帝人ファーマ A型ボツリヌス毒素製剤の販売を開始

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2020年12月7日

 帝人ファーマは4日、脳卒中の後遺症の1つである上肢痙縮の治療薬としてA型ボツリヌス毒素製剤「ゼオマイン筋注用 50単位、100単位、200単位」(一般名:インコボツリヌストキシンA)の販売を開始すると発表した。

 同社は、これまで骨粗鬆症治療剤などの医薬品や、超音波骨折治療器などにより、筋骨格系疾患に対するソリューションを提供し、また、脳卒中後遺症などによる運動機能障害の改善を支援するリハビリ用として、歩行神経筋電気刺激装置や上肢用ロボット型運動訓練装置などの製品を展開してきた。こうした中、2017年に独・メルツ社から、同剤の日本国内での共同開発・独占販売権を取得し、上肢痙縮の新たな治療選択肢を目指して開発を推進。そして、今年6月に製造販売承認を取得し、11月に薬価収載となり、今回の販売開始に至った。

 適応症である上肢痙縮は、主に脳卒中の後遺症として、上肢の筋緊張の増加や伸張反射の興奮性亢進により生じる上位運動ニューロン症候群の1つ。主な症状は、運動麻痺、屈筋反射亢進、病的反射出現、知覚障害などで、患者が日常生活をする上で動作の妨げとなる。

 上肢痙縮の治療には、リハビリテーション、経口筋弛緩剤、A型ボツリヌス毒素製剤療法を含む神経ブロック療法などある。「ゼオマイン筋注用」は、末梢のコリン作動性神経終末に作用し、神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を阻害することで随意筋の筋力を弱め、筋緊張状態を緩和する。特徴として、ボツリヌス菌により産生されるA型ボツリヌス毒素から複合タンパク質を取り除き、神経毒素のみを有効成分としていることで、中和抗体の産生により効果が減弱する可能性の低下が期待される。国内第Ⅲ相臨床試験では、手関節の屈曲のMASスコアに有意な改善が認められている。

 同社は今後も、アンメットニーズの高い疾患に対して新たな治療選択肢を提供することにより、患者のQOL向上に貢献していく。

 

帝人ファーマ 人事(10月1日)

2020年10月7日

[帝人ファーマ・人事](10月1日)▽地域包括ケア事業推進部長兼出向帝人訪問看護ステーション社長月坂学▽出向帝人ヘルスケア営業業務部長山田良徳▽同同社高崎支店長(在宅医療)青木圭▽同同社神奈川支店長(同)森田寿男▽同同社名古屋支店長(同)野間敏克▽同同社大阪支店長(同)北政年▽同同社松山支店長(同)古川雅之。

帝人ファーマ 訪問介護事業の本格展開に向けて新会社を設立

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2020年10月1日

 帝人ファーマは30日、地域包括ケアシステムによる地域社会への貢献をさらに発展させるため、これまで取り組んできた訪問看護事業を独立させ、帝人訪問看護ステーションを設立したと発表した。10月1日から本格稼働を開始する。帝人ファーマは、同事業を独立させることで、サービス利用者により高品質なケアを提供するとともに、医療機関・居宅介護支援事業所などときめ細かに連携し、地域包括医療体制の確立に貢献していく。

 同社は、2025年をめどに国が目指している地域包括ケアシステムの構築を見据え、医薬品と在宅医療の営業組織を再編。患者のデータを医療機関や介護施設で共有することができる医療・介護多職種連携情報共有システム「バイタルリンク」を展開するなど、地域密着型の総合ヘルスケアサービス事業に取り組んでいる。

 一方、1999年に立ち上げた訪問看護事業では、在宅医療機器を使用する患者の適正使用をフォローするなど、在宅医療事業の補完的な役割を担ってきており、現在は全国で13拠点の訪問看護ステーションを運営・展開している。今回、訪問看護事業を独立させて設立した新会社は、これまでの既存事業を補完する存在から、より主体的に経営を行う事業へと転換し、さらに地域密着型総合ヘルスケアサービスを進展させていく。

 同社は今後、社会に評価される訪問看護事業会社を目指し、大規模ステーションの展開、活動エリアのコンパクト化によって訪問効率を高めるとともに、所属する訪問看護師への教育の充実や、理学療法士など専門職の拡充などにより、利用者へのサービス向上を図っていく。

 また、グループ内の既存事業の強みを生かし、業務フローのデジタル化、および在宅医療事業やバイタルリンクとのシナジー効果の創出を目指す。これらの取り組みにより、2025年度までにバイタルリンク事業と合わせた地域包括ケア事業全体として売上100億円を目指す方針だ。

 

帝人 医療の情報共有システム、オンライン会議を提供

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2020年9月16日

 帝人は15日、帝人ファーマが展開する医療・介護多職種連携情報共有システム「バイタルリンク」が、ビデオ会議アプリケーション「Zoom」と連携したオンライン会議サービスの提供を同日から開始すると発表した。

 「バイタルリンク」は、パソコンやスマートフォン、タブレット端末を用い、医師や看護師、薬剤師、介護従事者など、患者に関わる医療従事者間で患者のバイタル情報を共有することができる多職種連携システム。患者の情報を一元管理し、リアルタイムで共有できるため、医療・介護従事者間のより緊密な連携が可能となり、地域包括ケアシステムによる患者へのシームレスな医療の実現に貢献してきた。

 こうした中、「Zoom」との連携機能を搭載。これにより、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で開催が困難となっていた、患者の退院に際してのカンファレンスや、在宅療養中のサービス担当者会議などを、「バイタルリンク」に蓄積された患者の診療情報を参照しながらオンラインで開催することが可能になる。

 同社は、この「バイタルリンク」と「Zoom」の連携によるオンライン会議サービスの提供により、コロナ禍にあっても平時と変わらない医療・介護の提供を望む医療従事者のニーズに応え、その環境づくりをサポートしていく。

 帝人グループはヘルスケア事業領域の中長期戦略として、既存事業で培った強みを生かし、リハビリ、介護や予防、健康増進を含む、地域密着型の総合ヘルスケアサービス事業を展開している。今回の「バイタルリンク」のサービス拡充を通じ、地域包括ケアシステムの構築に一層寄与するとともに、患者のQOL向上に貢献していく考えだ。

バイタルリンクとZoom 連携イメージ
バイタルリンクとZoom 連携イメージ

 

帝人グループ 「ヘルスケア化学研究棟」が稼働開始

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2020年4月9日

 帝人と帝人ファーマはこのほど、ヘルスケア事業の有機合成および分析の化学研究・開発を加速するため「ヘルスケア化学研究棟」を新設し稼働を開始したと発表した。総工費は約16億円。

ヘルスケア化学研究棟
ヘルスケア化学研究棟

 帝人グループは、中期経営計画「ALWAYS EVOLVING」(2020~22年度)の中で、ヘルスケア事業領域の強化・拡大を掲げ、中核をなす医薬品事業・在宅医療事業の推進、新規に進める機能性食品事業の拡大や地域密着型総合サービス事業の創出などに取り組んでいる。

 こうした中、ヘルスケア研究の拠点である東京研究センター(東京都日野市)の敷地内に、有機合成と分析研究を担う化学研究棟(2階建て、延床面積約1800㎡)を新設。実験エリアと非実験エリアの完全分離、研究員の動線・視線を考慮したレイアウト、快適なコミュニケーションエリアの確保など、安全性と機能性に最大限の配慮をした研究施設となっている。

 帝人グループは、「ヘルスケア化学研究棟」を最大限に活用し、合成医薬品や新ヘルスケア事業の研究開発をさらに推進し、画期的なヘルスケア製品やサービスを創出することで、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指す。

帝人ファーマ 「帝人在宅医療」を「帝人ヘルスケア」に社名変更

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2020年1月16日

 帝人ファーマは15日、完全子会社である帝人在宅医療の社名を、4月1日付で「帝人ヘルスケア」に変更すると発表した。

 帝人ファーマは今後さらに地域包括ケアシステムが進展していくことを見据え、それぞれの地域医療圏の医療サービスの向上を目的に、患者を取り巻く医師をはじめとする医療従事者と対話を重ねてきた。

 チーム医療の一員として未病から治療、リハビリ・介護までのケアサイクル全体を通した包括的ソリューションの提供を実現していけるよう、昨年10月、それまでの医薬事業本部と在宅医療事業本部の2事業本部制から、「営業本部」と「研究開発技術本部」から成る機能本部制へと組織を再編。帝人在宅医療に、医薬品の情報提供活動の機能、並びに在宅医療機器などの営業機能・サービス機能を集約・一元化している。

 一方、帝人グループは、医薬品事業と在宅医療事業のそれぞれの強みを組み合わせ、多職種によるチーム営業でそれぞれの地域のチーム医療を支えていくという、独自の地域密着型営業モデルを創出することで持続的成長の実現を目指している。

 こうした中、今後、ヘルスケア業界でより幅広い活動を推進していくことを踏まえ、新年度より帝人在宅医療を「帝人ヘルスケア」に社名変更することを決定。これまで以上に社員一丸となり、患者のQOL向上に貢献するとともに、業界におけるテイジンブランドのプレゼンス向上を図っていく。

帝人ファーマ 「献血ベニロン‐Ⅰ」が効能・効果追加承認を取得

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2019年12月27日

 帝人ファーマはこのほど、静注用人免疫グロブリン製剤「献血ベニロン‐Ⅰ」静注用500㎎、1000㎎、2500㎎、5000㎎が、厚生労働省から「視神経炎の急性期(ステロイド剤が効果不十分な場合)」の効能・効果の追加承認を取得した。

 「献血ベニロン‐Ⅰ」は、同社とKMバイオロジクス(熊本市)が共同開発した完全分子型静注用人免疫グロブリン製剤で、これまでに「低または無ガンマグロブリン血症」など、7つの効能・効果で承認を取得している。

 2013年6月には、厚労省から今回取得した効能・効果で希少疾病用医薬品として指定されており、今年3月に国内で実施した第Ⅲ相試験の結果に基づき承認申請を行い、製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。

 視神経炎は視力に対して重要な役割を担う視神経の細胞が、炎症により障害を受けて起こる脱髄性の疾患で、比較的急激な片眼または両眼の視力低下、視野異常、眼球運動時の痛みや色覚異常が見られる。その患者数は2014年度の厚労省の患者調査で約4000人と報告されている。

 症例の多くは原因不明の特発性視神経炎が占めるものの、多発性硬化症や視神経脊髄炎などに由来した視神経炎もある。

 「献血ベニロン‐Ⅰ」が承認を取得した急性期の視神経炎は、治療法としてステロイドパルス療法が第一選択肢となっているが、今回の同剤の追加承認取得により、ステロイド剤の効果が不十分な場合の治療選択肢が増えることになる。なお、免疫グロブリン製剤が同適応を取得するのは初めて。

 帝人ファーマは今後も新規創薬研究だけでなく、適応拡大にも注力し、希少疾病を含むアンメットニーズの高い疾患に、新たな治療選択肢を提供することで、患者のQOL向上に貢献していく。

帝人ファーマ 事業共創プログラムの受賞ベンチャー決定

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2019年12月16日

 帝人ファーマはこのほど、事業共創プログラムの受賞ベンチャー企業として、AMIとエーテンラボ、キママニの3社を決定した。

 帝人ファーマは大手企業とベンチャー企業の共創支援を行うアドライトと、在宅医療分野のアクセラレータープログラムを共同運営してきた。選考をクリアしてきた選抜企業5社による成果発表イベントを開催した結果、3社を「Home Healthcare Award」受賞企業に決定した。

 AMIは「超聴診器を用いた新たな心疾患管理指標の構築」、エーテンラボは「互いに励まし合いながら習慣化を目指すピアサポートを生かした在宅患者のアドヒアランス向上」、キママニは「認知行動療法をベースにした感情を記録するデジタルアプリの精神疾患の治療への展開」について発表した。

 同プログラムはベンチャー企業の技術やアイデアと、帝人ファーマがもつ知見や医療関係者とのネットワークを組み合わせることにより、在宅医療分野で新たな価値提供につながる製品・サービスの開発を目指し、7月に開始されたもの。こうしたベンチャー企業との事業共創を目的とした公募型プログラムは、同社としては初めての試みとなる。

 今回の成果発表イベントでは、日本国内のベンチャー企業からの応募受付・書類・プレゼンテーションによる選考を経て決定した選抜企業が、同社の研究員や在宅医療に携わる医師とともに検討を重ねた成果を発表し、それらの内容について、患者に提供する価値の革新性や創造性などの観点から厳正に審査を行った。同社では今後、受賞企業を中心に、選抜企業の各社とともに新規事業創出に向けた検討を行っていく。

帝人ファーマ 関節リウマチ治療薬バイオ後続品の販売を開始

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2019年11月1日

 帝人ファーマは31日、関節リウマチと多関節に活動性を持つ、若年性特発性関節炎治療薬のバイオ後続品「エタネルセプトBS皮下注『TY』」の販売を、11月1日から開始すると発表した。

 同剤は500例を超える関節リウマチ患者を対象とした第Ⅲ相国際共同治験の結果を基に、昨年3月にYLバイオロジクスが厚生労働省に製造販売承認申請を行い、今年3月に承認された。

 同剤はインドの医薬品メーカーであるルピンリミテッドが製造する原薬を基に、陽進堂の100%子会社であるエイワイファーマが日本国内の工場で製剤化している。帝人ファーマと陽進堂は、2018年7月に同剤に関する販売提携契約を締結しており、今後、両社共同で販売していく。

 帝人ファーマでは、注力する「骨・関節領域」の製品ラインアップに同剤を加えることで、関節リウマチ患者のさらなるQOL向上に貢献していく。