AGCの1-3月期 建築用ガラスや塩ビ好調で増収増益

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2021年5月10日

 AGCは7日、2021年12月期第1四半期(1-3月期)の連結業績(IFRS)を発表した。売上高は前年同期比10%増の3936億円、営業利益98%増の442億円、純利益2.1倍の288億円。東南アジアでの塩化ビニル樹脂、および建築用ガラスの販売価格上昇や、合成医農薬とバイオ医薬品の受託件数増加により増収増益となった。

 セグメント別で見ると、ガラスセグメントは増収増益。建築用は日本を除く地域で出荷が堅調に推移。欧州・南米を中心に販売価格が上昇したことに加え、欧州設備の稼働率向上により製造原価が低減した。自動車用は中国での自動車生産台数が大幅に増加したことで、出荷が増加した。

 電子セグメントは増収減益。ディスプレイは液晶用ガラス基板とディスプレイ用特殊ガラスの出荷が増加。電子部材は、EUVマスクブランクスなどの半導体関連製品やオプトエレクトロニクス用部材の出荷が増加した。プリント基板材料は米中貿易摩擦の影響などにより出荷が減少した。

 化学品セグメントは増収増益。クロールアルカリ・ウレタンは東南アジアで塩化ビニル樹脂の販売価格が上昇。フッ素・スペシャリティは、自動車向けフッ素関連製品の出荷が回復基調にあるものの、航空機向け関連は出荷が低調だった。ライフサイエンスは、新型コロナ関連の案件も加わり、合成医農薬とバイオ医薬品の受託件数が増加した。

 セラミックス・その他セグメントは減収減益だった。

 なお、通期連結業績予想については前回発表を据え置き、売上高17%増の1兆6500億円、営業利益2.1倍の1600億円、純利益2.5倍の830億円を見込む。コロナ禍からの業績回復に加え、塩化ビニル樹脂の高値継続により大幅な増収増益となる見通しだ。

AGC ガラス製透明スクリーンが広告投影用車窓に採用

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2021年4月22日

 AGCはこのほど、ガラス製透明スクリーン「グラシーン」がニューステクノロジーとS.RIDEが今年6月開始予定のタクシー車窓モビリティサイネージサービスに採用されたと発表した。

 特殊なスクリーンフィルムを、2枚のガラスで挟み込んだ合わせガラス構造で、映像を投影していない時は透明な窓ガラスだが、投影時はクリアな映像を映し出すことができる。主に商業施設や店舗、ショールームの窓ガラスとして映像演出用途に採用されている。

 今回採用される「THE TOKYO MOBILITY GALLERY Canvas」は、タクシーの空車時間にサイドガラスに広告を投影して新たな情報発信源として活用するもの。自動車用窓ガラスに求められる安全性・耐久性を確保しながら、高コントラストな広告を投影することが可能だ。

 AGCグループは、顧客に「新たな価値・機能」をプラスする製品づくりに取り組んでおり、今後も顧客が満足できる新たな価値をプラスした製品を提供するために、技術革新を進めていく考えだ。

AGC 長期ビジョンおよび新中期経営計画を策定

2021年2月9日

両利き経営を追求、30年までに最高益を目指す

平井良典社長

  AGCはこのほど、2030年の長期ビジョンと新中期経営計画「AGC plus-2023」(2021~2023年度)を発表。会見の中で平井良典社長は、「コア事業と戦略事業を両輪とする両利きの経営を進めてきた。これをさらに磨き込んで深化させ、事業ポートフォリオの転換を加速する」と語り、

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AGC 12月期決算(5日)

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2021年2月8日

[AGC/12月期決算](5日)単位100万円、カッコ内は対前期増減率。▽連結(国際会計基準:IFRS)=売上高1,412,306(▲7.0%)、営業利益75,780(▲25.4%)、税引前利益57,121(▲25.0%)、純利益32,715(▲26.4%)。

AGC 化学品プラント運転一括管理システムを開発

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2021年1月27日

 AGCはこのほど、化学品プラントの運転管理、品質管理などを一括管理できる化学品プラント運転一括管理システム「CHOPIN(ショパン)」を開発した。今年から本格導入を開始し、2023年までに千葉工場、鹿島工場の全ての化学品プラントにシステムを展開し、運転操業ノウハウの完全デジタル化を目指す。

 化学品プラントは、プラントの制御システム、操業状況を記録管理するプラント情報管理システム、製品の品質を管理するシステムなど複数のシステムを組み合わせて運用している。さらにプラントのオペレーター同士は、手書きのノートで情報共有や運転指示などの申し送りを行っており、それらに必要な情報の伝達に多大な時間と手間を要することなどが大きな課題となっていた。

 こうした中、AGCはプラント運転に関わる全てのデータの一元管理を目的として開発した同システムは、これまで異なる複数のシステムで運用されていたプラント運転に関する全ての情報をはじめ、オペレーターの作業指示・作業ログや申し送り情報もデジタル化し、統合管理できる。2019年より千葉工場の高機能フッ素樹脂製造プラントで開始した試験運用では、1日当たり11時間以上の作業時間削減を実現した。

 また、システム導入により同プラントの安定稼働を実現した結果、年間1億円以上のコスト改善効果を上げている。今後は現場作業の点検データなどを運転管理システムへ逐次入力ができるよう、モバイル端末を使ったリアルタイムデータ活用を推進する予定だ。

 AGCグループは、デジタル技術を活用しビジネスプロセスの変革を行う〝スマートAG〟を推進。製造・研究開発・営業などあらゆる業務のビッグデータを活用し、業務のさらなる効率化や顧客への新たな付加価値の提供を目指していく。

AGC チェコ社とガラスアンテナの通信テストを実施

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2021年1月22日

 AGCはこのほど、完全子会社であるAGCグラス・ヨーロッパとT-Mobile(チェコ)が、AGCのモバイルネットワーク用ガラスアンテナ「WAVEATTOCH」の通信テストを実施したと発表した。今回の試験は、日本で開発した窓を基地局化するガラスアンテナが欧州で使われた初めての事例となる。

 欧州地域のネットワーク構築は、特に人口密度の高い地域で大きな課題となっている。外壁にアンテナを設置する従来の方法は時間とコストがかかるだけでなく、歴史的な都市部の文化遺産の景観保護の観点から設置が困難だ。そこでT-Mobileは、景観を保ちながら来るべき5G通信などのネットワーク構築を可能にする「WAVEATTOCH」の試験をプラハにある本社の窓で実施し、良好な結果を得た。試験に提供したガラスアンテナは、T-Mobileが使用する1.8GHzと2.1GHzの周波数帯に対応した試作品。

 AGCは、既存窓の室内側表面に貼り付けることで屋外をサービスエリア化することができるガラスアンテナ「WAVEATTOCH」を2018年にNTTドコモと共同開発し、翌2019年から販売を開始した。また、昨年には5G周波数に対応する製品の開発も完了している。同社グループは今後、新たな価値をプラスした製品を提供するため技術革新を進めていく考えだ。

AGC、セントラル硝子との国内建築用ガラス統合を中止

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2021年1月18日

 AGCはこのほど、セントラル硝子との間で進めてきた国内建築用ガラス事業の統合協議を中止すると発表した。

 AGCは、厳しい事業環境が続く同事業について、経営および資本の効率化と収益性の向上、企業基盤の充実を目的として、2019年12月にセントラル硝子と事業統合に向けて基本合意書を締結。昨年12月末の事業統合完了を目指し、両社の間で詳細な検討と協議を進めていた。

 その後、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより交渉作業に時間を要したことから、昨年10月に事業統合の完了目標時期を今年第4四半期(10-12月期)に延期することを公表。しかし、事業統合に関する条件について両社の間で見解が異なり、合意が困難との認識に至ったことから、今回、協議を中止することを決定した。

 AGCは今後、高付加価値商品の市場拡大や新市場の開拓、需要に見合った生産体制の構築などに引き続き取り組み、同事業の収益性向上と事業基盤強化に努めていく考えだ。

AGC 透明で電磁波を遮蔽・吸収するガラスを開発

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2020年12月24日

 AGCはこのほど、従来なかった透明で電磁波を遮蔽・吸収するガラス「WAVETRAP(ウェーブトラップ)」を開発したと発表した。来年中の販売開始を目指す。

 IoTの本格普及に伴い通信量が増大し多様な電磁波が飛び交うことで、ネットワークの混線や通信の誤認識、機器の誤作動や故障などのリスクがある。電磁波遮蔽性のパネルやフィルムを使い電磁波の影響をコントロールすることで、リスク低減は可能だが、発泡樹脂のような従来製品では高い透視性の確保は難しい。この課題を解決するため、同社独自のガラス複合化技術と電磁波制御技術を使い、特殊接着層に金属メッシュを挟みこみ、高い透視性を生かしつつ電磁波を遮蔽・吸収できる合わせガラス「ウェーブトラップ」を開発した。

電磁波遮蔽タイプ WAVETRAP-S
電磁波遮蔽タイプ WAVETRAP-S

 電磁波遮蔽タイプ「S」は開口率最大78%、電磁遮蔽性能60㏈(1GHz)。電磁波から人体、通信機器、センサーなどを保護する家電、通信機器、電子機器、医療機器、輸送機器や、生産設備、各種検査室、電波暗室などの開口部・間仕切りが対象。電磁波吸収遮蔽タイプ「AS」は電磁波吸収性能20㏈、電磁波遮蔽性能60㏈(915MHz)で、使用環境やニーズに応じて吸収帯域は設計可能。「S」タイプの用途例に加え、通信障害・誤作動対策を求められるETC・RFID(近距離無線通信)センサーゲートの開口部・間仕切りなどに使用できる。

 本格的なIoT時代の到来を迎え、あらゆる人や物がネットワークに繋がることが求められる中、AGCグループは経営方針「AGC plus」の下、戦略事業領域としてエレクトロニクスを掲げ、新たな製品づくりを目指している。

AGC 新研究開発棟開設でオープンイノベーション加速

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2020年12月16日

 AGCはこのほど、総工費約200億円を投じてAGC横浜テクニカルセンター(横浜市鶴見区)内に建設していた新研究開発棟が完成したと発表した。同研究棟内には、社内外の協創を加速させる協創空間「AO(アオ:AGC OPEN SQUARE)」が設置されている。

新研究棟エントランス
新研究棟エントランス

 同社は祖業のガラスに加え、電子、化学品、セラミックスなど多彩な事業を展開し、各分野の多様な技術を組み合わせ、創業以来リーディングカンパニーとして新たな機能や価値を提供し続けてきた。社会の変化のスピードが加速し、素材開発にもスピードが求められる中、「社内外にシームレス&融合・反応・協創の場」をコンセプトに、2018年に新研究棟の建設に着手。研究開発スピード向上のために、2カ所に分散していた基盤技術開発、新商品開発、プロセス開発、設備技術開発機能を集約・統合し、また、新領域の開拓や新たな価値創造を実現するために、基礎となる独自の技術開発を行う研究実験室と他の企業や研究機関と協創できる空間を設けた。

 新研究棟内には社内専用エリアと、顧客やアカデミア、ベンチャー企業などの社外パートナーとの協創を加速する場として協創空間AOがある。ビジネス拡大や価値最大化を目指し、「つなぐ」「発想する」「ためす」をコンセプトに、AOギャラリー(AGCの新たな魅力を体感するエントランス)、AOパーク(協創で生まれた様々な製品や価値などをきっかけに対話するホール)、AOスタジオ(発想のための展示エリア)、AOラボ(協創実験室)を設置。

 AGCグループは経営方針AGC Plusの下、社内外の協創を通じ顧客の満足、新たな価値をプラスした製品やソリューションを提供できるよう、技術革新を進めていく考えだ。

AGC 遺伝子・細胞治療CDMOサービス拡大を本格化

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2020年11月27日

 AGCはこのほど、株式公開買い付けで100%子会社化したMolecular Medicine(イタリア)の社名をAGC Biologics(イタリア)に変更した。AGC Biologics社のグローバルネットワークに遺伝子・細胞治療CDMOを組み入れ、サービス拡大を本格化する。

 遺伝子・細胞治療は、遺伝子または遺伝子を導入したヒト細胞などを人体に投与する最先端医療の1つ。世界中で進行中の治験数はすでに約1000件を超え、CDMO市場も高い成長が見込まれている。AGC Biologics(イタリア)は、遺伝子・細胞治療の開発・製造を行い、細胞加工・ベクター製造などのプラットフォーム技術をもち、バイオベンチャーから大手バイオ医薬品製薬会社まで様々な顧客にGMP対応の遺伝子・細胞治療CDMOサービスを提供している。

 すでにミラノを起点に、欧州のほか日米グローバルに遺伝子・細胞治療CDMOサービスを提供できる体制にあり、今後の日米拠点での製造拠点の設置も視野に、遺伝子・細胞治療CDMOサービス分野でのグローバル一体運営を推し進める。

 AGCグループはライフサイエンス事業を戦略事業の1つと位置づけ、合成医農薬CDMOと動物細胞と微生物を使うバイオ医薬品CDMOで積極的な買収・設備投資で事業を拡大。2025年に売上高1000億円以上の目標を、2~3年前倒しで達成する見込み。成長著しい遺伝子・細胞治療領域までCDMO事業の幅を広げグローバル展開し、製薬会社、患者、社会に貢献していく。