三菱ケミカル フィルムコーティングメーカーを買収

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2021年5月31日

 三菱ケミカルは28日、フィルムコーティングメーカーである中井工業(京都府京都市)の全株式を取得し、連結子会社化したと発表した。

 中井工業は、その長い歴史のなかで培ってきたフィルムのドライ/ウェットコーティング技術、およびその組み合わせであるコンポジット技術を駆使し、実績を積み重ねてきた総合コーティングメーカー。転写箔から産業用特殊フィルムなど幅広い市場向けに事業を展開している同社は、顧客からの多様な要望に対して的確なソリューションを提供することを得意としており、高付加価値な製品を顧客とともに開発することで高い評価を獲得してきた。

 三菱ケミカルは現在、世界5拠点(日本・中国・インドネシア・米国・ドイツ)でポリエステルフィルムを製造・販売するとともに、スマートフォンやディスプレイなどの光学用途を中心としたポリエステルフィルムの加工(コーティング)事業を展開。近年、フィルムに求められる性能はますます高度化していることから、中井工業の持つ技術・ノウハウ・人材・加工設備とのシナジーを通じて、広範な顧客からの高度な要望に素早く対応できる体制が構築できると判断した。

 三菱ケミカルは、光学用途や通信機器向けを中心とする高機能ポリエステルフィルムの旺盛な需要に対応するべく、インドネシアにおける新ラインの増設などの成長戦略を進めており、今回の買収により加工技術を拡充することで、この取り組みを加速させる。今後も、ポリエステルフィルムのリーディングカンパニーとして、積極的な事業展開を図っていく。

 

三菱ケミカル 人事(6月21日定時株主総会予定)

2021年5月31日

[三菱ケミカル・人事](6月21日定時株主総会予定)▽監査役飯田仁▽同北田裕二▽退任(同)三﨑正寛(7月1日)▽解兼基幹システム統合推進室長、常務執行役員デジタル&インフォメーションテクノロジー所管DX推進室長三菱ケミカルシステム取締役社長加藤淳▽基幹システム統合推進室長祖父尼瑞子。

三菱ケミカル 食品包装用ラップフィルムを6月から値上げ

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2021年5月31日

 三菱ケミカルは28日、食品包装用ラップフィルム「ダイアラップ」関連製品について、6月1日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は「現行価格の15%以上」。

 原油・ナフサなどの市況高騰により、原料や添加剤の価格が上昇している。加えて、電力費や包材費、物流費といった諸費用も上昇するなど、事業環境が悪化している。当社は、継続的なコスト削減に鋭意努力してきたが、現在の価格体系では安定的な製品供給が困難と判断し、今回の値上げを決定した。

三菱ケミカル PVA製品群を値上げ、採算是正を図る

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2021年5月31日

 三菱ケミカルは28日、ポリビニルアルコール(PVA)製品群の国内および輸出取引について、6月1日出荷分から値上げすると発表した。対象製品はPVA「ゴーセノール」、PVA特殊銘柄「ゴーセネックス」、アモルファスビニルアルコール系樹脂「ニチゴーGポリマー」、ゴーセネックスZ用架橋剤「セーフリンク」で、改定幅は国内価格が「50円/kg以上」、輸出価格が「500USドル/t以上」「450ユーロ/t以上」となっている。

 現在、PVA系樹脂の需給バランスがタイトな状況にあり、対象製品に関しても供給がひっ迫している。こうした中、各種コストの上昇により事業収益の悪化が進んでいる。同社は、これらコストの上昇が自助努力による吸収の範囲を超えており、安定供給に支障が出始めていることから、採算是正が必要と判断した。

三菱ケミカル 自動車関連技術・製品デジタル展示会を開催

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2021年5月27日

 三菱ケミカルは26日、自動車関連事業の技術・製品のデジタル展示会を開催すると発表した。期間は今月26~7月2日まで。同社は「未来のクルマをお客様と創りたい」という想いから、次世代自動車に求められる技術とソリューションを提案するため、デジタルマーケティングに注力。今回、自動車関連技術・製品を紹介するウェブページを新設し、あわせてデジタル展示会を実施する。

デジタル展示会
デジタル展示会

 デジタル展示会は、カヤック社が開発した「オンラインイベントプラットフォーム Remobiz(リモビズ)」を活用。オンライン上で顧客とのビデオ通話などを実施し、顧客に対するサポート力の強化を図る。アクセスは、リモビズ(https://mcc-ams.re-mo.biz/)、自動車関連技術・製品ホームページ(https://mcc-ams.com/)まで。

三菱ケミカルなど 「IBM Q」で有機EL励起計算に成功

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2021年5月27日

 三菱ケミカル、JSR、日本IBM、慶應義塾大学は26日、「IBM Qネットワークハブ」(慶應大量子コンピューティングセンター内)で以前から取り組んでいた「量子コンピューターを用いた有機EL発光材料の性能予測」の研究プロジェクトで得られた成果に関する論文が、世界的に権威のあるNature Research出版社の専門誌「npj Computational Materials」に掲載されたと発表した。

IBM 量子コンピューター
IBM 量子コンピューター

同研究プロジェクトは、有機EL発光材料の1つであるTADF材料の励起状態エネルギーの計算を実施するため、三菱ケミカルとIBMが主導し、JSRや慶應大と共に取り組んできた。従来から量子コンピューターによる計算は実機特有のエラーの発生が課題となっていたが、今回、同プロジェクトではエラーを低減させる新たな測定手法を考案し、計算精度を大幅に向上させることに成功した。量子コンピューター実機を用いて実用材料の励起状態計算に成功したのは、世界初の成果となる。

 今後、実機の計算能力の進化と共に従来以上に精密な計算を行えるようになり、より発光効率の高い材料設計に寄与することが期待される。同研究チームは今後も、量子コンピューターを幅広い材料開発に用いるための研究を進めていく。

三菱ケミカル ソアノール関連製品を値上げ、コスト高に対応

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2021年5月27日

 三菱ケミカルは25日、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂「ソアノール」と関連製品について、6月1日出荷分から値上げすることを決定し取引先との交渉を開始したと発表した。対象製品は「ソアノール」「ソアレジン」「ソアライト」で、改定幅は、日本・韓国とも「45円/kg」。

 ナフサ市況などの上昇に伴う主原料価格の高騰に加え、設備維持費用や物流費なども増加しており、製品の収益を大幅に圧迫している。同社は、徹底したコストダウンに取り組んできたが、自助努力だけではコスト上昇分を吸収することが困難な状況にあり、旺盛な需要に対応した安定的な製品供給を継続するには採算是正が必要であると判断した。

三菱ケミカルとJSW 世界最大級のGaN基盤製造設備竣工

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2021年5月26日

 三菱ケミカルと日本製鋼所(JSW)はこのほど、窒化ガリウム(GaN)単結晶基板の量産に向けた実証設備をJSW M&E室蘭製作所構内に共同で竣工したと発表した。今年度にかけて4インチのGaN単結晶基板の量産に向けた実証実験を行い、2022年度初頭からの市場供給開始を目指していく。

パイロット設備で育成した各種 GaN 結晶
パイロット設備で育成した各種 GaN 結晶

 GaNは、高効率・高耐久性により超高効率デバイスの実現を可能にする素材。大幅な消費電力の削減によりCO2排出量も削減できることから、環境負荷の低減が期待されている。GaNは青色LED用途のみならず、①高出力・高輝度光源、②情報通信、③パワー半導体、といった用途での応用が期待されている。

 JSWは、人工水晶製造用のオートクレーブ(圧力容器)を製造し、日本国内のシェアは100%で累計415基、海外も24基の実績がある。またグループ会社で30年間にわたり人工水晶を製造し、主に国内のカメラメーカーに多くの光学部品を納入している。

 一方、三菱ケミカルは、気相成長法(HVPE)と化合物半導体の加工技術を用いた高品質なGaN基板の製造技術を保有。より高い生産性を目指し独自の液相成長法(SCAAT)によるGaN基板の開発を進めている。

 両社は、東北大学と共同で大口径・高品質・低コストGaN基板の製造技術の開発を進めてきた。さらに名古屋大学・天野研究室とも結晶成長や特性評価等の共同研究体制を構築している。2017年には、室蘭製作所内に建設したパイロット設備において、透明で結晶欠陥が極めて少ないGaN基板の低コスト製造技術の開発に成功し、4インチサイズの均一な結晶成長も確認した。

 新たに開発した製造プロセス「SCAAT-LP」は、従来の約半分の圧力条件となる低圧酸性アモノサーマル技術を利用した、将来の量産に向けた製造技術となる。今回、導入する大型設備では、「SCAAT-LP」を用いて4インチのGaN基板の量産に向けた実証実験を行う。この結果を踏まえ、GaN基板の安定供給体制を構築するとともに、近年需要が増加するパワーデバイス用途に適用可能な6インチ基板の開発にも取り組んでいく。GaN基板は、パワーデバイスをはじめ、光エネルギー、電波エネルギーに関する様々な用途への応用が期待される。

 両社は、未来の社会を支える材料として重要な位置づけをもつ高品質なGaN基板の供給を通じ、燃費・発電効率向上といったエネルギーミニマム社会への貢献を目指していく。

 

三菱ケミカル PMMAケミカルリサイクル、実証試験を実施

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2021年5月25日

 三菱ケミカルと連結子会社三菱ケミカルメタクリレーツは24日、PMMA(アクリル樹脂)のケミカルリサイクル(CR)の事業化に向け、今年6月に日本国内で実証設備を建設し、事業化に向けた実証試験を進めると発表した。

通常のアクリル樹脂板(左)とリサイクルされたアクリル樹脂板(右)
通常のアクリル樹脂板(左)とリサイクルされたアクリル樹脂板(右)

 アクリル樹脂は優れた透明性・耐光性をもつプラスチック製品で、自動車のランプカバー、看板、水族館の水槽、塗料、建材などに幅広く用いられており、その世界需要は300万tを越える。また昨今では、飛沫感染防止用のアクリル樹脂板の需要が世界各地で増加している。

 両社は、かねてからアクリル樹脂のリサイクルに向けた検討を推進。環境に対する意識が世界でも先行し、よりスピード感が要求される欧州においては、現行のリサイクル技術を導入したアクリル樹脂リサイクル設備建設の検討を進めており、近いうちに決定する見通し。

実証設備の完成予想図
実証設備の完成予想図

 一方、日本国内では、アクリル樹脂のリサイクル技術検討のパートナーであるマイクロ波化学と協力。同社大阪事業所内で新たに建設を進めていた実証設備が6月に完成する。欧州と日本国内でその地域特性に合わせたそれぞれのアプローチで、2024年の稼働を視野に、アクリル樹脂のリサイクルプラントの建設に向けた検討を本格化する考えだ。

 廃アクリル樹脂は、製造工場から出る廃材に限らず、将来的には広く市場から回収することを視野に入れる。廃車からのテールランプなどのアクリル樹脂の回収、そのCRや再利用について、本田技研工業とともにスキームの検討を進めており、今回の実証設備を用いたリサイクルシステムの実証試験についても共同で実施していく。

 三菱ケミカルのアクリル樹脂リサイクル技術により製造されたMMA(メチルメタクリレート)とそれを原料として製造されたアクリル樹脂は、透明性をはじめ通常品と同水準の性能を保つとともに、製造工程でのCO2の排出量が従来よりも70%以上削減できると見込んでおり、環境負荷低減に大いに貢献することが可能である。

 同社はMMAおよびアクリル樹脂における世界ナンバーワンシェアのメーカーとして、同事業のサーキュラー・エコノミー実現に向けた取り組みを積極的にリードしていく。

 

三菱ケミカル エポキシ樹脂など値上げ、原料高騰に対応

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2021年5月24日

 三菱ケミカルは21日、エポキシ樹脂とエポキシ硬化剤について、6月1日の納入分から値上を実施し取引先との交渉を開始したと発表した。対象製品と改定幅は、ビスフェノールA型/F型エポキシ樹脂が「100円/kg」、同エポキシ樹脂希釈タイプが「47~93円/kg」、特殊エポキシ樹脂が「18~119円/kg」、エポキシ樹脂硬化剤が「73~115円/kg」。

 今年に入り、エポキシ樹脂およびエポキシ硬化剤の主原料であるビスフェノールAやエピクロルヒドリンの価格が高騰していたが、足元ではさらに騰勢を強めている。同社は、これらの大幅なコストアップを自助努力により吸収すべく最大限努めているものの、今後も安定供給体制を維持するため、今回の値上げを決定した。