帝人フロンティア タイでポリエステルのMR、新設備が来年稼働

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2021年10月19日

タイのグループ会社TPLの外観

 帝人フロンティアは18日、タイでポリエステル繊維の製造・販売を展開するグループ会社、テイジン・ポリエステル(タイランド)=TPLに、タイ国内のペットボトル粉砕原料(ボトルフレークス)を活用し、高品質なポリエステル長繊維の生産に使うマテリアルリサイクル(MR)チップの自社製造設備を新設すると発表した。2022年1月からの生産開始を予定し、2025年度には年産7000t規模を目指す。

TPLで生産するポリエステルリサイクルチップ

 新設備で生産したリサイクルチップは、帝人フロンティアグループ向けを含め、差別化ポリエスエステル長繊維に使用する。また、同リサイクルチップから生産したポリエステル原糸は、同社グループを通じてリサイクル繊維「エコペット」ブランドとして展開していく考えだ。

 近年、環境に対する世界的な意識の高まりにより、リサイクル素材を使用した製品へのニーズは飛躍的に増加。ポリエステル短繊維に加え、ポリエステル長繊維についてもリサイクル素材の需要が大きく伸びている。

 帝人フロンティアでは、需要拡大に対応できるリサイクル原料の確保や、環境負荷の大きい長距離輸送を伴わずにより適正な資源循環が可能な地域からの原料調達に向けて、新たなリサイクル原料の調達先を探索してきた。

 しかし、同社のポリエステル繊維の主力工場があるタイ近辺では、高品質のボトルフレークスの安定的な確保が困難だったことから、自前の設備整備を検討し、ポリエステル繊維製造の中核拠点であるTPLに洗浄設備や、リサイクル原料から異物を取り除きチップを生産する最新型のリペレット機を導入。ボトルフレークスやリサイクルチップに関する独自の品質管理技術やリサイクル繊維の生産技術を駆使することにより、タイ国産のボトルフレークスから高品質な長繊維用MRチップの生産を可能にした。

日本触媒 CNに向け、グリーンイノベーション推進部を新設

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2021年8月2日

 日本触媒は30日、サステナブル経営の主要課題の1つである2050年のカーボンニュートラル(CN)達成を目指し、事業創出部門に、「グリーンイノベーション推進部」を8月1日に新設すると発表した。

 これまで事業創出本部にある各組織で行っていた取り組みの集約や責任の明確化により、循環型社会・脱炭素社会の実現に向けた研究開発および事業化推進機能を一層強化していく。同推進部の業務として、基幹製品(アクリル酸、酸化エチレン)のバイオマス原料からの製法開発、CO2回収技術および技術変換の開発、アンモニアの新製法とアンモニア利用技術の開発、その他CNに関する技術の開発、グリーンイノベーション戦略の検討などを担当する。

 同社は今年4月に策定した長期ビジョンに向け「環境対応への変革」を推進。これまでも紙おむつに含まれる高吸水性樹脂のリサイクル技術の開発やリチウムイオン電池電解質「イオネル」(LiFSI)の事業化、グリーン水素製造用のアルカリ水電解セパレーターの開発など循環型社会・脱炭素社会の実現に向けて取り組んできた。

 また、昨年4月にはR&D組織の事業創出本部にサステナブルプロジェクトを設置し、中長期視点で同社基幹製品のアクリル酸、高吸水性樹脂、酸化エチレンのサステナブル化、世界的に期待されているCO2やアンモニアの有効活用なども目指し研究開発を推進している。

 同社は、今回新設するグリーンイノベーション推進部が中核となり、社内の技術や知見の集約に加え、他社との協業も視野にいれた戦略を打ち出し、2050年CN実現に向けて取り組んでいく方針だ。

BASF 電池リサイクル工場新設、正極材金属を回収

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2021年7月27日

 BASFはこのほど、ドイツ・シュヴァルツハイデにある正極材工場の敷地内に電池リサイクル試作工場を新設すると発表した。電池リサイクルは、電気自動車市場でのCO2排出量削減に重要な要件で、EU電池規則案で想定されるニッケル、コバルト、リチウムのリサイクル効率や材料回収目標など、より厳しい政策措置へ対応するもの。

 同工場では、使用済みリチウムイオン電池と、セルメーカーや電池材料メーカーの規格外材料からリチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを効果的に回収するための運用方法を開発し、その技術を最適化する。正極材に必要な金属を、リサイクルによって競争力高く持続的に入手・再使用することで、電池バリューチェーンのサーキュラー・エコノミー(循環型経済)を実現。正極材のカーボンフットプリントを業界標準の最大60%まで削減し、自動車メーカーのニーズに応え、より持続可能な未来の構築に貢献する。

 今回の投資は、欧州委員会が進める欧州の電池生産バリューチェーンに向けたアジェンダへの同社の支持を強化するもので、EU国家補助規制に基づいて欧州委員会が承認した「欧州共通利益重要プロジェクト(IPCEI))」の一環でもある。同工場からの革新的な電池材料の発売、次世代電池材料の研究開発と電池リサイクルを含むプロセス開発に対して、ドイツ連邦経済エネルギー省とブランデンブルク州経済労働エネルギー省が「IPCEI for Batteries」の一環として資金提供を行う。工場の稼働は2023年初頭の予定だ。

ENEOS EV事業推進部を新設、SS基点のインフラ加速

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2021年6月9日

 ENEOSは8日、EVやPHV(プラグインハイブリッド車)を含む電動車両事業の検討・展開を加速することを目的に、7月1日付で「EV事業推進部」を新設すると発表した。

ENEOSプラットフォーム(次世代型エネルギー供給、地域サービス)の全体像
ENEOSプラットフォーム(次世代型エネルギー供給、地域サービス)の全体像

 同社は、グループの2040年長期ビジョンの中で、次世代型エネルギー供給・地域サービスの展開を事業戦略として掲げている。燃料油に加えて電気・ガス・水素といったエネルギーを幅広く供給していくとともに、全国のサービスステーション(SS)を基点としたモビリティ関連や生活関連のサービスをトータルで提供する「ENEOSプラットフォーム」の構築を目指している。

電動車両関連ビジネスの取り組み
電動車両関連ビジネスの取り組み

 その一環として、電動車両が広く普及する社会を見据え、SSを中心とした電動車両の充電ネットワークの拡充をはじめとした関連事業の検討を開始しており、今回、電動車両に関する検討を集中的に行うことで、事業の展開を強力に推進する専門組織の設置を決めた。

 今後はEV事業推進部主導で、同社の強みである全国約1万3000カ所のSSネットワークを生かした経路充電(移動経路での充電)事業に加え、「ENEOSでんき」と連携した基礎充電(自宅などでの充電)向けの新たなサービスの開発・運用、さらに電動車両のリースやシェア・メンテナンスなどの関連サービスの展開を検討していく考えだ。

プライムポリマー PP設備新設、生産体制を再構築

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2021年6月1日

 プライムポリマーは31日、ビルド&スクラップによる生産体制再構築の一環として、ポリプロピレン(PP)製造設備の新設を決定したと発表した。設備は市原工場(千葉県市原市)に建設され、生産能力は年産20万t。製造技術は三井化学からのライセンス技術「HYPOL法」を導入する。今年8月に着工し、2024年11月に営業運転を開始する予定だ。

建設予定地(プライムポリマー市原工場)

 PPは、食品容器や家電、自動車、医療、二次電池など、幅広い用途で使用される生活基盤素材。フードロス削減や医療機会の増加、EVの航続距離延長といった社会ニーズの変化に伴い、PPに求められる役割は今後ますます拡大していくことが想定されている。一方、同社は、気候変動やプラスチック問題、循環経済といった喫緊の環境課題に対応することは、プラスチック生産者としての社会的責任であると認識している。

HYPOL法を導入する既存製造設備(プライムポリマー大阪工場)

 新製造設備では、これまでの設備で実現できなかった高機能PPを生産でき、これにより自動車材用途などでの軽量化、薄肉化ニーズへの高度な対応が可能となる。また、リサイクルに貢献する素材の提供などを通じて、マテリアルリサイクルの推進を図る。

 同社は今後、需給環境に見合った生産能力とすべく、既存製造設備の停止を実行していく。生産体制再構築により、年間約7万t(2013年対比)のGHG削減効果を見込んでおり、さらにバイオマス原料を使用した素材の提供などを通じて、サーキュラーエコノミーへの対応を強化していく。

 同社は、今回の新設により環境適用性の高い高機能PPの提供を推進し、顧客による価値創造に「Your Prime Solution Partner」として貢献することで、顧客と共に循環型社会の実現と社会生活の利便性の両立に向けて邁進していく。

東ソー 新研究棟など新設へ、スペシャリティ事業を強化

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2021年5月26日

 東ソーは25日、東京研究センター(神奈川県綾瀬市)にバイオサイエンス関連の新研究棟と、製品展示ルームや技術セミナー会場などを備えるカスタマーサポート棟を新設すると発表した。併せて既存研究施設の大規模リニューアルを実施することで、研究開発機能を強化し、スペシャリティ事業の拡大や社会課題解決に貢献できる製品・技術の創出を加速していく狙いだ。

東京研究センターの将来イメージ図

 新研究棟は来年12月の着工と2024年4月の完成を目指し、カスタマーサポート棟は2025年6月の着工と2026年5月の完工を予定する。また既存研究施設の8号棟と9号棟についても、2024年にリニューアル(着工:5月、完成:10月)を行う。設備投資額は、新棟建設とリニューアルなどを含め約100億円。

 今回の研究拠点整備では、①バイオサイエンス製品開発体制の拡充による事業領域の拡大②マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を基幹技術とした材料開発の加速による先進的な新製品や技術の創出③製品展示ルームや技術セミナー施設を充実させてカスタマーサポート機能を拡充④研究者間の交流を促進する施設レイアウトや研究施設拡張による研究環境の充実―の4つのポイントを掲げ、研究開発機能を強化する。

 東京研究センターは、南陽事業所(山口県周南市)や四日市事業所(三重県四日市市)と並ぶ主要研究開発拠点であり、ライフサイエンス研究所、アドバンストマテリアル研究所、バイオサイエンス事業部開発部門を中核組織に置く。同社の研究開発重点3分野である「ライフサイエンス」「環境・エネルギー」「電子材料」に代表されるスペシャリティ事業に関する先端技術創出の拠点となっている。

 東ソーは、積極的な投資を進めて研究開発体制を強化することで、SDGsを組み込んだ研究開発テーマの推進を通じ、高付加価値製品を生み出し続けていく考えだ。企業の長期的成長を牽引するのみならず、持続可能で豊かな社会の実現に向けて貢献していく。

 

住友化学 エンジニアリング部を新設、スマート保安を実現

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2021年3月30日

 住友化学は29日、4月1日付でエンジニアリング部を新設すると発表した。全社横断的かつ機動的なエンジニアリング体制を構築するとともに、各工場工務部門の保安・保全機能を強化し、デジタル技術を活用したスマート保安の取り組みを加速させる。

 同社はこれまで、千葉や愛媛、大分などの各工場に工務部門を配置し、工場の特性に応じた最適なエンジニアリング機能の発揮により安全・安定操業に貢献してきた。一方、事業環境の変化やグローバル化が加速する中、特に新設・増強工事については従来以上に迅速な業務遂行が必要なほか、海外での大規模設備投資に対する支援の拡充が求められている。さらに、多くの国内設備では、高経年化や労働人口の減少などを背景に、エンジニアリング業務、保安・保全業務の全社的な最適化や、それを担う人材の育成、ノウハウの継承も急務となっている。

 こうした状況を踏まえ、同社はプラントの新設や大型の設備改造について、よりシームレスに設計から建設までを実行できる全社横断的かつ効率的な体制を構築するとともに、各工場工務部門の保安・保全機能を強化する。

 新設するエンジニアリング部は、エンジニアリング業務の全社最適化や人材の機動的な活用と育成を進め、またグループ会社で同機能を展開する住友ケミカルエンジニアリングおよびシアテックとより緊密な連携を図る。各工場の工務部門については今後、設備や運転、エンジニアリングなどのデータを連携させた統合プラットフォームから得られるデータに基づく予知・予兆検知をはじめ、デジタル技術を活用したスマート保安の実現に注力していく。

 同社は、事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応するため、工場に備わる機能全体を高度化するとともに、安全・安定操業の継続により、持続的な成長と企業価値の向上を目指していく。

三菱ケミカル CFRTPパイロット設備、福井県に新設

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2020年12月28日

 三菱ケミカルは25日、熱可塑性樹脂を用いた炭素繊維複合材料(CFRTP)のパイロット設備を福井県内に新設すると発表した。2021年中の稼働開始を予定している。航空機や自動車などのモビリティ用途では、環境規制などを背景に機体や車体の軽量化要求が高まっており、軽さと強度を兼ね備えるCFRPの利用が進むと見込まれている。一方で、CFRPの利用促進のためには、これまで主に利用されている「熱硬化性樹脂」を用いたCFRPに対し、部品製造に要する時間を短縮できリサイクルも容易な、CFRTPの普及が求められている。

 CFRPで多くの採用実績があり、炭素繊維と樹脂改質に関する技術を豊富にもつ同社は、福井県工業技術センターの支援と同社グループ内の技術シナジーにより、今回、空隙が少なく極めて高品質なCFRTPを高効率に製造できる技術を確立し、パイロット設備の設置に至った。今後、これまで輸入品が中心であった国内のCFRTP市場に対し、熱可塑性樹脂複合材料のブランドである「Kyron」シリーズの新製品として提案を進めていく。

 三菱ケミカルは、PAN系やピッチ系炭素繊維、また汎用から高耐熱性の熱可塑性樹脂に関する世界トップクラスの技術をもつ。これらグループの総合力を生かし、ますます多様化・高度化する顧客の要望に応える新製品の開発を進め、技術革新の著しいモビリティ分野に対して最適なソリューションをタイムリーに提供することで、積極的に事業を展開していく考えだ。

出光興産 徳山事業所に高効率ナフサ分解炉を新設

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2020年12月14日

 出光興産は11日、徳山事業所(山口県周南市)に高効率ナフサ分解炉を新設したと発表した。今後、試運転期間を経て、来年2月に商業運転を開始する。

新設したナフサ分解炉
新設したナフサ分解炉

 高効率ナフサ分解炉は、原料であるナフサを短時間で熱分解することでエチレンの得率を高め、熱効率を向上させる。これにより、従来の分解炉と比較し約30%の省エネルギー効果が発揮でき、年間約1万6000tのCO2削減に寄与する。ナフサは粗製ガソリンとも呼ばれる石油製品の1つで、分解炉を経由し熱分解することで、エチレンやプロピレンなどの石化製品の基礎原料となる。

 同事業所ではエチレン製造装置により年間約62万tのエチレンを生産し、主に周南コンビナートに供給している。こうした中、エチレン製造装置内にある旧型のナフサ分解炉2基を停止し高効率ナフサ分解炉1基を新設した。

 なお、今回の件は工場の省エネルギー化を支援する経済産業省の「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」を活用している。今後も、省エネルギー推進により事業活動に伴う環境負荷の低減に努めるとともに、地球環境と経済が調和した地域社会形成への貢献を目指す。

住友化学 千葉工場に高効率なガスタービン発電設備を新設

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2020年10月6日

 住友化学は5日、温室効果ガス排出削減に向けた取り組みの一環として、千葉工場(千葉県市原市)の既存の石油コークス発電設備を廃止し、高効率なガスタービン発電設備を新設すると発表した。設備の完成は2023年秋を予定している。

 千葉工場にCO2排出係数の低い液化天然ガス(LNG)を燃料とするガスタービン発電設備を新設し、同工場から排出されるCO2の約20%に相当する年間24万t以上を削減する。また、隣接するグループ会社の広栄化学にも同設備から電力供給を行い、住友化学グループとしてさらに温室効果ガス排出削減を図る。なお、今回の新設は、広栄化学との連携事業として、経済産業省の令和2年度「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(エネルギー使用合理化等事業者支援事業)」の交付が決定している。

 2015年に国際的な枠組みとして採択されたパリ協定では、産業革命以前からの平均気温上昇を低く抑える「2℃目標」や「1.5℃目標」が示されており、温室効果ガスの排出削減対策は喫緊の課題。そのため、住友化学は、2018年、愛媛工場(新居浜市)の敷地内に5社共同出資によるLNG基地建設への参画を決定。同基地が供給するLNGを、グループ会社である住友共同電力が2022年7月に稼働予定の火力発電所で使用することで、愛媛工場のCO2排出量を削減する計画だ。

 住友化学は、2018年に総合化学企業として世界で初めてSBT(Science Based Targets)イニシアチブによる認定を取得するなど、温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組んでいる。同社グループは、「事業活動を通じて人類社会の発展に貢献する」を経営理念に掲げ、引き続きグループを挙げて、気候変動問題をはじめとする社会課題の解決に積極的に取り組んでいく。