《化学企業トップ年頭所感》旭化成 小堀秀毅社長

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2020年1月7日

 今年も旭化成グループは、元日のニューイヤー駅伝で陸上部が見事4連覇を達成し、たいへん素晴らしいスタートを切ることができた。

 さて、当社グループにとっての2019年を一文字で表現すると「祝」がふさわしいと思う。なんと言っても、名誉フェロー吉野彰さんのノーベル化学賞受賞だ。これは我々のみならず産業界の誇りであり、特に若手研究者に夢や希望を与えてくれるものだった。スポーツではニューイヤー駅伝3連覇に始まり、8月の世界柔道選手権では大野将平選手が見事なオール一本勝ちで金メダルを獲得した。

 また、5月発表の2018年度決算では売上高、営業利益ともに過去最高を記録。サステナビリティを中核に据えた中期経営計画〝Cs+ for Tomorrow 2021〟を発表し、サステナビリティ推進部、マーケティング力強化や事業化を支援するマーケティング&イノベーション本部、ASEAN地域のコネクトを推進するための旭化成アジアパシフィックを設置した。

 住宅事業では上期に過去最高の業績を達成し、ヘルスケア事業ではグローバル化を加速するため、米国ベロキシス社の買収を決定するなど、皆さんのおかげで本中計は良いスタートが切れたと感じている。

 一方、当社グループを取り巻く事業環境は、米中の貿易戦争や先端テクノロジーを巡る覇権争いなどから、グローバル規模で経済成長の減速が表れ始めた年だった。日本国内では、前年に引き続き各地で自然災害が多発し、甚大な被害を受けた。企業もより高いレベルでのBCP対応やインフラ強化が求められている。

 2020年も先行き不透明な状況が続くものと思うが、社内外との効果的なコネクト、基盤強化、事業高度化を図り、環境に柔軟に対応することで各施策を実行していこう。

 昨今「地球温暖化」「海洋プラスチック問題」など、地球規模 での課題の解決が求められており、企業は、その取り組み姿勢を厳しく問われている。吉野さんはノーベル化学賞受賞のレクチャーで、リチウムイオン電池の活用により、今後「環境」「経済」「利便性」という3つの要素を調和させながら課題解決を図るという素晴らしい決意を示された。

 当社グループも世の中の変化をしっかり捉え、イノベーションによる新事業創出やポートフォリオの変革により、サステナブルな社会の実現に貢献していきたい。

 2020年の抱負は、2019年の「祝」をつなげていきたいという想いを込めて、継承・継続の「継」の一文字としたいと思う。引き続き、当社の特徴ある事業や技術を生かすことで企業価値向上を目指すとともに、 各自の専門性を高め、生産性の向上を図り、新しいことにチャレンジし、社会からの期待にしっかり応えていこう。

【2019年 夏季特集】 旭化成代表取締役社長 小堀秀毅 氏

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2019年8月9日

  サステナビリティへの貢献を軸に、製品・用途開発を推

 ━昨年度の振り返りと施策について、お聞かせください。

 旭化成小堀社長 昨年度は3カ年の中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」の最終年度だったが、売上高と営業利益が過去最高を更新し、計数面で非常にいい成果がでた年だった。また、拡大投資にかなり踏み込んだ年でもあった。競争優位性のある事業では、オーガニックな成長に向けた能力拡大投資を決定した。

 M&Aでは、CO2センサーのモジュールメーカーであるセンスエアー社、自動車用内装材メーカーのセージ社、住宅の部材サプライヤーであるエリクソン社などの買収を発表した。この3社についてはクロージングも完了しており、将来に向けた成長への布石が打てたと考えている。

 一方、事業の基盤強化では、

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【化学企業 入社式訓示①】旭化成 小堀秀毅社長

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2019年4月2日

 本日は皆さんの入社に当たり3つの話をしたい。1つ目は、旭化成の歴史についてだ。旭化成は、2022年には100周年を迎える。創業以来、時代の変化や要請に柔軟に対応し、事業ポートフォリオを改革することで成長・拡大してきた。その旭化成の原点となる地、延岡での研修を通じて、当社の伝統の重荷を実感し、製品の強みと競争力とは何かをしっかり見て学んでほしい。

 2つ目はグループ理念、グループビジョン、グループバリューについてだ。当社ではかねてより「世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〟に貢献します。」というグループ理念を掲げ、このグループ理念の下、「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を通して社会に新しい価値を提供することをビジョンと定めている。

 世界には、まだ多くの解決すべき課題がある。当社は、多角的な事業と多彩な技術、多様な人財でそれらの課題に向き合い、強みを生かしながら、今後も世の中に貢献していくことを目指している。当社グループの従業員が持つべき普遍的な価値観である「誠実」「挑戦」「創造」に則り、誰に対しても「誠実」に向き合い、好奇心を持って果敢に「挑戦」し、新たな価値を「創造」することを強く意識してほしい。

 そして3つ目は皆さんに取り組んでいただきたいことについてだ。企業を取り巻く環境も大きく変化しているが、このような環境下で、企業に求められているキーワードは「サステナビリティ」「企業として世界レベルで持続可能な社会の実現に向けて貢献していくこと」、同時に「事業活動を通じて企業価値を持続的に向上していける社会にしていくこと」だ。

 その実現のために必要なのは、皆さんが当社のグループ理念、ビジョン、バリューを共有しながら、旭化成グループというチームの「プレーヤー」として主体的、自主的に意思ごとに取り組むこと、専門性の高いそれぞれの職種、業務のプロフェッショナルになることだ。専門性を身に付ける重要なポイントは、高い倫理観、世の中のトレンド・変化を見極める幅広い洞察力、そして強い探究心だ。さらに、現場に足を運び、自分の目で現物を確かめ、現実を知るという「三現主義」を徹底して実行することも大切だ。

 皆さん一人ひとりが、旭化成という場を通じて成長し、世界を舞台に社会・会社に貢献できる人になってほしい。

《化学企業トップ年頭所感》 旭化成 小堀秀毅社長

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2019年1月8日

 昨年は、当社グループにとっては中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」の仕上げの年だったが、計画はおおむね順調に推移し、2017年度に創業後初めて売上高2兆円を超えた。2018年度の営業利益は、昨年に続き、中計の当初目標を上回る見通しだ。事業環境に恵まれたこともあるが、社員の皆さんの日頃の努力の賜物であり、心から感謝する。

 2019年は現中計の達成に加え、次期中期経営計画のスタートとなる、極めて重要な年だ。次期中計では、2025年に当社グループが目指す姿「収益性の高い付加価値型事業の集合体」に向け、現中計で行った投資の成果の刈り取りはもちろんのこと、引き続き、新事業の創出、グローバル展開などの成長戦略を進めていく。

 新事業の創出については、今後も外部環境はめまぐるしく変化し、それによってスケールの大きなイノベーションが起こり、ビジネスチャンスが次々と生まれることが予想される。新たなマーケットの課題や要求に対して価値を提供するには、当社がもつ素材にサービスやシステムなどを組み合わせ、ソリューションという形でユーザーに提案していくことが必要だ。

 その手段として、社内のデジタルトランスフォーメーション推進、新しいテクノロジーの活用加速、オープンイノベーション、外部機関との連携や異業種との協力など、外部とのコネクトも重要となる。皆さんにはこのことを念頭に業務にあたっていただきたい。

 また、グローバル展開の加速も意識しながら、地域ごとに戦略を組み立て、高付加価値型事業を展開していくとともに、ナショナルスタッフ人財の獲得と育成にも取り組んでいく。

 当社グループが持続的に成長し続けるためには、皆さんが旭化成という大きなチームの中でそれぞれの役割やミッションを改めて認識し、主体的に行動する〝プレイヤー〟たることが重要だ。その一人ひとりの意識改革と成長が互いを刺激し、有機的にコネクトすれば、スポーツでいうところの〝連動〟すなわち相乗効果が生まれ、〝チーム旭化成〟はもっと、強くなることができると確信している。

 どのような環境下においても、当社グループの役割・使命は変わらない。「世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〟に貢献します」というグループ理念のもと、持続可能な社会の実現と当社グループの成長を図ることだ。多様な事業活動やレスポンシブル・ケア活動を通じて、環境問題や社会問題の解決に貢献し、コンプライアンス遵守の徹底と透明性の高いガバナンス体制の運用を継続することで、ESG経営を推進して、企業価値の増大をさらに図る。

 今年も皆さんにとって健康・安全で、明るい1年となるように、旭化成グループが1つのチームとして一丸となって頑張っていこう。

【2018年 夏季特集】 旭化成代表取締役社長  小堀秀毅氏

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2018年8月9日

海外依存は自然の流れ、各エリアの戦略・ガバナンスを強化

 ━ 世界情勢について。

 昨年までは世界各国において、政治の目まぐるしい変化はあったが、全体として世界協調的に緩やかな経済・景気の拡大という路線は変わらなかった。今年に入り、米国が利上げを行い、欧州でも同様な動きが出ており、少しずつ経済の風向きが変わる可能性がある。

 足元だけを見ると、緩やかな拡大基調という流れは変わっていないと見ているが、米中の貿易摩擦や新興国の通貨安などがどう動いていくかを、注視しなければならない。最も懸念していたのは為替だが、現状は想定より円安に振れており事業にとっては良い状態と言える。

 いずれにせよ、変化への対応力・適応力が求められ、そのためには変化へのアンテナをどう張るかが重要になる。マーケットの動きは現場が一番良く分かるのだから、現場が感じたものが速やかに経営上層部に入り、判断できるようにならなければならない。この現場力とスピードが大切だ。

 ━ 日本では石油業界において統合が進んでいる。化学メーカーのコンビナートの今後は。

 化学メーカーはいろいろな分野に事業が広がってきていることから、強いところをより強くするために

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