住友化学 カーボンニュートラルを実現、推進体制を構築

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2021年1月20日

 住友化学はこのほど、「カーボンニュートラル戦略審議会」および「カーボンニュートラル戦略クロスファンクショナルチーム」を2月1日付で設置すると発表した。

 新型コロナの感染拡大により、国際社会が直面する様々な課題解決の重要性が再認識されている。特に、気候変動に関しては、世界の平均気温上昇を1.5℃以内に抑えるために、カーボンニュートラルの達成を目指すことを、日本を含む各国・地域が表明し、政府や民間企業などが検討や活動を進めている。その実現には、カーボンリサイクルをはじめ様々な技術開発が不可欠であり、化学産業には、イノベーションを生み出し、カーボンニュートラル達成への貢献が強く求められている。

 こうした中、同社は、同審議会を新設し、①イノベーションによりグループの温室効果ガス(GHG)排出の最小化を達成し、開発した技術を世界に提供・展開、②LCAの観点からカーボンニュートラルに貢献する製品やソリューションを提供、③GHGを回収・分離・活用・貯蔵する技術の開発に積極的に参画し、それを社会実装するシステムの一員となって貢献、④GHGの絶対量を減らすためのカーボンネガティブ技術を開発する長期的な課題に挑む、の視点から戦略を策定するとともにマイルストーンを設定し、長期的総合的な観点から取り組みを推進する。

 また事務局として、技術・研究企画やRCなどを統括する役員をリーダーに、関連部署横断的な体制として「カーボンニュートラル戦略クロスファンクショナルチーム」を発足。同チームが主体となり、「画期的な蓄エネ・省エネ技術の社会実装」や「実効的な炭素循環サイクルの確立」、「水素供給およびその利活用(アンモニアを含む)を推進」、「畜・農産分野でのGHG削減への貢献」など、総合化学メーカーだからこそできる多面的なアプローチを戦略に組み込む方針だ。

 

住友化学 内部通報制度認証を取得、コンプライアンスを強化

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2021年1月14日

 住友化学はこのほど、「内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)」(WCMS認証)の登録事業者として登録された。

内部通報制度認証の登録マーク
内部通報制度認証の登録マーク

 同認証は、内部統制およびコーポレートガバナンスにとって重要な要素である内部通報制度について、適切に整備・運用する企業を高く評価するために消費者庁が2019年に創設。事業者は、自らの内部通報制度を評価して指定登録機関に申請し、消費者庁が定めた認証基準に適合している場合、事業者からの申請に基づき同機関がその内容を確認し、結果を登録することで、所定のWCMSマークの使用が許諾される。

 同社は、コンプライアンス違反の未然防止と早期発見、是正により社会からの信頼の獲得や企業価値の向上を図るため、2003年に内部通報制度である「スピークアップ制度」を導入。以後、通報に関する秘密の保持、通報者に対して不利益な取り扱いをさせないことなど厳格な運用によって制度の信頼性を向上させるとともに、経営トップからのメッセージを含め様々な機会を通じて従業員へ周知することで、利用の促進に努めている。

 同社は、今回のWCMS認証登録によって、「スピークアップ制度」の信頼性をさらに高めるなど、引き続きコンプライアンス体制の強化に取り組み、グループの持続的な発展につなげていく。

住友化学 MMAモノマーを値上げ、25円/kgで実施

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2021年1月8日

 住友化学はこのほど、MMA(メタクリル酸メチル)モノマーについて今月11日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は「25円/kg」。

 MMAモノマーは、製造設備の高経年化による補修費の増加や物流関連費が上昇していることに加え、主要原料であるナフサなどの価格も足元で上昇しており、製造コストが大幅に増加している。同社は、これまでコスト削減に努めてきたが、自助努力だけでこれらの増加費用を吸収することは困難と判断し、安定供給を継続するためにも、今回の価格改定を決定した。

住友化学 PEとPPを10円/kg以上値上げ

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2021年1月7日

 住友化学はこのほど、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)を今月15日納入分から値上げすると発表した。改定幅は、PE、PPとも「10円/kg以上」。

 アジアのナフサ価格は、足元の原油価格上昇や、旺盛な需要を受けて上昇している。そのため今年1Q(1-3月期)のナフサ輸入価格は、昨年4Q(10-12月期)対比で大幅に上昇することが予想される。こうした大幅なコスト増は、同社の自助努力のみでは吸収できない状況にあり、安定供給を継続するためにも、今回の価格改定を決定した。

 なお、想定したナフサ価格が大きく変動する場合は、価格改定幅の修正もある、としている。

《化学企業トップ年頭所感》住友化学 岩田圭一社長

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2021年1月6日

 昨年は、新型コロナウイルス感染症により、政治や経済、医療体制など広範囲に影響を受けた。今年は、2022年度からの次期中期経営計画を策定するが、アフターコロナの社会経済情勢を見据え、将来も社会から信頼される企業として存在し続けるためにどう進んでいくのかを考える年となる。まさに企業の真の力が問われる1年になるが、企業の力のベースとなる組織力を磨き上げていくために、次の3点の実践をお願いしたい。

 まず、自らイノベーションを起こすことだ。課題を見つめ直し、あるべき姿と現状の差を縮めようと苦闘する中からイノベーションは生まれる。一人ひとりが「自分ごと」として、変化を続ける環境において自分が担当する業務はどうあるべきかを考え、仕事の進め方の変革を含めたイノベーションの担い手となってほしい。

 次に、スピードを意識することだ。今は時代が大きく変化する過渡期にある。時代の変化を常に実感し、その変化に負けないスピードで行動することを意識してほしい。そのためにも、変化の底流にある方向性を押さえ、素早く着手し、プロセスを進める過程で機敏かつ柔軟に軌道修正する能力を身に付けてほしい。

 最後に、多様性を高めることだ。組織の力を最大化する上で重要なことは現場力の一層の向上だ。変化していく社会では、自分の価値観や従来のやり方に固執していては決して飛躍や成功は望めない。また、コロナ禍で対面のコミュニケーションが制限される中では、相手の気持ちに思いを致すことが重要になる。国籍や性別をはじめ各々がもつバックグラウンドにかかわらず、全ての社員がお互いを尊重し、多様性がしっかり根付いた組織を目指してほしい。

 新型コロナは様々な変化をもたらした。中でも、「デジタル革新の社会実装の加速」と「サステナビリティ」の2つの長期的なトレンドが、今年はさらに大きなうねりとなり、当社グループの事業にも大きな影響を与えるだろう。社会基盤を支えるとともに、革新的な素材や技術を開発し新たな価値を創造する「イノベーションの先兵」として、化学産業の役割はますます拡大する。化学産業に従事する誇りと責任感をもって、引き続き、社会価値と経済価値を共に創出していくことを目指し、諸課題に取り組んでいこう。

住友化学 CDPの気候変動と水セキュリティ対応で最高評価

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2020年12月25日

 住友化学はこのほど、気候変動および水セキュリティ対応で、目標設定、行動、透明性の点で特に優れた活動を行っている企業として、CDPにより「気候変動Aリスト2020」と「水セキュリティAリスト2020」に選定された。最高評価であるAリストへの選定は、気候変動は3年連続、水セキュリティは初となる。

 2000年に設立されたCDPは、企業や政府などによる温室効果ガス排出削減や水資源管理、森林保全を促進している国際NGO。現在、世界の機関投資家を代表して、主要企業の環境分野に関する取り組みの情報を収集し、評価している。今回、CDPに環境情報を開示した約9600社のうち、気候変動および水セキュリティの両方で最高評価を獲得したのは世界で64社(日本企業は17社)。

 住友化学は、環境負荷低減への貢献を重要課題(マテリアリティ)の1つと位置付けている。気候変動対応では、2018年に総合化学企業として世界で初めてSBTイニシアチブによる認定を取得したほか、「Sumika Sustainable Solutions(SSS)」などを通じて、製品ライフサイクル全体での温室効果ガス排出削減に取り組む。水セキュリティ対応では、各生産拠点において水リスク評価を実施の上、水使用量削減の取り組み強化や、工業排水浄化の高度化を図るとともに、気象災害の激甚化に対応するための防災対策を強化し、安定供給に努めている。

気候変動と水セキュリティ対応でCDPから最高評価
気候変動と水セキュリティ対応でCDPから最高評価

住友化学 PDHの水素でメタノール合成、技術確立を検討

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2020年12月25日

 住友化学は24日、シンガポールの石油化学コンプレックスにおいて、プロパン脱水素(PDH)技術の導入を検討するとともに、PDHから副生される水素と石化設備から排出されるCO2を原料に、高効率でメタノールを合成する技術と組み合わせる検討を開始したと発表した。PDH技術によるプロピレン需要への対応と、CO2削減による環境負荷低減の2つを同時に実現することが期待される。なお同件は、低炭素社会と経済活動とを両立できる取り組みであることから、シンガポール経済開発庁(EDB)の支援を受けている。

 近年、シェールガス由来のエタンを原料とするエタン・クラッキングが増加しているが、ナフサ・クラッキングに比べてエチレン以外の生産物が少ないため、プロピレンが相対的に不足する傾向にある。同社は、シンガポールの石化コンプレックスにPHD技術の導入を検討し、プロピレン供給不足への対応を図っていく。

 一方、産業活動で多量発生するCO2に対し、排出削減や有効活用が求められている。同社は現在、島根大学と共同でCO2からメタノールを高効率で合成する技術研究を推進。この技術が確立されれば、メタノール合成に必要となる原料について、PDH技術による水素と、石化コンプレックス内で排出されるCO2を有効利用することができる。

 同社は、シンガポールの拠点に、PDH技術と、高効率なメタノール合成技術を組み合わせて実装していくことを検討する。そして、シンガポール政府の協力も得ながら、同技術の早期導入を果たすとともに、これからも経済価値と社会価値の両方を創出し、事業を通じてサステナブルな社会の実現に貢献していく。

シンガポールでPHD技術とメタノール技術導入を検討
シンガポールでPHD技術とメタノール技術導入を検討
 

住友化学 合成生物学で次世代事業を加速、米国で新組織設立

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2020年11月17日

 住友化学は16日、米国子会社ベーラント・バイオサイエンス社(イリノイ州:VBC)のバイオラショナルリサーチセンター内に、新組織「シンバイオハブ」を設置したと発表した。合成生物学の革新的技術が数多く創出されている米国内に同分野の技術構築を目的とした拠点を設立することで、次世代事業の創出に向けた取り組みを一層加速させる。

 近年、バイオテクノロジーとデジタルテクノロジーの融合による技術の急速な進歩により、合成生物学の産業利用が大きく進展。こうした中、住友化学は、合成生物学と総合化学メーカーとして長年培ってきた化学技術を融合させることで、化学合成だけでは製造が困難な高機能製品や、高収率かつクリーンで省エネルギーなプロセスを開発し、新事業の創出を目指している。すでに、コナジェン社への出資やザイマージェン社との提携をはじめ、合成生物学分野のスタートアップ企業やアカデミアとの間で様々な取り組みを進め、同分野への研究開発投資を積極的に実施している。

 今回、VBC内に新設するシンバイオハブは、オープンイノベーションはもとより、米欧のイノベーション探索拠点であるコーポレート・ベンチャーリング&イノベーションオフィス(CVI)や、バイオサイエンス研究所、工業化技術研究所などの国内拠点とも連携。同社グループ全体で、合成生物学を利用した基盤技術の早期構築を図る。

 また、生産菌株の開発、スケールアップなどの自社研究にも着手し、バイオラショナル事業や化学品の工業化で培った技術も生かして合成生物学の技術・知見・経験を集積することで、同社グループがもつ化学技術とのシナジーも追求し事業化につなげていく考えだ。

 

総合化学大手 4-9月期業績、各社2桁減益に

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2020年11月16日

足元需要は回復傾向も、コロナ再拡大が懸念材料

 総合化学大手5社(三菱ケミカルホールディングス、住友化学、三井化学、旭化成、東ソー)の上期(4-9月期)業績は、新型コロナによる需要減少の影響が4-6月期を中心に強く表れたことから、前年同期比で厳しい結果となった。

 各社の利益を見ると、コア営業利益(IFRS)では、三菱ケミHDは前年同期比58%減の546億円、住友化学は同36%減の541億円、三井化学は同53%減の186億円となり、営業利益では旭化成が同25%減の768億円、東ソーが同56%減の176億円と、揃って2桁の減益率となった。中でも石化事業は、原油・ナフサ価格の下落に伴い製品市況が低迷し、コロナ影響で販売数量も大きく減少。三菱ケミカルのMMA、旭化成のアクリロニトリル(AN)、東ソーのMDIなど市況製品の交易条件が大幅に悪化した。また、4-6月期の国産ナフサ価格は2万5000円と、1―3月期に比べ2万円近く下落しており、在庫の受払い差や評価損が発生したことも収益の下押し要因となっている。

 一方、4-9月期の各社の売上高営業利益率(ROS)を見ると、コア営業利益では、三菱ケミHDが3.6%(前年同期比3.6ポイント減)、住友化学が5.2%(同2.4ポイント減)、三井化学が3.5%(同2.4ポイント減)となり、営業利益では旭化成が7.8%(同1.7ポイント減)、東ソーが5.5%(同4.7ポイント減)となった。

 三菱ケミHDはケミカルズセグメント(MMA、石油化学、炭素)、住友化学は石化事業、三井化学は基盤素材、旭化成は基盤マテリアルズ(AN)とパフォーマンスプロダクツ(合成ゴムやエンジニアリングプラスチックス)、東ソーは石化とクロル・アルカリ(MDI)、での収益悪化がROS低下につながった。コロナ影響によりロックダウンが導入されたことで世界経済が停滞し、汎用品を中心に需要が減少したことが伺える。

 今後については、4―6月期を底に需要が回復傾向となっており、下期もこの傾向が続くとの見方が強まっている。特に中国では、自動車や家電などの生産活動が活発化し、石化製品の需要が拡大していることや、半導体関連製品もリモート化や5Gの進展で好調さ継続している。

 こうした状況を受け、通期業績見通しでは、住友化学と三井化学はコア営業利益の上方修正を行い、旭化成はレンジで示していた営業利益からの上積みを見込むなど、各社の収益の上振れが期待される。とはいえ、足元でコロナ感染が再拡大の様相を見せていることや、米国大統領選の結果を受け世界情勢が不安定化していることが懸念材料。この先、世界経済が変調する可能性もあり、事業環境はこの先も予断を許さない状況が続きそうだ。

 

 

 

住友化学 税務方針を制定、ガバナンス強化の一環

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2020年11月4日

 住友化学は2日、「住友化学グループ税務方針」を制定したと発表した。同方針は、同社グループのコーポレートガバナンス強化の一環として、これまでの税務に関する取り組み方針を明文化したもの。

 2012年に経済協力開発機構(OECD)で発足した「BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクト」を契機として、租税回避行為の防止に向けた国際課税ルールの見直しが各国・地域で進められている。このような世界的な税務コンプライアンス強化の動きのほか、企業によるグローバル展開の拡大などに伴い、企業グループが抱える潜在的な税務リスクの規模や複雑性が増大。住友化学グループは、現在、世界の約30カ国で事業展開をしており、納税を企業が果たすべき最も基本的かつ重要な社会的責任の1つと捉えている。これまでも、各国・地域で適用される税法を順守し、適切な納税を行ってきたが、税務コンプライアンスと税の透明性確保に向けた取り組みを全グループ会社がより高いレベルで実行するため、方針を制定した。

住友化学グループは、コンプライアンスを企業経営の根幹と位置づけ、引き続き、事業活動を行っている各国・地域では、諸法令はもとより、企業倫理の順守を徹底していく。