旭化成ファーマ 自己免疫疾患治療薬で独占的ライセンス締結

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2020年3月23日

 旭化成ファーマは19日、バイオベンチャーのSBIバイオテック(東京都港区)が持つ自己免疫疾患治療薬「SBI-3150」(非臨床段階)に関し、同日に独占的ライセンス契約を締結したと発表した。

 同契約により、旭化成ファーマは全世界での「SBI-3150」の開発・製造・販売などを行うための独占的な実施権を獲得し、SBIバイオテックは、旭化成ファーマからの契約一時金のほか、開発進展に応じたマイルストーンと売上に応じたロイヤルティを受領することなる。両社の強みを生かし、「SBI-3150」の価値の最大化と、開発・商業化のスピードアップを図っていく考えだ。 

 「SBI-3150」は、免疫システムの司令塔と呼ばれるpDC(形質細胞様樹状細胞)と活性化B細胞に特異的に発現する、PLD4(Phospholipase D family member 4 )を標的としたモノクローナル抗体。pDCは、免疫システムを構成する免疫細胞の1つで、自己免疫疾患の発症に重要な役割を担っていることが明らかになっている。

 一方、B細胞はリンパ球の一種で、異物の存在により活性化を受け抗体を産生することにより、免疫効果を発揮する。自己免疫疾患患者では、活性化B細胞による自己抗体産生が疾患に関連することが知られている。

 SBIバイオテックは、2001年に設立のバイオベンチャー。「希少難病疾患を治療可能な医薬品の開発」や「治療を行ってもQOLを維持できる医薬品の開発」などを医薬品開発ビジョンとし、pDCを制御する革新的な免疫治療薬の研究開発を推進することで、自己免疫疾患やがんの根治を目指している。

 旭化成ファーマとSBIバイオテックは今後も、難病に対する革新的新薬の創出を通じ、人類の社会福祉への貢献を目指していく。

旭化成ファーマ デュピュイトラン拘縮薬の供給継続申請が却下

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2020年1月10日

 旭化成ファーマは9日、米国ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に行っていた、Endo Ventures社(アイルランド・ダブリン市)などに対してデュピュイトラン拘縮治療剤「ザイヤフレックス注射用」(一般名:コラゲナーゼ〈クロストリジウム ヒストリチクム〉)の供給継続を求める仮処分命令の申し立てが、米国東部時間1月7日に却下されたと発表した。

 旭化成ファーマは、同剤の安定供給を可能にするため、当該申し立て却下に対する抗告を含め対応を検討していくとしている。

 同社は、Endo社との間で同剤の日本での独占的な長期供給契約を締結し、国内での販売を行ってきたが、供給義務を負うEndo社が当該義務を履行しないと通告し、同剤の供給を拒絶した。これに対し、旭化成ファーマは、供給の継続に向けEndo社と協議してきたものの、Endo社の意向が変わらなかったため、日本国内での同剤の継続的な供給に支障を来す可能性が生じてきたとして、昨年10月に、供給継続を求める仮処分命令を請求する訴えを起こしていた。

 なお、デュピュイトラン拘縮とは、手のひらから指にかけてしこりができ、症状の進行に伴って皮膚がひきつれ、徐々に指が伸ばしにくくなる病気。指が曲がって伸ばせないことにより日常生活に不便をもたらすようになる。

旭化成ファーマ 骨粗鬆症治療剤の新剤形が薬価収載、来月11日から発売

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2019年11月28日

 旭化成ファーマは27日、骨粗鬆症治療剤「テリボン」の新剤形である「テリボン皮下注28.2㎍オートインジェクター」(一般名:テリパラチド酢酸塩)が、同日に薬価収載されたと発表した。薬価は6,018円。発売は来月11日を予定する。

 今回の発売により、従来の用時溶解バイアル製剤「テリボン皮下注用56.5㎍」に加え、在宅自己注射が可能なオートインジェクター製剤が新たにラインアップされる。

 同新剤は、高齢の患者でも簡便に自己注射できるように配慮したオートインジェクター製剤で、キャップを外し、オートインジェクターの先端を投与部位に押し当てるツーステップ操作で注射が完了するもの。注射針が針カバーに隠れていることから、自己注射に対する不安の軽減も期待されている。

 1回使い切りのため、注射針を付け替える必要がなく衛生的であり、さらに、注射後は針カバーをロックする機構を採用し、針刺し事故の防止対策を工夫した。

 同社は、骨粗鬆症患者に、安心・安全で簡便に自己注射ができるオートインジェクター製剤を新たな治療選択肢として提供し、今後も骨粗鬆症の治療に貢献していく考えだ。

旭化成ファーマ ファスジル製剤で米社とライセンス契約締結

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2019年11月26日

 旭化成ファーマは25日、同社が開発したRho‐kinase(ローキナーゼ)阻害薬「ファスジル塩酸塩水和物」について、米Woolsey Pharmaceuticals(ウールジー社)とライセンス契約を締結したと発表した。

 対象となるのは、注射剤と点眼剤以外のファスジル製剤。脳卒中と冠動脈疾患以外の全疾患に対し、日本・韓国・中国(香港とマカオを含む)・台湾以外の全世界での開発権と製造権・独占的販売権をウールジー社に供与するもの。

 ウールジー社は、今年設立されたプライベートカンパニーで、承認済みの薬剤を用いて他の適応で開発を行うリバイバル創薬に特化した事業を行っている。近年の研究では、ローキナーゼが、細胞内情報伝達に関与する蛋白質リン酸化酵素であり細胞の収縮・増殖・遊走・アポトーシス・遺伝子発現誘導など重要な生理機能に関与していることが明らかになってきている。

 このようにローキナーゼ機能の解明が進むにつれて、特徴的なローキナーゼ阻害作用をもつ「ファスジル」が、多くの疾患に対して効果を示すことが期待されている。こうしたことから今回、ウールジー社のリバイバル創薬により「ファスジル」が希少神経変性疾患の治療に貢献することを期待し、希少神経変性疾患治療薬の開発に注力している同社に「ファスジル」を導出することとなった。

 なお、「ファスジル」の注射剤(日本販売名「エリル点滴静注液30㎎」)は、旭化成ファーマが日本と中国で「くも膜下出血術後の脳血管攣縮及びこれに伴う脳虚血症状の改善」の適応症で販売しており、同疾患の治療に広く使用されている。

旭化成ファーマ 創薬に関する研究公募を実施

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2019年10月31日

 旭化成ファーマは30日、オープンイノベーションの取り組みの一環として、国内の大学や研究機関、企業などに所属する研究者を応募対象に、今年度も創薬に関する研究公募を実施すると発表した。

 各研究者との協業により、医薬品の研究開発を促進するため。「疼痛・神経変性疾患領域」「自己免疫疾患領域」「救急領域」「骨・軟骨領域」「筋疾患領域」の創薬シーズや技術と、「薬物動態関連技術」「製剤技術」をはじめとする様々な創薬基盤技術を広く募集し、共同研究や研究育成の可能性について検討する。

 募集期間は、来年1月7日~2月6日。研究期間は原則1年間とし、1案件につき年間500万円を上限に研究費を支給する。詳細については、旭化成ファーマ オープンイノベーション・公募サイト(https://www.asahikasei-pharma.co.jp/a-compass/jp/)まで。

旭化成ファーマ デュピュイトラン拘縮薬の供給継続求め提訴

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2019年10月2日

 旭化成ファーマは1日、Endo Ventures社(アイルランド・ダブリン市)などに対し、デュピュイトラン拘縮治療剤「ザイヤフレックス 注射用」(一般名:コラゲナーゼ〈クロストリジウム ヒストリチクム〉)の、供給継続を求める仮処分命令を請求する訴えの提起を、9月30日(米国東部時間)に米国ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に行ったと発表した。

 旭化成ファーマは、Endo社との間で同剤の日本での独占的な長期供給契約を締結し、国内での販売を行ってきた。しかしこのほど、供給義務を負うEndo社が以後当該義務を履行しないと通告し、同剤の供給を拒絶した。

 旭化成ファーマは、供給の継続に向けEndo社と協議してきたものの、Endo社の意向が変わらなかったため、日本国内での同剤の継続的な供給に支障を来す可能性が生じてきたとして今回、同社は供給継続を求める仮処分命令を請求する訴えを起こした。

 デュピュイトラン拘縮とは、手のひらから指にかけてしこりができ、症状の進行に伴って皮膚がひきつれ、徐々に指が伸ばしにくくなる病気。指が曲がって伸ばせないことにより日常生活に不便をもたらすようになる。

 旭化成ファーマは、引き続きデュピュイトラン拘縮に対して、手術以外の「薬剤による治療」という選択肢を臨床現場へ提供するためにも、国内での同剤安定供給を今後も継続できるよう努力していく考えだ。

 

旭化成ファーマ 骨粗鬆症治療剤が製造販売承認を取得

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2019年9月24日

 旭化成ファーマは20日、骨粗鬆症治療剤「テリボン皮下注28.2㎍ オートインジェクター」(一般名:テリパラチド酢酸塩)が同日、骨折の危険性の高い骨粗鬆症を効能・効果として、日本での製造販売承認を取得したと発表した。

テリボン皮下注28.2μgオートインジェクター
テリボン皮下注28.2μgオートインジェクター

 同剤は2011年11月から製造販売している「テリボン皮下注用56.5㎍」と同じテリパラチド酢酸塩を含有する製剤。1回使い切りのオートインジェクターであり、簡便に投与することが可能なもの。

 用法・用量は、「通常、成人には、オートインジェクター1本(テリパラチドとして28.2㎍を含む)を1日1回、週に2回皮下注射する。なお、同剤の投与は24カ月間までとすること」となっている。

 同剤は、現行製剤「テリボン皮下注用56.5㎍」を対照とした国内第3相試験(MN‐10‐T‐306試験)では、主要評価項目とされたベースラインから最終評価時の腰椎骨密度変化率で、現行製剤に対する非劣性が検証され、悪心や嘔吐などの副作用の発現割合が低い傾向が見られた。

 同社は今後も、骨粗鬆症患者に対して新たな治療の選択肢を提供し、骨粗鬆症の治療に貢献していく。

旭化成ファーマ レジオネラ症の迅速診断キットを販売開始

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2019年1月29日

 旭化成ファーマは28日、体外診断用医薬品「リボテスト」シリーズの新製品として、レジオネラ・ニューモフィラのすべての血清型(1~15)を検出できるレジオネラキット「リボテスト レジオネラ」の国内販売を2月1日から開始すると発表した。 販売はアリーアメディカルと、極東製薬工業の2社が行う。

「リボテスト レジオネラ」製品写真
「リボテスト レジオネラ」製品写真

 リボテスト レジオネラは旭化成が開発した抗体技術(L7/L12)を用い、旭化成ファーマが製品化したレジオネラ症の診断補助のための迅速診断キット。

 レジオネラ症はレジオネラ・ニューモフィラに代表されるレジオネラ属菌に起因する感染症で、レジオネラ属菌は土壌、河川などの環境中に存在し、アメーバなどに寄生して増殖する。症状によりポンティアック熱型と肺炎型に分類され、肺炎型は進行が速く、2~10日の潜伏期の後に呼吸器症状が現れ、しばしば48時間以内に重症化する。そのため、早期診断と適切な初期治療が求められている。

 従来の迅速診断キットはレジオネラ・ニューモフィラ血清型1のみを検出する目的で使用されていることから、レジオネラ・ニューモフィラの血清型(1~15)が検出可能なキットの開発が望まれていた。

 旭化成ファーマは同製品の販売を通じ、レジオネラ症の迅速診断に大きく貢献していく考え。

旭化成ファーマ 関節リウマチ治療薬のAI製剤を発売

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2018年12月13日

 旭化成ファーマはこのほど、関節リウマチ治療薬「ケブザラ」の新剤形、「ケブザラ皮下注150㎎オートインジェクター、同200㎎オートインジェクター」(一般名:サリルマブ〈遺伝子組み換え〉)を発売した。

150㎎キット
150㎎キット

 効能・効果は、既存治療で効果不十分な関節リウマチ。用法・用量は、通常、成人には1回200㎎を2週間隔で皮下投与する(患者の状態により1回150㎎に減量すること)となっている。薬価は、150㎎1キットが4万4945円、200㎎1キットは5万9509円。製造販売元はサノフィ。

 同剤の発売により、「ケブザラ皮下注」には従来のシリンジ製剤に加え、オートインジェクター(AI)製剤が新たに加わった。シリンジ製剤と同様、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤。同剤は、リウマチ患者が扱いやすい形状・機能を追求したユーザー中心設計のコンセプトで設計された。

 本体は、人間工学に基づき設計された握りやすい形状で、関節のこわばりや痛み、変形を訴える患者にとっても扱いやすくなっている。本体内にはあらかじめ1回量の薬剤が充填されている。リング式のキャップを外し、本体を皮膚に押し当てるだけで、注射針が患者の目に触れることなく自動的に皮膚に刺さり、薬液が注入される。

 また、視認性の良い薬液確認窓から薬剤の注入の状況が目視でき、薬剤注入の始まりと終わりを音で知らせる機能もあるので、患者自身が安心して自分で注射できる設計となっている。

 同社は、AI製剤という新しい治療の選択肢を提供することで、日本の関節リウマチ患者や医療関係者への一層の貢献を図る。今後も、同剤を含む「ケブザラ皮下注」の適正使用の推進と情報提供を続けていくとともに、患者のQOLの改善に注力していく考え。

 

旭化成ファーマ 関節リウマチ治療薬の在宅自己注射が保険適用に

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2018年12月4日

 旭化成ファーマは3日、関節リウマチ治療薬「ケブザラ皮下注150㎎シリンジ、同200㎎シリンジ」(一般名:サリルマブ/遺伝子組み換え)が、1日から在宅自己注射指導管理料対象薬剤となり、在宅自己注射が保険適用になったと発表した。また併せて、同日から投薬期間制限が解除された。

150㎎シリンジ
150㎎シリンジ

 ケブザラはインターロイキン 6(IL‐6)受容体に対するヒト型モノクローナル抗体で、関節滑膜での炎症に重要な役割を果たしていると考えられているIL‐6の作用を抑制する薬剤。同剤はサノフィ社とRegeneron社が共同で開発を行い、米国、カナダ、欧州をはじめ日本を含む世界19カ国で発売されている。

 日本ではサノフィ社が昨年9月に「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」の効能・効果で製造販売承認を取得し、11月に薬価基準に収載、今年2月から旭化成ファーマが発売している。

 関節リウマチの治療は長期に及ぶことがあり、患者の治療と日々の生活との両立を図る点で、通院の負担がより少ない治療が望まれるケースがある。旭化成ファーマは、ケブザラの在宅自己注射が保険適用になったことと、投薬期間制限の解除によって、患者や医療関係者に、より一層貢献できるものと考えている。

 なお、新医薬品は、厚生労働省告示第107号に基づき、薬価収載後1年を経過する月の末日までは、投薬は1回14日分を限度とされている。