東亞合成の連結対象会社であるMTアクアポリマー(MTAP:東亞合成51%、三井化学49%)は31日、関係当局の承認が得られたことから、三菱ケミカルの高分子凝集剤の販売事業を会社分割により同日に承継すると発表した。
なお対象製品は、アニオン系、カチオン系および両性系高分子凝集剤ならびにそれらのブレンド品となっている。
2021年4月1日
2021年2月22日
積極投資とR&D強化、高付加価値化の拡大図る
東亞合成は今年、中期経営計画「Stage up for the Future」(2020~22年)の2年目に入った。17日に開催の決算説明会で進捗報告があった。高付加価値製品事業の拡大や新事業の創出に向けて新たなスタートを切った昨年(1-12月期)は、コロナ禍の影響を受けて減収減益となったが、髙村美己志社長は「事業環境の大きな変化は、我々にとってはむしろチャンスになるのではないか」と捉える。
その理由の1つは、世界経済が減速する中でも、5Gの拡大やテレワークの増加を背景に成長を続ける半導体産業にある。リーマンショック時には大きく落ち込んだ同社の半導体関連事業も、コロナ禍ではプラスに動いており期待を寄せる。エレクトロニクス分野では、半導体製造用高純度ガスと
2021年2月15日
東亞合成は12日、2020年12月期の通期連結業績を発表した。売上高は前年比8%減の1334億円、営業利益11%減の123億円、経常利益14%減の131億円、純利益22%減の81億円。
セグメント別に見ると、基礎化学品事業は減収減益。電解製品は、紙パルプ、金属・鉄鋼や自動車関連など広範な産業分野において需要が低調に推移し販売数量が低迷。アクリルモノマー製品は、年後半に向けて販売数量は回復したが年前半の販売不振および原料価格安に連動した製品価格低下が影響した。工業用ガスは需要回復が遅れた。
ポリマー・オリゴマー事業は減収減益。アクリルポリマーは、紙パルプ向けや年前半における自動車関連向け製品の需要不振の影響などから販売数量が減少。アクリルオリゴマーは、年後半にかけて販売数量は回復したが年前半の販売低迷を補えなかった。高分子凝集剤は、輸出の減少や販売価格の低下が響いた。
接着材料事業は減収減益。瞬間接着剤は、コロナ影響から国内外の市場において販売数量が低迷。機能性接着剤は、新規用途向け製品の販売開始はあったが、年前半の自動車関連やエレクトロニクス関連向け製品の需要が低調に推移したことや、一部不採算製品の販売を縮小した。
高機能無機材料事業は増収増益。高純度無機化学品は、テレワークの拡大などに伴う半導体向け需要が年間を通し堅調に増加。無機機能材料は、コロナ影響から抗菌・抗ウイルスへの関心が高まり需要が増加したことに加え、電子部品向けイオン捕捉材の販売も好調に推移した。
樹脂加工製品事業は減収減益。管工機材製品および建材・土木製品は、コロナ影響などから需要は低調に推移。ライフサポート製品は、年後半に向けて在宅介護向け製品などの販売数量が回復したが年前半の不振を補えなかった。エラストマーコンパウンドは、一部製品の需要低迷や東南アジアにおける新規開発案件の遅延などが響いた。その他事業は減収・営業損失となった。
2021年3月期の通期業績予想については、売上高7%増の1430億円、営業利益14%増の140億円、経常利益13%増の148億円、純利益28%増の104億円を見込んでいる。
2021年2月9日
2021年2月2日
東亞合成は1日、トヨタ自動車が昨年12月から販売を開始した燃料電池自動車(FCV)の新型「MIRAI」に、高機能接着剤製品が採用されたと発表した。採用されたのは、UV硬化型接着剤「アロニックスUVX」と特殊変性オレフィン系ホットメルト「アロンメルト」の2製品。
「アロニックスUVX」は、東亞合成の光硬化型樹脂「アロニックス」をベースにした接着剤で、燃料電池セル内の接着が困難な電解膜とセル内部品との接着性や接着剤使用工程上の塗布性を高め、燃料電池内部でのガスのリークを防ぐ接着シール効果を発現する。また、UV硬化により組み立て工程時間を大幅に短縮し生産性向上にも寄与する。一方、「アロンメルト」は、燃料電池セルで使われる金属セパレーター同士を強固に接着し、ガスの流路を確保する。
FCVは、数百枚積層された燃料電池セル内で水素と酸素を反応させることにより発電し、モーターを駆動して走行する。今回開発した高機能接着剤2製品は、燃料電池セル内での水素と酸素の流路を保ち、生成された水の排水性を高めるシールとセル内部品の接着を行うために採用されたもの。いずれの接着剤もFCVの心臓部ともいえる燃料電池の発電システムに重要な役割を担っており、高耐久・高信頼性が要求される車載スペックも満たした。
東亞合成は、今後とも燃料電池の性能や生産性の向上に資する研究開発を進めるとともに、徳島工場(徳島県徳島市)の電解工場から産出する水素を活用したFCV向け水素ステーションの設置を推進するなど、FCVの普及さらには2050年に向けた脱炭素社会の実現に貢献していく考えだ。
2020年12月17日
東亞合成はこのほど、二酸化炭素を排出しない次世代燃料の1つとして期待される水素エネルギーの活用をより一層推進するため、徳島県と「『徳島県水素グリッド構想』の実現に向けた取組の推進に関する連携協定」を、同県板野町と「水素ステーションの設置及び運営に関する覚書」をそれぞれ締結したと発表した。同社は15日に交わした2者間での両覚書に基づき、徳島県とは相互に連携・協力し、地産水素の効果的活用を図ることで、同県が推進する「徳島県水素グリッド構想」と将来的な「カーボンフリー水素社会」の実現を目指す。
一方、板野町とは同町にある「道の駅いたの」で東亞合成が移動式水素ステーションを営業し、圏域内と広域移動を行う燃料電池自動車(FCV)や燃料電池バス(FCバス)などへ安定的な水素供給を行い、また、板野町が行う水素エネルギー普及拡大に向けた啓発などの取り組みに協力するとともに、災害発生時の水素供給拠点施設としても必要な連携を行う。
同社の徳島工場(徳島市)は、1957年の工場設立時から、カセイソーダや塩素、水素を主製品とする塩水電気分解工場を安全・安定して稼働している。同電解工場から産出される高純度の水素を製造する技術を活用し、FCVやFCバスの燃料源となる水素を供給する定置式および移動式水素ステーションを、来年秋をめどに同工場隣接地へ設置する予定。
同社グループは地球環境保全を経営上の重要課題の1つと位置づけ、地球温暖化防止の促進や環境負荷物資の排出量削減などに継続的に取り組んでいる。徳島工場で長年にわたり培った水素の知見や技術を生かすことで、今後とも徳島県をはじめとした地域社会との連携と協力を深めていく考えだ。
2020年12月2日
東亞合成はこのほど、東京大学大学院農学生命科学研究科の磯貝明特別教授のグループらとの共同研究により、低コストかつ分散や乳化などの工程でシングルナノセルロースにまで容易に解繊する(解きほぐす)ことが可能な新しい酸化セルロースを開発したと発表した。
パルプなどを原料とし、高濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液による酸化反応で、非常に緩やかな撹拌混合エネルギーによってシングルナノセルロースにまで解繊される酸化セルロースを開発。顔料の分散や化粧品の乳化に使用される汎用的なホモミキサーで数分間攪拌するだけで、ナノ解繊が進み透明な水分散液となる。これにより、製造時や使用時に必要なエネルギーを大幅に抑えることができ、コストの削減とCO2削減を同時に達成した。
脱炭素化社会の実現に貢献する素材として注目される非可食性バイオマス由来のセルロースナノファイバー(CNF)は、軽量性や強靭性、透明性をもつ素材として、自動車部材などの高機能材料への応用も加速している。一方で、木材などから得られるセルロース繊維を、毛髪の1万分の1の細さに相当するシングルナノセルロースまで解繊するには多大なエネルギーが必要であり、CO2負荷が大きくなるとともに製造コストがかさむことから、CNFの優れた特性を生かした実用例が少ないのが現状だ。
こうした背景の中で、東亞合成では解繊に必要なエネルギーの低減と低コスト化を目指してきた。今後は、既存のCNFと比べて5分の1程度の販売価格を目標にコストダウンと量産化の検討を進め、早期事業化を図る考えだ。次亜塩素酸ナトリウムを製造・販売する同社のリソースを最大限生かし、輸送方法も含めたCNFの新しい利用方法を提案していくとともに、さらに用途開発を進め、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する製品として、バイオ資源の有効活用とCO2削減を目的とした環境に優しい新しい材料を世の中へ提供していく。
2020年11月5日
東亞合成は4日、同社広野工場(福島県双葉郡広野町)が仏エコバディス(EcoVadis)社のサステナビリティ評価で、今年から新たに設けられた、対象企業の上位1%以内の企業に付与されるプラチナ評価を取得したと発表した。昨年の最高評価で、同上位5%以内に付与されるゴールド評価に続き、2年連続での最高評価取得となった。
広野工場は、医薬・化粧品・トイレタリーなどの用途に特長のあるアクリルポリマー製品を生産・供給している。東亞合成グループは、「未来の子供たちに幸せが届くよう、新しい価値創造に挑戦します」とのサステナビリティ方針の下、今後も持続可能な社会の実現に貢献できる高付加価値製品の提供を続けていく方針だ。
なお、エコバディス社は、4つのテーマ(環境・労働と人権・倫理・持続可能な資材調達)に分類された21項目のサステナビリティ分析を行うグローバルな評価機関であり、世界160カ国、200業種、6万5000以上の団体・企業の評価を行っている。
2020年11月2日
東亞合成が30日に発表した、2020年12月期第3四半期(1―9月期)の連結業績は、半導体や抗菌・抗ウイルス向けの需要が引き続き堅調に推移し、高機能無機材料事業が増収増益に寄与した。その一方で、自動車をはじめとした多くの産業分野向けの需要回復が遅れていることから、他の事業領域での販売数量減少や原料価格安に連動した製品価格の低下が響き、全体では減収減益となった。売上高は前年同期比10%減の975億円、営業利益は23%減の85億円、経常利益は27%減の89億円、純利益は33%減の55億円だった。
セグメント別では、基幹化学品事業は減収減益。電解製品と工業用ガスは、販売数量が減少し減収、アクリルモノマー製品は、減販に加え製品価格の低下が響き減収となった。営業利益は、原燃料価格の低下による変動費の改善はあったものの、販売数量の減少や販売単価の低下が下押しし、減益となった。
ポリマー・オリゴマー事業は減収減益。アクリルポリマーは、自動車関連向けの販売数量が低迷し減収、アクリルオリゴマーは、回復基調にあるものの販売数量が減少した。高分子凝集剤は、販売価格の低下し輸出が振るわなかった。営業利益は、アクリルポリマーや高分子凝集剤の減販などが利益悪化要因となった。
接着材料事業は減収減益。瞬間接着剤は工業用途が低調に推移、機能性接着剤は自動車やエレクトロニクス製品向けの販売が伸び悩んだ。高機能無機材料事業は増収増益。高純度無機化学品は、5G普及の遅れをテレワークの増加などに伴う半導体向けの需要増が補完し増収。
無機機能材料は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が続き抗菌・抗ウイルスの需要が増加したほか、電子部品向けイオン捕捉材の販売も増加し増収となった。営業利益は、旺盛な需要に対する積極的な設備投資を行ったことから償却費負担の増加などがあったものの、無機機能材料、高純度無機化学品の増販が寄与し増益となった。
樹脂加工製品事業は減収減益。コロナ禍で管工機材製品やライフサポート製品、建材・土木製品などが減少した。なお、通期の業績見通しについては、前回予想を据え置いた。
2020年10月8日
東亞合成は7日、高岡工場(富山県高岡市)に建設中の「高岡創造ラボ」が完成し同日に開所式を行ったと発表した。高岡工場は、接着剤製品の拠点工場として、従来から同製品の製造、製品開発や顧客への技術サービスなどを行っている。
新設した同ラボでは、瞬間接着剤を主体とした新製品の開発機能をより一層強化するとともに、量産に向けた技術開発機能を拡充することで、顧客の要望や期待により迅速に対応できる態勢が整備された。さらにラボ内には、瞬間接着剤「アロンアルフア」の歴史や各種接着剤製品を展示するコーナーを設置。将来を担う小中学生や地域の人々に、接着剤製品をより身近に感じてもらう開かれた施設として運用していく考えだ。
同社グループは、「未来の子供たちに幸せが届くよう、新しい価値創造に挑戦します」とのサステナビリティ方針の下、接着剤製品をはじめとした高付加価値製品の拡大に取り組んでいる。今回の「高岡創造ラボ」の開所により、持続可能で豊かな社会に役立つ製品の開発、提供に一層の力を注いでいく。