東亞合成 名古屋工場のカセイカリ設備を能増、来春完成

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2021年10月14日

 東亞合成は13日、名古屋工場(名古屋市港区)でのカセイカリ(液体・フレーク)の生産能力増強を決定したと発表した。増強規模は非公開。投資額は約14億円。2022年春の完成を予定する。

 カセイカリは液体洗剤や医薬品、化粧品、電子部品などの原材料として幅広く使われている。同社は今後の需要拡大を見据え、安定供給を維持するために、既存設備(年産3万t)からの生産能力増強を決定した。また同能増に併せ、充填設備などの合理化投資も行うことで、事業規模の拡大と収益力の強化を図っていく考えだ。

 

ADEKA 光酸発生剤を能増、先端フォトレジスト向け

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2021年8月31日

 ADEKAは30日、EUVをはじめとする半導体の先端リソグラフィ工程で使用される光酸発生剤について、千葉工場の生産能力を従来比二倍以上に増強すると発表した。投資金額は27億円。2022年3月に着工し、2023年度中の稼働を予定している。

光酸発生剤を増強する千葉工場
光酸発生剤を増強する千葉工場

 5G通信の普及とテレワークなどのライフスタイルの変化に伴い、半導体需要が活況であることを背景に、同社の光酸発生剤「アデカアークルズ」シリーズの販売が好調に推移している。同製品は、微細なパターニング形成とppb(10億分の1)レベルの低メタル管理を特長とし、世界トップクラスの性能をもつ。

 今後、半導体の微細化進展に伴い、最先端リソグラフィ技術であるEUV露光の拡大が予想されており、従来のリソグラフィ向け光酸発生剤の技術革新が必要とされている。今回の投資ではEUV向け製品の提供を加速するため、従来では対応することが難しいppbレベルの低メタル管理を実現する最新の設備を導入。また、導入を決定した生産設備では、微細化進展に伴い新たに必要となる半導体周辺材料の生産も計画している。

 同社は、先端の半導体材料の提供を通じて、ICT社会の実現に貢献していく。

ENEOS 超高圧・高圧電線絶縁用PE、3万t増強

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2021年7月30日

 ENEOSは29日、100%子会社であるENEOS NUCが、超高圧・高圧電線の絶縁用途向けポリエチレン(PE)の生産能力を約3万t増強すると発表した。再生可能エネルギーの電源開発を背景に増加する需要に応えたもので、川崎工業所内に約120億円を投資して新設備を建設し、2023年12月の商業運転開始を予定している。

ENEOS 超⾼圧・⾼圧電線ケーブルの写真
超⾼圧・⾼圧電線ケーブルの写真

 世界的な脱炭素化の動きに伴い、洋上風力発電など遠隔地にある分散化型電源の送電線や、欧州で始まった送電の地域間ネットワーク化など、送電線の需要成長にあわせて地中送電用電線の絶縁材の需要が急増している。

 超高圧・高圧電線は社会的に重要なインフラであり、極めて高い品質が求められる。そのため、電線絶縁用PEの製造には、通電時の損傷原因となる樹脂中の微細な異物を徹底的に除去するクリーン化技術と、絶縁性能を向上させる添加剤などの配合技術を要する。

2020年に商業運転を開始した、超⾼圧・⾼圧直流電線⽤絶縁製造設備

 同社は、交流の最高電圧50万V架橋絶縁用PEを世界で最初に上市するなど、世界で数社だけが保有するこれらの技術を強みに、30年以上にわたり絶縁用PEを開発・生産・販売してきた実績をもつ。また長期間の使用に耐え得る優れた品質性能は、世界トップクラスとの評価を得ている。現在はアジアの電線加工メーカーへの販売が主だが、欧州の電線メーカーからも供給を要請されており、今回の生産能力増強で新たな需要を確実に取り込み、さらなる競争力強化を図る狙いだ。

 ENEOS NUCは、今回の増強と昨年商業運転を開始した超高圧・高圧直流電線用架橋絶縁用PEを柱に、世界市場で重要な役割を果たし、さらなる技術開発と市場成長にあわせた供給体制の検討を続け、将来の社会インフラ構築への貢献を目指していく。

住友ベークライト 中国で半導体封止材増強、現有の1.5倍に

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2021年7月29日

 住友ベークライトは28日、半導体封止材の中国子会社SSBで、新規に設備を導入し生産能力を増強すると発表した。

中国子会社SSB外観
中国子会社SSB外観

 同社は半導体封止材「スミコンEME」において、世界で40%のトップシェアを誇り、中国市場でも、1997年より生産を開始している。ここ数年、中国市場の拡大や同社シェアアップに対応するため、既存ラインでの生産能力増強を進めてきた。

 こうした中、コロナ禍によるリモートワーク用周辺機器や家電用途の半導体需要の拡大に伴い、半導体封止材の需要もさらに拡大。既存設備での生産量アップでは対応できなくなることが予想されることから、現工場の建屋内に新規に生産ラインを導入し、生産能力を現在の1.5倍に拡大することを決定した。すでに当局の承認も得て着工しており、2021年内に設置を完了し、2022年初頭から生産を開始する計画。なお、投資金額は25億円を予定している。

 今回の能力増強により、当面の中国市場での半導体封止材の需要に対応は可能となるが、同社は将来的なさらなる需要増に対しても迅速に対応していく考えだ。

三井化学 高屈折レンズ材を能増、米・中市場拡大に対応

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2021年5月28日

 三井化学は27日、世界トップシェアを誇る高屈折メガネレンズモノマー「MR」の生産能力増強を決定したと発表した。

『MR』を生産する大牟田工場の全景
「MR」を生産する大牟田工場の全景

 既存プラントのある大牟田工場(福岡県大牟田市)で設備新設とデボトル増強を行い、中国を中心としたアジアでの高機能品ユーザー層の拡大や、北米でのポリカーボネート(PC)素材からの置き換え需要などに対応していく考えだ。2023年10月の商業運転開始を予定。生産量については、既存、能増分ともに非公開としている。

 「MR」は独自の重合技術により、高屈折率・高アッベ数・軽量かつ高耐衝撃性を実現したチオウレタン系樹脂(硫黄を含むウレタン)のメガネレンズ材料。粘りのあるチオウレタン系樹脂により、薄くても割れにくく、アッベ数が高いことからレンズ度数を上げても色にじみが少なくクリアな視界が得られる特長をもつ。

伸長する高屈折メガネレンズ需要に向け『MR』を拡販
伸長する高屈折メガネレンズ需要に向け「MR」を拡販

 同社は、グローバルで拡大する高屈折メガネレンズ需要の確実な獲得を目指している。米国市場では、会員制大手量販店の米コストコが「MR」を使用したメガネレンズを標準採用するなど、PC素材からウレタン素材への切り替えが進んでおり、今後も長期的な成長が見込まれている。

 三井化学は、引き続きビジョンケア材料事業を通じ、QOV(視界品質)をコンセプトに、視力矯正から、目の健康と快適さまで、より良い視界を追求する製品開発に取り組んでいく。

横浜ゴム タイの金型生産能力増強にジェトロの支援

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2021年3月17日

 横浜ゴムはこのほど、タイヤモールド(金型)生産会社のヨコハマモールド(YMC)がASEANでのサプライチェーン強化を目的にタイのグループ会社ヨコハマモールド・タイランド(YMTC)の生産能力を増強すると発表した。今年末に完了する予定だ。

 YMTCは2018年にタイ・ラヨーン県に設立以来、横浜ゴムの日本、タイ、フィリピン、インドなどのタイヤ生産拠点に乗用車用とライトトラック用のタイヤモールドを供給している。今後、タイヤモールドの供給は日本のYMCと中国のパートナー企業に加え、YMTCを活用してアジア3拠点体制を確立し、ASEANでのより安定的な供給を実現する。

 横浜ゴムは中国、台湾、フィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア、インドなどにタイヤとMB(マルチプル・ビジネス)の生産販売拠点をもち、アジア地域の事業強化を進めてきた。今後も生産能力の増強やサプライチェーンの強化などを通じて、ASEAN諸国との相互発展に貢献していく考えだ。

 なお今回の増強は、日本貿易振興機構(ジェトロ)の「海外サプライチェーン多元化等支援事業第3回公募(設備導入補助型)」に採択された。これは、特にアジア地域で生産の多元化などのサプライチェーンを強靭化し、日本とASEANの経済産業協力関係を強化することを目的としたものだ。

DIC PS能増し21万6000tへ、中食拡大に対応

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2019年12月11日

 DICは10日、四日市工場(三重県四日市市)で製造するポリスチレン(PS)の生産能力を、設備強化や生産プロセスの最適化を行うことで、年産20万8000tから21万6000tに増強したと発表した。投資金額は非公開。2023年にはPS事業の売上高を2017年比で10%の増加を目指す。

四日市工場のポリスチレンの生産設備
四日市工場のポリスチレンの生産設備

 PSはコンビニエンスストアやスーパーなどで販売されている弁当・惣菜向けの食品容器などに多く用いられており、共働きや単身世帯の増加などを背景に、調理済みの食品を持ち帰って食べる〝中食〟市場を中心に需要が拡大。日本惣菜協会発行の「2019年版惣菜白書」によれば、2018年の中食の市場規模は約10兆円で、9年連続の成長を続けている。

 昨今では、〝レンジアップ惣菜〟といわれる新ジャンルの中食が登場し、生の食材をプラスチック容器ごと電子レンジで加熱調理する惣菜も増加の一途をたどる。

 同社は、成形性と高強度を両立した高機能タイプのPS製品「ハイブランチ」ブランドに加え、高い耐熱性をもつ新製品もラインアップ。新製品の耐熱性は汎用のPS樹脂に比べて5~10℃ほど高く〝レンジアップ惣菜〟の調理用途にも対応する。

 さらに、リサイクル性にも優れ、総重量の削減による省資源化を可能にするなど環境配慮型製品の特長も備える。同社グループは、拡大する中食市場の需要に安定供給を果たすだけでなく、食品容器や包装資材に使える「安心・安全」に配慮した製品を提供するとともに、世界的な社会課題である環境問題の解決に貢献していく考えだ。

BASF 中国で天然由来原料の界面活性剤APGを増強

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2019年11月26日

 BASFは中国・金山(ジンシャン)工場のアルキルポリグルコシド(APG)の生産能力を1万t増強し、2万tから3万tに拡大した。昨年発表した生産能力拡大プロジェクトの一環。

 さらに1万tを追加するため、基本インフラ整備に必要な承認を取得して準備を進めている。これにより、近い将来に生産能力は倍増される予定で、拡大するマーケットと顧客の需要に、より適切なサポートが行えるようになる。

 APGは洗顔料やボディーソープ、シャンプーなどのパーソナルケア用品で、泡立ちの改善に使用される界面活性剤。また、食器洗浄用洗剤や洗濯用洗剤、表面洗浄剤などのホームケア用途、農業用マイクロエマルジョン製剤にも応用されている。さらに、非イオン性であるため、様々な界面活性剤や他の成分との相溶性が高く、100%天然由来の再生可能原料から製造されることも特徴だ。

 金山の生産拠点は「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」によって認証された、グローバル生産拠点の1つ。同社は経済の発展を推進しながら、世界的なサステナビリティに対する要望にも応え続ける方針だ。

ソルベイ 伊工場で「テクノフロン」FKMを30%増強

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2019年10月30日

 ソルベイはイタリアのスピネッタ・マレンゴ工場の「テクノフロン」パーオキサイド加硫FKMの生産能力を約30%増強する。 自動車、石油・ガス、半導体市場での高機能シールの継続的な需要拡大に対応するため。

 生産能力増強は再来年の5月までに完了する予定で、昨年発表したイタリア・中国工場での増強計画に追加されるものだ。同社では、さらなる増強により燃料消費やCO2排出量の低減に貢献する、自動車向けターボチャージャーなどの需要に着実に対応できると考えている。

 「テクノフロン」FKMは、低公害内燃機関・ハイブリッド車・電気自動車の高耐熱性・耐薬品性が要求される排気再循環(EGR)システム、ターボチャージャーホース、シーリング、ガスケットなどの用途で採用されている。また、高純度性が求められる半導体製造プロセスやウェアラブル機器でも使われている。

日本ゼオン COP能力を増強、光学フィルムなど需要増に対応

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2019年10月1日

 日本ゼオンは30日、水島工場(岡山県倉敷市)での熱可塑性透明樹脂シクロオレフィンポリマー(COP)の生産能力増強を決定したと発表した。

 COPの「ZEONEX」と「ZEONOR」は液晶テレビ・スマートフォン・医療容器などの主要用途で需要が拡大しており、今後さらなる需要増が見込まれている。今回の増強により、年産能力は現行の3万7000tから4万1600tへと拡大する見通し。2020年度中の着工、2021年7月の完工を目指す。

 同社のCOPは、優れた光学的・化学的性質を持ち、光学フィルム、光学レンズから医療・バイオテクノロジーの分野に至るまで幅広く利用され、高い評価を得ている。

 特に、独自で開発した溶融押出法により自社加工している光学フィルム「ZeonorFilm(ゼオノアフィルム)」は、ディスプレイの大型化に伴う市場拡大に合わせ、近年、フィルム生産能力を相次いで増強してきた。

 これに加えて、レンズ・医療用途についても堅調な伸びを示しており、COP全体の需給バランスが逼迫することが予想されていた。今回の増強はそれらの需要増に対応するものとなる。

 同社はこれからも、COPの安定的な供給体制を確保しながら、産業発展に尽くしていく考えだ。