住友化学 露社に高圧法PE製造技術ライセンスを供与

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2021年2月24日

 住友化学は22日、ロシア連邦タタルスタン共和国のカザンオルグシンテツ社(KOS)との間で、同社が進めるポリエチレン(PE)製造技術のライセンス契約を締結したと発表した。

 ロシアの大手石油化学会社の1つであるKOSは、1965年にPEの生産を開始したロシア最大級のPEメーカー。同社は現在、タタルスタン共和国カザン市の工場での、生産能力の増強と多様化を目指している。既存の複数ある製造設備の一部を除去し、最新鋭設備を建設する計画を進めており、その設備に、住友化学の高圧法PE製造技術が採用された。KOSが新たに建設する設備の生産能力は年産10万tの予定。

 住友化学の高圧法PE製造技術は、独自に開発したオートクレーブ型PE製造プロセス。1つの製造設備で低密度PE(LDPE)とエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)の切り替え生産ができ、EVAについては酢酸ビニルの添加量の調整により幅広い製品グレードに対応が可能。さらに、原料モノマーの反応効率が高く省エネであるほか、運転安定性に優れており、それらの点が高い評価を受け、今回、ライセンス供与することで合意した。

 住友化学は、今後も技術ライセンスのグローバル展開により、石油化学部門の事業ポートフォリオ高度化を目指すとともに、石油化学産業が抱える課題解決に貢献していく考えだ。

住友化学 通期業績を上方修正、為替差損などで純利益は下振れ

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2021年2月15日

 住友化学は12日、2020年3月期の通期業績(IFRS)予想の修正を発表した。売上収益2兆2600億円(前回発表比450億円増)、コア営業利益1350億円(同350億円増)、営業利益1100億円(同50億円増)、純利益200億円(同100億円減)を見込む。

 修正理由として、売上収益およびコア営業利益は、石油化学において製品市況が上昇していることに加え、医薬品や情報電子化学においても出荷が堅調に推移していることから想定を上回る見込み。 一方で、非経常的な要因により発生する損益として、医薬品「ナパブカシン」の結腸直腸がんを対象としたフェーズⅢ試験の解析結果において主要評価項目を達成しなかったことや、開発中の医薬品の事業性を見直したことにより、減損損失の計上などを見込む。加えて、1-3月期の為替相場を見直したことから、円高に伴う為替差損の発生により、純利益は前回発表予想を下回る見通しだ。

住友化学 ポーランドにPPコンパウンド生産拠点を新設

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2021年2月12日

 住友化学は10日、ポリプロピレン(PP)コンパウンド事業を強化するため、ポーランドに新たな生産拠点「住化ポリマーコンパウンドポーランド(SPCP)」を設立すると発表した。2022年春の稼働開始を予定している。

 PPコンパウンドは、軽量で成形性に優れるPPに合成ゴムやガラス繊維、無機フィラーなどを混練し機能性や剛性などを向上させた材料で、主に自動車のバンパーや内装材、家電製品に使用されている。

 同社グループは、特にガラス短繊維強化PPコンパウンド(GFPP)に強みがあり、PPの軽量で成形性に優れる特性と、ガラス繊維のもつ強度や耐熱性が高いといった特性を兼ね備える高性能な材料として、バッテリーケースをはじめとした自動車部品や洗濯機のドラムカバーケースなどの家電製品向けに、グローバルに拡販を進めてきた。

 ポーランドや隣接するドイツ東部、チェコには多くの自動車・家電メーカーが生産拠点を構えており、環境規制の強化による電気自動車(EV)の普及もあって、引き続きPPコンパウンドは堅調な需要伸長が見込まれる。そのため、今回、同社の子会社である住化ポリマーコンパウンドヨーロッパの100%子会社としてSPCPを新設し、より迅速に顧客にアクセスできる体制を構築する。さらに、EUのサーキュラー・エコノミー(循環経済)政策により、リサイクル品のニーズが一段と高まっているため、リサイクルPPを60~100%含有するGFPPについても、イギリスやフランスの拠点に続き、SPCPでも生産を開始しシェアを高めていく。

 住友化学は、今後も顧客のニーズによりスピーディーに対応するため、PPコンパウンドの生産販売体制を強化していく考えだ。

 

住友化学 プラスチックリサイクルのリサイクル教育、ナイジェリアで支援

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2021年2月12日

 住友化学はこのほど、ナイジェリアのオアンド財団による、プラスチックリサイクル意識の向上を目指すプロジェクト「Clean Our World」(COWプロジェクト)に対し、5万ドルの寄付を実施したと発表した。なお同社は、2017年から同財団と連携し、太陽光発電装置を備えたICTセンターを6カ所設立するなど、STEM(理数系)教育の支援も行っている。

ナイジェリア マシン地区の学校での清掃活動
ナイジェリア マシン地区の学校での清掃活動

 ナイジェリアでは年間3200万t以上のごみが発生し、そのうち30%超がプラスチックであると推定される。現在、それらプラごみの大部分は適切に廃棄されず、排水管の詰まりによる冠水を引き起こし、また西アフリカの主要河川であるニジェール川などから海洋に流出している。こうした状況を解決するため、昨年設立したCOWプロジェクトでは、将来を担う小学生に、教材提供や地域清掃活動などを通じて廃棄プラ問題やリサイクルに関する知識を学ぶ機会を提供し、啓発活動により地域の人々の行動変革を促していく。最大の都市ラゴス近郊の対象となる7つの小学校区のうち、すでに2校区で取り組みが進んでいる。

ナイジェリア オリル・イガンミュ地区での学校・地域一体となった清掃活
ナイジェリア オリル・イガンミュ地区での学校・地域一体となった清掃活動

同社は重要課題の1つに「プラスチック資源循環への貢献」を掲げており、プラスチックのリデュース、リユースにつながる製品の開発・供給に加え、近年は他企業やアカデミアと共同で複数のケミカルリサイクル技術の開発も推進。また、「オリセットネット」事業を通じてマラリア防圧に取り組む中で、アフリカの自立的な経済発展を実現していくためには教育環境の改善が必要と考え、2005年からはNGOなどと連携し、小・中学校の建設支援などを行ってきた。

 同社は今後も、アフリカの子どもたちの教育環境の改善に貢献するとともに、社会課題の解決に向けた取り組みを積極的に進めていく。

住友化学 大阪でEUVレジストなど増強、先端領域を強化

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2021年2月9日

 住友化学は8日、液浸ArF(フッ化アルゴン)、EUV(極端紫外線)などの最先端プロセス向け半導体フォトレジストについて、大阪工場(大阪市此花区)の製造ラインを増設し、生産能力を約4倍に引き上げると発表した。新製造ラインの稼働開始は、2022年度上期を予定する。

 フォトレジストは、半導体製造工程のパターン形成に使用される感光性樹脂。同社は、各種ファインケミカル事業で培った有機合成技術をベースに高い製品設計・評価技術を確立し、大阪工場を中心とした製造・研究・販売集約によるタイムリーな顧客対応力などを生かして事業を拡大してきた。特に、主として微細化工程で使用される液浸ArF露光用レジストについては、性能優位性と品質安定性により世界的に高いシェアを占めている。また、新たな光源であるEUV露光用レジストについても、採用が決定している有力顧客の量産化スケジュールに応じて出荷の増加を見込むとともに、着実な新規受注獲得に向けてさらなる微細化ニーズに沿った開発を進めている。

 2019年度には、先端フォトレジストプラントを新設したことに加え、開発効率向上や品質保証体制強化を目的としたクリーンルームの新棟建設と新規評価装置の導入計画を決定。これら直近3年間の投資額は100億円を超え、一連の供給体制整備の一部は経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」の対象事業に採択された。

 半導体デバイス市場は、5Gスマートフォン需要の増加に加え、在宅勤務などライフスタイルの変化に伴い、パソコンやデータセンター関連機器の需要増加を背景に伸長を続けており、液浸ArFをはじめとする先端フォトレジストの需要は、今後も年率6%の拡大が見込まれている。そのため、同社は今回、2019年度に設置した先端フォトレジストプラントに新たな製造ラインを増設し、同プラントの生産能力を約4倍に引き上げる決定をした。

 同じく2022年度上期に完成予定である開発・評価体制強化に向けた新棟建設と合わせ、次期中期経営計画(2022~24年度)の期間中に飛躍的な事業規模拡大を目指す。データ通信のさらなる高速化や大容量化などにより、半導体市場は今後も継続的な成長が見込まれている。2025年ごろには同社の生産能力はひっ迫が予想されるため、長期的な需要を見据えて一層の体制強化を検討していく考えだ。

 

住友化学 熱可塑性エラストマーを値上げ、コスト増に対応

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2021年2月8日

 住友化学はこのほど、熱可塑性エラストマー(TPE)について、今月15日出荷分から値上げすると発表した。対象製品は「エスポレックス TPE」で、改定幅は「30円/kg」となっている。

 TPEは、原料価格や物流費が上昇しているほか、製造設備の補修費の増加などにより、製造コストが年々増加している。こうした中、同社は様々なコスト削減に取り組んできたが、自助努力だけでこれらの増加費用の吸収は困難であることから、安定供給を継続するためにも、値上げせざるを得ないと判断した。

住友化学 PE・PPを追加値上げ、10円/kg以上

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2021年2月8日

  住友化学はこのほど、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)を今月22日納入分から値上げすると発表した。改定幅は「10円/kg以上」となっている。

 同社は、昨年12月25日に、1月15日納入分から「10円/kg以上」の値上げを打ち出していた。しかし、足元のナフサ価格は、原油価格上昇や旺盛な需要を受け、想定していた水準を超えてさらに上昇している。こうした大幅なコスト増は、自助努力だけでは吸収できないものであり、安定供給を継続するためにも、追加値上げせざるを得ないと判断した。

住友化学の4-12月期 コア営業利益1070億円

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2021年2月1日

 住友化学は29日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年同期比1%減の1兆6426億円、コア営業利益8%減の1070億円、営業利益9%減の1166億円、純利益42%減の219億円。

 セグメント別に見ると、石油化学は減収・コア営業損失。新型コロナ感染拡大の影響に伴う経済活動の落ち込みにより、自動車関連用途を中心に合成樹脂などの出荷が減少。また、原料価格の下落に伴い、石化製品などの市況が低水準で推移した。こうした要因に加え、交易条件の悪化やペトロ・ラービグでの定修の影響もありコア営業利益は損失となった。

 エネルギー・機能材料は減収減益。コロナ影響により、自動車関連用途のLIB用セパレータや合成ゴムなどの出荷が減少した。

 情報電子化学は増収増益。半導体プロセス材料である高純度ケミカルやフォトレジストは、需要の伸長に伴い出荷が増加。また、巣ごもり需要や在宅勤務需要などを背景に、ディスプレイ関連材料の出荷が増加した。

 健康・農業関連事業は増収増益。農薬は、昨年4月に実施したニューファーム社の南米子会社4社の買収により販売が増加。また、インドの出荷も堅調に推移した。さらにメチオニン(飼料添加物)は市況が上昇した。

 医薬品は増収増益。国内では「エクア」および「エクメット」(二型糖尿病治療剤)の販売が寄与し、北米では「ラツーダ」(非定型抗精神病薬)の販売が伸長した。昨年度に買収した会社の費用が増加したが、売上が伸びたことで増益となった。その他は減収増益だった。なお、通期業績予想については前回発表を据え置いている。

住友化学 カーボンニュートラルを実現、推進体制を構築

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2021年1月20日

 住友化学はこのほど、「カーボンニュートラル戦略審議会」および「カーボンニュートラル戦略クロスファンクショナルチーム」を2月1日付で設置すると発表した。

 新型コロナの感染拡大により、国際社会が直面する様々な課題解決の重要性が再認識されている。特に、気候変動に関しては、世界の平均気温上昇を1.5℃以内に抑えるために、カーボンニュートラルの達成を目指すことを、日本を含む各国・地域が表明し、政府や民間企業などが検討や活動を進めている。その実現には、カーボンリサイクルをはじめ様々な技術開発が不可欠であり、化学産業には、イノベーションを生み出し、カーボンニュートラル達成への貢献が強く求められている。

 こうした中、同社は、同審議会を新設し、①イノベーションによりグループの温室効果ガス(GHG)排出の最小化を達成し、開発した技術を世界に提供・展開、②LCAの観点からカーボンニュートラルに貢献する製品やソリューションを提供、③GHGを回収・分離・活用・貯蔵する技術の開発に積極的に参画し、それを社会実装するシステムの一員となって貢献、④GHGの絶対量を減らすためのカーボンネガティブ技術を開発する長期的な課題に挑む、の視点から戦略を策定するとともにマイルストーンを設定し、長期的総合的な観点から取り組みを推進する。

 また事務局として、技術・研究企画やRCなどを統括する役員をリーダーに、関連部署横断的な体制として「カーボンニュートラル戦略クロスファンクショナルチーム」を発足。同チームが主体となり、「画期的な蓄エネ・省エネ技術の社会実装」や「実効的な炭素循環サイクルの確立」、「水素供給およびその利活用(アンモニアを含む)を推進」、「畜・農産分野でのGHG削減への貢献」など、総合化学メーカーだからこそできる多面的なアプローチを戦略に組み込む方針だ。

 

住友化学 内部通報制度認証を取得、コンプライアンスを強化

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2021年1月14日

 住友化学はこのほど、「内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)」(WCMS認証)の登録事業者として登録された。

内部通報制度認証の登録マーク
内部通報制度認証の登録マーク

 同認証は、内部統制およびコーポレートガバナンスにとって重要な要素である内部通報制度について、適切に整備・運用する企業を高く評価するために消費者庁が2019年に創設。事業者は、自らの内部通報制度を評価して指定登録機関に申請し、消費者庁が定めた認証基準に適合している場合、事業者からの申請に基づき同機関がその内容を確認し、結果を登録することで、所定のWCMSマークの使用が許諾される。

 同社は、コンプライアンス違反の未然防止と早期発見、是正により社会からの信頼の獲得や企業価値の向上を図るため、2003年に内部通報制度である「スピークアップ制度」を導入。以後、通報に関する秘密の保持、通報者に対して不利益な取り扱いをさせないことなど厳格な運用によって制度の信頼性を向上させるとともに、経営トップからのメッセージを含め様々な機会を通じて従業員へ周知することで、利用の促進に努めている。

 同社は、今回のWCMS認証登録によって、「スピークアップ制度」の信頼性をさらに高めるなど、引き続きコンプライアンス体制の強化に取り組み、グループの持続的な発展につなげていく。