【CN技術の社会実装】積水化学工業

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2022年11月22日

ESG経営推進部長 西山宏喜氏/ESG経営推進部担当部長 三浦仁美氏

環境中期計画は前倒しで進捗、次世代の環境技術を社会実装へ

 積水化学工業は2020年に「ビジョン2030」を策定し、環境や社会の課題解決に貢献することで収益を上げ、サステナブルな会社になることを掲げた。また、カーボンニュートラル(CN)に貢献する新技術として、次世代エネルギーでは「ペロブスカイト太陽電池(PSC)」、資源循環では「BR(バイオリファイナリー)技術」が注目を集める。いずれも2025年度の事業化に向けた取り組みが順調に進捗しており、同社が目指す2030年の業容倍増に寄与することが期待されている。ESG経営推進部の西山宏喜部長と三浦仁美担当部長に、環境中期計画(2020~2022年度)の進捗や、今後の展望などについて話を聞いた。

  ━ウクライナ危機によりエネルギー不足が深刻化しています。

 西山 こうした問題が発生したことで、欧州を中心に

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【CN技術の社会実装】東レ

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2022年11月22日

常任顧問経営企画室担当 出口雄吉氏

PEM型水電解装置に貢献、材料のリーディングカンパニーへ

 東レは、水素関連材料を将来の事業の柱とするため、今年6月にHS事業部門を発足した。脱炭素が世界的な課題となる中、燃焼時だけでなく製造時にCO2を発生しないグリーン水素が注目され、今後市場が爆発的に拡大することが想定されている。同社は、PEM(固体高分子)型水電解装置向けに、炭化水素系(HC)電解質膜をはじめCCM(触媒層付膜)、MEA(膜電極接合体)、CP(カーボンペーパー)、GDL(ガス拡散層)などの強みがある材料を有しており、水素のサプライチェーン(SC)において素材のリーディングカンパニーを目指している。出口雄吉常任顧問に話を聞いた。

  東レは、20年ほど前から燃料電池向けに

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【CN技術の社会実装】旭化成

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2022年11月22日

執行役員グリーンソリューションプロジェクト長 植竹伸子氏

アルカリ水電解装置を大型化、海外市場でポジションを確立

 旭化成は、食塩電解で培った技術をベースに水素製造用アルカリ水電解システムの開発に注力する。日本やドイツの実証事業では部材の開発や装置の大型化に取り組み、着実に成果を積み上げてきた。こうした強みを生かし、まずはグリーン水素の中心地である欧米市場において装置メーカーとしてのポジションを確立していく。

 また、グリーンイノベーション(GI)基金事業では、グリーンケミカルの製造実証にも取り組む。脱炭素化のキーアイテムとされる水素とアンモニアを製造することは、世界各地で立ち上がってくる大型プロジェクトへの参入につながることが期待される。現在、グリーンソリューションプロジェクトにおいて、アルカリ水電解システムの事業化に取り組む、植竹伸子執行役員に話を聞いた。

   ウクライナ危機が

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【CN技術の社会実装】水素

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2022年11月22日

サプライチェーンの構築を目指して各社の開発が活発化

 2015年のパリ協定において、地球温暖化対策としてGHG排出削減の国際的な枠組みが決定されたことを機に、グリーン化の流れが本格化した。日本を含め各国が2050年のカーボンニュートラル(CN)を宣言し、2030年のGHG削減目標を定めている。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入が進むとともに、燃焼時にCO2を排出しない「水素」が次世代エネルギーとしてカギを握りそうだ。

 水素には、

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【CN技術の社会実装】川崎市

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2022年11月22日

臨海部国際戦略本部成長戦略推進部カーボンニュートラル推進担当課長  篠原 顕氏

水素エネルギーと資源循環で脱炭素化、川崎モデルを構築

 川崎臨海部は、港湾・工場一体型の工業地帯として、化学産業・素材産業など約2700もの事業所が集積している。社会に必要な素材や製品を提供するとともに、首都圏に電力や燃料などのエネルギーを供給するなど、日本経済にとって重要な役割を担っている。カーボンニュートラル(CN)への対応についても、次世代エネルギーとして期待される水素のインフラが整備され、資源循環の設備も充実しており、高いポテンシャルをもつ。

 こうした中、今年3月末に産業発展と脱炭素を両立させる「川崎CNコンビナート構想」を策定し、国内最大級の官民協議会をスタートさせた。篠原顕担当課長に、水素や炭素循環の戦略について話を聞いた。

 ━川崎市は脱炭素に積極的に取り組んでいます。

 当市は、日本政府の「CN宣言」と同じ年の2020年に脱炭素戦略「かわさきカーボンゼロチャレンジ2050」を発表し、脱炭素社会に向けた取り組みを開始した。今年3月末には「川崎市地球温暖化対策推進基本計画」を改定し、当市全体の約4分の3を占める産業系CO2排出量について、2030年度までに50%以上削減(2013年度比)する目標を掲げている。

 ただ、エネルギーや素材といった産業は、

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【CN技術の社会実装】経済産業省

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2022年11月22日

製造産業局素材産業課長 吉村一元氏

化学産業はGXを強力推進、CNに向け炭素循環のプロ集団に

  ━GX(グリーントランスフォーメーション)を推進しています。

 日本は、2020年10月に2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言した、その実現のためには並大抵の努力では実現できず、エネルギー・産業部門の構造転換、大胆な投資によるイノベーションの創出といった取り組みを大きく加速することが必要になってくる。

 こうした取り組みを進めるにあたっては、

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【CN技術の社会実装】三井化学

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2022年11月22日

ベーシック&グリーンマテリアルズ事業本部グリーンケミカル事業推進室ビジネスディベロップメントGL  田島信幸氏

バイオマス化とリサイクルを推進、30年以降は革新技術を実装

 三井化学は、カーボンニュートラル(CN)とサーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に向け、バイオマス戦略とリサイクル戦略の両輪を軸に、その取り組みを活発化させている。バイオマスでは昨年12月、国内の化学業界に先駆けバイオマス由来のナフサをクラッカーに投入し、バイオマス化学品の生産を開始した。リサイクルでは他社との協業により、ケミカルリサイクルやマテリアルリサイクルの社会実装化を進めている。両戦略の中核は、同社の基盤を支えるベーシック&グリーンマテリアルズ事業本部が担うところが大きい。CN達成に必要な施策と課題を聞いた。

  ━カーボンニュートラル(CN)の基本戦略をお聞かせください。

 当社は2020年11月に、2050年にCNを目指す方針を宣言した。移行期にあたる2030年度には、自社排出分のGHG(温室効果ガス)について、

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【CN技術の社会実装】化学産業、カーボンニュートラルをビジネス機会に転換

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2022年11月18日

革新技術を社会実装、先行投資や環境整備が大きな課題

 ウクライナ侵攻によるエネルギー資源のひっ迫が、カーボンニュートラル(CN)へのシフトを加速させている。次世代エネルギーではグリーン水素に注目が集まり、世界的に大型プロジェクトが計画されている。また資源循環でも、廃プラのケミカルリサイクルやバイオマスを活用した原料など、化石資源からの転換を目指した動きが強まってきた。すでに研究段階から実証段階に移行した技術も出始め、事業化も視野に入っている。日本政府もGI基金事業やGXリーグ構想などを打ち出し、革新技術を社会実装するためのサポートや仕組みづくりを進めている状況だ。

 一方、化学企業にとっては自社の脱炭素化も重要になる。電力やプロセスの見直しには大規模な投資が避けられず、収益成長との両立が大きなテーマとなっている。今回の特集では、CNをいかにビジネスチャンスに転換していくかについて、経産省や川崎市、各企業の取り組みを取材した。

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◇インタビュー◇

経済産業省 製造産業局素材産業課長 吉村一元氏
 ▽化学産業はGXを強力推進、CNに向け炭素循環のプロ集団に

川崎市 臨海部国際戦略部本部 CN推進担当課長 篠原 顕氏
 ▽水素エネルギーと資源循環で脱炭素化、川崎モデルを構築

◇水 素◇サプライチェーンの構築を目指し開発が活発化

旭化成 執行役員 GSP長 植竹伸子氏
 ▽アルカリ水電解装置を大型化、海外市場でポジションを確立

東レ 常任顧問 経営企画室担当 出口雄吉氏
 ▽PEM型水電解装置に貢献、材料のリーディングカンパニーへ

◇各社の取り組み◇

積水化学工業 ESG経営推進部長 西山宏喜氏/担当部長 三浦仁美氏                       
 ▽環境中期計画は前倒しで進捗、次世代の環境技術を社会実装へ                      
  積水化学のCN技術:ペロブスカイト太陽電池/BR技術 

日本ゼオン CN推進室長 泉水慶太氏
 ▽省エネ・技術革新・燃料転換を軸に、「ものづくり」を転換

マイクロ波化学 代表取締役社長 吉野 巌氏
 ▽マイクロ波技術による電力の効率利用で、CN実現に貢献

ちとせグループ 最高経営責任者 藤田朋宏氏
 ▽バイオマス基点のものづくり、藻類事業を拡大し循環社会形成

【夏季特集】わが国化学産業、世界経済の変調で事業環境が一変

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2022年8月10日

脱炭素化も急務の課題、新たな挑戦で成長を実現

 わが国化学産業は、好業績となった昨年度から一転して、事業環境に暗雲が立ち込めている。ウクライナ問題を背景に原油価格が高止まりし、原燃料価格の高騰や物流費などのコストアップが収益を圧迫してきた。また中国では、ゼロコロナ政策の強化により景気が悪化。巣ごもり需要で好調だった半導体メモリやディスプレイ材料などでは在庫調整の動きも出始め、自動車生産も半導体不足の影響から計画の見直しが進む。

 こうした最終製品の需要低迷が素材分野に及び、わが国エチレン稼働率は8年7ヵ月ぶりに90%台を2ヵ月連続で割り込む事態となった。各社は、価格是正やコストダウンに取り組むなど、変動への耐性が問われる1年となっている。

 一方、化石資源がひっ迫しているものの、将来に向けた脱炭素化も急務の課題だ。環境に貢献する技術開発では、業界を超えたアライアンスや、NEDO事業などに参画する動きが活発化している。装置産業にとって脱炭素はハードルが高いものの、この転換期を乗り越え、いかにビジネスにつなげるかが、生き残りを図るカギになってくる。

 今回の特集では、既存事業の強化とともに、新たな分野にどう挑戦して企業成長を実現していくのか、業界を代表する方々に話を聞いた。

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◇インタビュー◇

三菱ケミカルグループ 代表執行役EVP 福田信夫氏
 ▽物流・サプライチェーン改革を推進、DXで可視化し最適化へ

旭化成 社長 工藤幸四郎氏
 ▽アニマルスピリットを覚醒、積極的に挑戦し道を切り拓く

三井化学 社長 橋本 修氏
 ▽社会課題解決にソリューションを提供、CVCで新事業創出へ

昭和電工 社長 髙橋秀仁氏
 ▽来年1月に統合新会社が発足、新社名と新体制で共創を実現

東ソー 社長 桒田 守氏
 ▽ハイブリッド経営で着実な成長、環境貢献と企業成長に挑む

JSR 社長兼COO 川橋信夫氏
 ▽成長投資を継続、技術力を強化し最先端分野を切り拓く

プライムポリマー 社長 藤本健介氏
 ▽ポリオレフィンは差別化に注力、MRとバイオマスで環境貢献

PSジャパン 社長 室園康博氏
 ▽長期ビジョンでは利益を追求、CR設備や環境製品開発に投資

【夏季特集】PSジャパン

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2022年8月10日

 代表取締役社長 室園康博氏

長期ビジョンでは利益を追求、CR設備や環境製品開発に投資

 ━足元の状況について。

 昨年は、全体的に景気が回復したことに加え、巣ごもり需要もあり、PSの国内需要はコロナ禍前の2019年を上回る結果となった。しかし、今年に入ってから内需は前年割れが続いている。その要因として、食品包材以外の用途が落ちてきており、中でも半導体不足や部品不足により電気・工業用途の減少したことが大きい。日本家電協会の発表より、下期に家電需要が回復してくると予想しているが、足元では半導体や部品不足の解消も見られている。この分野が回復してくることにより、

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