需給タイト継続、製品への転嫁が進まず天井感も
塩ビ樹脂(PVC)の5月分のアジア輸出価格は、インド向けが前月比20ドル高のCFR1820ドル/t、中国その他向けは同30ドル高の1540ドル/tで決着した。4月の輸出価格は、米国寒波影響で世界的に需給がひっ迫し、インド向けも中国向けも300ドル程度急騰していたが、その流れが続いたことで、5月の契約価格も一段高となっている。
台湾大手メーカーも、インド向け
2021年5月12日
2021年4月5日
米国の寒波影響が波及、世界的に供給不足が継続
塩ビ樹脂(PVC)の4月分のアジア輸出価格は、インド向けが前月比320ドル高のCFR1800ドル/t、中国その他向けは同300ドル高の1510ドル/tで決着した。3月の輸出価格は、昨年発生したトラブル要因が解消され天井感が出ていたことから、インド向けは120ドル安、中国向けは20ドル高となっていた。
そうした中、2月中旬に、石油・石化設備の集積地である米国テキサス州に寒波が襲来。その影響で停電が発生したり、配管が凍結したりしたため、各社のプラントが稼働停止を余儀なくされた。PVCも、大手メーカーが相次いでフォースマジュール(FM)を宣言したことに加え、港湾からの出荷が停滞したこともあり一気に需給がタイト化。市場に出回る玉が蒸発したことで、両地域とも輸出価格が300ドルも急騰する結果となっている。
台湾大手メーカーも、インド向け
2021年4月1日
2021年3月4日
塩ビ工業・環境協会(VEC)がこのほど発表した需給実績によると、1月の塩ビ樹脂(PVC)の総出荷量は前年同月比6.2%減の12万4000tとなり、3カ月連続でマイナスとなった。前月比で見ても6.4%減と2カ月連続で減少し、マイナス幅が拡大している。国内出荷は微減で推移しているが、1月の輸出が12.2%減の4万6400tと前年同月比で2桁減となったことが総出荷量の減少につながった。
斉藤恭彦会長(信越化学工業社長)は先月の定例記者会見で「国内と海外で事業が異なるが、塩ビの需要は世界的に底堅く着実に伸びている」との見解を述べ、海外需要は引き続き堅調だとの見方を示した。
国内出荷は、前年同月比2.2%減の7万7600tとなり16カ月連続で前年実績を割り込んでいる。製品別では硬質用が同4.7%減、電線・その他が同2.4%減と力強さがなかったのに対し、軟質用は同3.6%増となっており改善の兆しが見えている。なお、1月の生産は同9.5%減の14万t、末在庫は前月比12.4%増の14万5300tだった。
一方、会見では、進藤秀夫専務理事がトピックスとして、
2021年3月2日
転嫁遅れで調整局面、トラブル再発で4月反転も
塩ビ樹脂(PVC)の3月分のアジア輸出価格は、インド向けが前月比120ドル安のCFR1480ドル/t、中国その他向けは同20ドル高の1210ドル/tで決着した。
インド向けは、日本品の2月価格が1600ドル/tにまで高騰していたため調整局面となり、ロックダウンでオファーが成立しなかった昨年5月以来、10カ月ぶりの下落となっている。とはいえ、需給がタイトな状況に変わりはない。台湾大手メーカーは、インド向け “塩ビ樹脂 3月のインド向け輸出は10カ月ぶりに下落” の続きを読む
2021年1月29日
2020年12月24日
世界的に需給タイト継続、玉確保の動きが強まる
塩ビ樹脂(PVC)の1月分のアジア輸出価格は、インド向けが前月比140~150ドル高のCFR1450~1460ドル/t、中国・その他向けも同60ドル高の1160ドル/tで決着した。
台湾大手メーカーも、インド向け “塩ビ樹脂 1月のインド向け輸出は150ドル上昇” の続きを読む
2020年11月30日
2020年11月27日
2020年11月2日
海外で2社がFM宣言、需給タイトに拍車掛かる
塩ビ樹脂(PVC)の11月分のアジア輸出価格は、インド向けが前月比100ドル高のCFR1200ドル/t、中国・その他向けも前月比90ドル高の1060ドル/tで決着した。台湾大手メーカーも、インド向け同110ドル高の1120ドル/t(ボリュームディスカウントなし)、中国向け同90ドル高の1060ドル/t(同なし)で決着しており、わずか2カ月間に両地域とも200ドル以上も急騰している状況だ。
経済活動の再開に伴い、世界的にPVC需要が強まる中、8月末にはハリケーン影響で米国メーカーが、9月頭にはプラントトラブルで欧州メーカーが、それぞれフォースマジュール(FM)を宣言。需給バランスが一気にタイト化し、各地域向けの10月のオファー価格が100ドルも急騰した。
こうした中、10月には2つの欧州メーカーが相次いでFMを発表。タイト化にさらに拍車がかかったことで、市場では需要家の玉を確保する動きが加速し、オファー価格も2カ月連続で急騰する結果となった。また、FM以外では、塩素の併産品であるカセイソーダの市況が低迷していることも要因の1つ。電解設備の稼働を上げられず、塩ビ生産に影響が出ているメーカーもあるようだ。
地域別に見ると、インドは需要期に入ったことで、農業用パイプ向けなどの引き合いが強い。コロナ禍の影響が地域によってまだら模様となっているものの、在庫を積み増す動きも見られている。この先、さらに経済活動の活発化に伴い引き合いが強まることが想定されるが、オファー価格が急激に上昇したため調整が入る可能性もある。
一方、中国は、政府の補助策もあり生産活動が活発化している。再輸出品に使用される輸入PVCも、外需が戻りつつあることで好調さを継続。また、国内カーバイド法が、住宅向けやインフラ向けの需要増加を背景に一段高となっていることも、輸入PVCのオファー価格を押し上げる要因となっている。この先、中国は冬の不需要期に向かうものの、中国向けのオファー価格も高い水準を維持しそうだ。
今後については、先行きを見通すのが難しい。欧米ではコロナの第2波により、ロックダウンが再び導入されており、経済全体への影響が懸念される。また、先にFM宣言を出した欧米の各メーカーもすでに立ち上げ作業を開始しているもようで、復旧すれば価格の上値を抑える要因となる。年内はタイト感が解消されないとの指摘もあるが、来年以降は先行き不透明感が強まっている状況だ。
なお、日本の9月のPVC輸出は、前年同月比6.1%増の6万5600tとなった(VEC発表)。4カ月連続で6万t以上を輸出しており、依然として高水準を継続している。仮に足元の状況が続けば、今年(暦年)の輸出量は67万t前後となりそうだ。