帝人 GHG排出削減に貢献、SBTの認定取得を目指す

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2021年2月10日

 帝人は9日、パリ協定が定める目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標「SBT(サイエンス・ベースド・ターゲット)」を認定する機関「SBTi(SBTイニシアチブ)」に対して、コミットメントレターを提出し、2年以内にSBTの認定取得を目指すことを表明したと発表した。

 SBTiは、企業が掲げる温室効果ガスの長期的な削減目標が、パリ協定の「地球の気温上昇を産業革命前と比べて2℃未満に抑える」という目標の達成に必要な水準を満たす場合に、「科学的に整合している目標(SBT)」であると認定する。

 帝人は、中計での環境負荷低減の長期目標として、CO2排出量を2030年度までに2018年度比で20%削減、2050年度までに実質ゼロの達成を掲げる。こうした中で今回は、SBTiの認定基準による「2℃を十分に下回る目標水準(WB2℃)」以上の高い目標として認定されることを目指す。

帝人の4-12月期 自動車を中心に回復傾向が継続

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2021年2月9日

 帝人は8日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比6%減の6097億円、営業利益6%減の452億円、経常利益10%減の429億円、純利益11%減の268億円となった。電話会見で園部芳久代表取締役専務執行役員CFOは「売上高はコロナ下で医療用防護具の供給拡大による売上貢献があった一方、マテリアル事業での自動車・航空機用途の需要減、 “帝人の4-12月期 自動車を中心に回復傾向が継続” の続きを読む

帝人 次世代モビリティ向けパーツ、豪社と共同で開発

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2021年2月3日

 帝人は2日、豪州Applied EV(AEV社)と共同で、自動運転への対応が可能な多目的プラットフォーム「Blanc Robot(ブランク・ロボット)」を開発したと発表した。

 近未来のモビリティ像として「CASE」や「MaaS」が示される中、エネルギー効率を総合的に評価するための世界共通の概念として「Well to Wheel」(油田からタイヤまで)が掲げられるなど、過去に類を見ない大きな変革期が自動車社会に訪れようとしている。

 こうした中、両社は、近未来の社会が求めるゼロ・エミッション・ビークルを実現し、多岐にわたる用途で活用に資する技術基盤を構築するため、2019年より共同開発をスタート。今回開発した「ブランク・ロボット」は、AEV社が培ってきたセンシング、コネクテッド(通信)などに関する最先端技術を、最適なレベルで組み込み、コンパクトに集約した多目的LS-EV(低速EV)向けのプラットフォームになる。

 トップカバーには、帝人グループで軽量複合材料製品の生産・販売・技術開発を手掛けるCSP社のGF-SMCを使用しており、これまでのアルミ製トップカバーに比べ、約20%程度の軽量かつ約4㎡の広面積を実現した。CSP社独自のGF-SMC成形技術を活用したトップカバーは、金属では成形が困難な薄肉かつ複雑な形状を約3分で一体成形しており、これにより容易にシール性を確保できるため、限られたスペースに内蔵した自動走行に必要な機能を水や熱から保護できるほか、耐火性、寸法安定性、耐腐食性にも優れている。「ブランク・ロボット」は、バッテリー、モーター、ブレーキや、走行を管理する電子制御ユニットなどの機能が内蔵されており、用途に合わせた車体を搭載した自動走行を可能にした。

 両社は、2022年後半にも「ブランク・ロボット」を使用したEVの実用化を目指す。運送・工業・医療・一般交通など幅広い用途での活用を想定し、「ブランク・ロボット」や車体設計、走行技術の向上を図っていく。

 

帝人 水素燃料電池を販売、英IE社と販売代理契約を締結

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2021年2月2日

 帝人は1日、英国の燃料電池メーカーであるインテリジェント・エナジー(IE社)との間で販売代理契約を締結し、日本での水素燃料電池の販売を開始すると発表した。

 パリ協定の合意以降、各国でカーボンニュートラルの実現に向けた目標が宣言されるなど、脱炭素化に向けた動きが加速しており、日本政府も「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」旨の宣言を行った。こうした動きは、エネルギー分野についても加速しており、再生可能エネルギー発電や低炭素発電の開発などが注目されている。

 一方、帝人は、国連が提唱する「国連グローバル・コンパクト」やSDGsに賛同し、中期経営計画の中では「環境価値ソリューション」の提供や環境負荷低減に関する長期目標を掲げ、事業や諸活動を展開。このほど、水素燃料電池の利用を普及させることで持続可能な社会の実現に貢献できると考え、IE社と販売契約を締結した。

 今回、販売を開始する水素燃料電池は、IE社が開発した出力が三種類(1.2kW、2.5kW、4.0kW)のもの。1台当たりの重量が10~20kgと軽量でコンパクト性に優れているため、様々な用途で発電装置に組み込むことができる。また、ディーゼルエンジンに比べて静粛性に優れ、メンテナンスがほとんど必要ないことから運用しやすく、さらに廃棄物が発生しないため土壌汚染の問題がない。

 帝人は今後、すでにこの水素燃料電池の採用に向けて実証実験を行っている日本フイルコンをはじめ、情報通信業や建設業、製造業などに向けた販売を進め、2030年度までに売上高10億円の達成を目指す。

帝人など 心・血管修復材の臨床試験、被験者登録を完了

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2021年1月28日

 帝人、大阪医科大学、福井経編興業の3者は27日、共同で開発を進める「心・血管修復パッチ OFT-G1(仮称)」の臨床試験について、目標としていた症例数の被験者登録を完了したと発表した。今回登録された被験者は、0歳児から成人までの幅広い年齢層の患者で、様々な先天性心疾患をもつ。今後、手術後1年間の安全性や有効性のデータについて評価を行った後、製造販売承認の申請に向けて準備を進めていく。

埋植された「心・血管修復パッチ」 (イメージ)

 「心・血管修復パッチ」は、大阪医大の心臓血管手術に関する豊富な知見、福井経編興業の優れた経編技術、帝人のポリマー解析技術を組み合わせて創出された医療材料。世界最先端の治療を早期に提供できるよう、これまで日本医療研究開発機構(AMED)や厚生労働省など様々な支援を受け、開発を推進している。

 現在、組織欠損部の補填や狭窄部の拡大などの修復を要する心臓血管手術を受ける患者は、治療の進歩により、生存期間の長期化が可能になった。そのため、患者の成長に伴って修復パッチが伸長することにより、パッチを埋植した部分に狭窄が起こりにくい治療法や、長期間の留置によるパッチの劣化や石灰化に起因する再手術を低減できる治療法に対する期待が高まっている。「心・血管修復パッチ」は、体内に埋め込んだ材料の一部が自己組織と一体化し、身体の成長に合わせて伸長可能な構造をもつ。実用化すれば、先天性心疾患患者の再手術のリスク低減につながり、患者や家族の肉体的・経済的な負担を軽減することが期待される。

 3者は、国内での「心・血管修復パッチ」の1日も早い承認申請と上市を目指し、将来的には適応拡大や、海外での事業化も検討していく。そして、今後も医療機器開発を通じて、先天性心疾患患者の治療とQOL向上に貢献していく考えだ。

帝人 欧州サステナブル先端技術開発センターを新設

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2021年1月22日

 帝人は21日、「環境価値ソリューション」に関するハブ機能として、オランダのアーネム市に「欧州サステナブル先端技術開発センター」(ESTIC)を開設したと発表した。

 近年、各国でカーボンニュートラルの目標が宣言されるなど、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが世界的に加速。こうした中、帝人グループでは、中期経営計画の中で、世界的な地球環境の目標達成に貢献する製品やサービスを「環境価値ソリューション」として提供することや、環境負荷低減に関する長期目標を掲げ、事業や活動を展開している。今回、世界の中で環境意識が高い欧州に新たに開発拠点を設けることで、「環境価値ソリューション」に関わる取り組みを強化していくことを目的としている。

 また、中計の重点施策の1つに、「イノベーション創出基盤の強化による継続的かつ的確な事業機会の創出および市場開拓の加速」を掲げている。ESTICの設立により、イノベーション推進体制の強化、グループ内外の協創強化による革新的製品とサービスの拡充、ダイバーシティ&インクルージョンの推進による組織の活性化やイノベーション創出の加速などの取り組みを一層強化していく。

 今後、ESTICは「環境価値ソリューション」のハブ機能として、グローバル視点でビジネスをつなぎ、環境負荷低減に取り組むとともに、サーキュラーエコノミーに関する新たな事業分野の創出にも挑戦する。また、グループ外のハブや研究機関などとの協創関係を構築するため、オランダのリンブルグ州にある国際的なオープンイノベーションコミュニティにも拠点を設けるなど、外部とのコミュニケーションを積極的に行う。

 帝人グループは、ESTICの機能を活用してサステナブルな製品や技術の開発を行い、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指すとともに、SDGsの目標達成に貢献していく。

 

 

帝人 インターナルカーボンプライシング制度を導入

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2021年1月15日

 帝人は14日、同社グループの設備投資を対象として、インターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入したと発表した。今後、CO2の排出増減を伴う設備投資計画については、今回設定した社内炭素価格(同社グループ内グローバル共通価格)、50ユーロ(6000円)/t-CO2を適用し、仮想的な費用に換算して投資の判断基準の1つとして運用していく。

 同社は中期経営計画の中で、環境負荷低減の長期目標として、CO2排出量を2030年度までに2018年度比20%削減、2050年度までに実質ゼロの達成を掲げている。また、サプライチェーン全体でCO2の排出削減を促進し、2030年度までに、削減貢献量をグループ全体およびサプライチェーンの川上での総排出量以上とすることを目標としている。

 同社は今回、ICP制度を導入することにより、CO2排出削減に資する設備投資計画を後押しし、CO2排出削減に関する長期目標の達成を目指すとともに、将来予想されるグローバルでの炭素価格の上昇に備えた対策とする考えだ。

 

《化学企業トップ年頭所感》帝人 鈴木純CEO

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2021年1月8日

 新型コロナウイルスは社会の様相を大きく変え、帝人グループの事業も大きな影響を受けた。2021年を迎えたが大きな改善は見られず、ウイズコロナの環境をニューノーマルと捉え、感染予防を前提とした生活や業務を続けることが必要だ。負の影響だけではなく、遠隔医療などデジタル化で急速に進展する可能性が高まった事業もある。こうしたチャンスを確実に捉えるために、できることを可能な限り前倒しで進めたい。

 グローバル展開のため、各国の行動制限などの影響を受けやすい事業もある。特にマテリアル事業は大きな影響を受けたが、繊維・製品事業は医療用防護具など社会と事業業績に大きく貢献した。ヘルスケア事業やIT事業の下支え、北米自動車産業の想定以上の回復など、通期業績見通しは新型コロナ発生前の想定に近づきつつある。

 中期経営計画の取り組むべき社会課題は長期的視点で選択しており、長期ビジョンや戦略に大きな変更はない。各施策は、足元の状況を把握し最善な方法を検討して俊敏に行動に移す、変化への対応力が求められる。未来の社会から見て正しいと思える価値を提供する方法やタイミングは、再確認してほしい。

 社員に意識してほしいことは、まず「安全の確保」だ。安全に対する意識向上を徹底し、事故につながる要因を排除する。次は「認知力と俊敏性」で、変化の速い社会で状況を正しく認知し素早く対応する俊敏性だ。異なる視点や認知力をもつ人たちと話し、異なる意見に耳を傾け、正しいと思える認知を得たら速やかに行動に移し、変化する社会に合ったイノベーティブな価値の創造や提供につなげる。そして「リスクの捉え方とリスクテイク」だ。不確実な世界では、リスクを取らずに今までの事業環境に留まるという考え方では適応できない。イノベーティブな価値提供のためにきちんとリスクテイクした試みは、失敗とはしない形にしたい。

 我々は「未来の社会を支える会社になる」ため、持続可能な社会の実現に貢献することを目指している。社員が一丸となりたゆまぬ変革と挑戦を続け、社会とともに歩んでいくこと、さらには社会に先鞭をつけていくような会社になるということを新年の抱負としたい。

帝人 全国高校サッカー選手権大会に高機能マスクを提供

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2020年12月25日

 帝人は24日、今月31日から開催される「第99回全国高校サッカー選手権大会」に高機能マスク6000枚を提供すると発表した。同社は企業理念に基づき、「アマチュアスポーツ支援」「青少年のスポーツ支援」といった社会貢献の一環として、1991年から同大会に協賛。今年で30周年を迎えるのを機に、コロナ禍の開催に貢献する。

高校サッカーに提供する高機能マスク
高校サッカーに提供する高機能マスク

 今回提供する高機能マスクは、繊維・製品事業を展開する帝人フロンティアの「洗える!抗ウイルス加工マスク」。特殊セラミックなどを使用して抗ウイルス・抗菌防臭効果を発揮するとともに、ストレッチ性、吸水速乾やUVカット機能などを併せもち、スポーツシーンにも適している。

 

帝人 中国社とセパレータの包括的ライセンス契約を締結

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2020年12月23日

 帝人は22日、中国・上海エナジー社との間で、LiBに使用される溶剤系コーティングセパレータの製造に関する包括的な技術ライセンス契約を締結したと発表した。

 帝人は昨年11月、世界トップクラスの基材生産能力とコスト競争力を持つ上海エナジー社との間で、車載用LiBに使用されるフッ素系化合物による溶剤系コーティングセパレータの製造に関する技術ライセンス契約を締結。帝人のコーティング技術と、上海エナジー社の基材生産能力、コスト競争力とを融合して生産するセパレータは、顧客から高い評価を得るなど市場ニーズの高さが確認されている。こうした状況を受けて帝人は、同社とのライセンス契約をさらに充実させ、対象用途を広げることでさらに幅広い需要に応えられると考え、今回の契約締結に至った。

 今回の契約で対象となるのは、フッ素系化合物のコーティングセパレータに、アラミドのコーティングセパレータを加えた、帝人保有の溶剤系セパレータ関連の特許。耐熱性に優れるアラミドのコーティングセパレータを追加することで、より安全性に優れるセパレータを実現できる。対象となる用途は、従来の車載用に加え、スマートフォン、タブレット、モバイルパソコンなどの電子機器用や、電力貯蔵システム用など。また、今回のライセンス契約とともに締結した開発受託契約により、帝人は、上海エナジー社からコーティングセパレータに関する開発業務の一部を受託し、さらに高容量で安全性に優れるLiBの実現に向けてセパレータを開発していくことになる。

 帝人は今後、今回の契約締結を足掛かりに、EV、電子機器、電力貯蔵システムなどの用途に求められるLIBの実現に向けてセパレータの開発を積み重ね、市場におけるプレゼンスの向上を目指す。また、顧客が上海エナジー社に求める機能性や安全性を満たすためコーティング技術を提供し続けることで、溶剤系コーティングセパレータの市場においてシェア向上を図っていく。