるデバイスへの採用が計画されている。今後は品揃えの充実や製造プロセスの精度向上に取り組み、市場が求める製品開発を進めていく考えだ。