BASF 天然香料市場に参入、蘭社買収し米社と提携

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2019年11月18日

 BASFは天然香料市場に参入する。天然香料・香粧品のグローバル市場(F&F)で、バイオテクノロジーの革新的リーダーであるオランダのアイソバイオニクスを買収し、バイオテクノロジー研究分野を主導する米国コナジンと提携した。

 アロマケミカルズのリーディングサプライヤーとして、バニリンやノートカトン、バレンセンなど、天然原料のポートフォリオを拡充する。BASFがもつ研究開発力と幅広い販売網に、アイソバイオニクスとコナジンのノウハウ・専門知識を組み合わせることで、バイオ技術に基づいた香料原料のテクノロジーを発展させる。

 アイソバイオニクスはバイオテクノロジーをベースにした香料原料会社。ノートカトンやバレンセンなどのかんきつ類油成分を中心に、F&F市場向けに幅広い天然成分を開発・生産している。買収によりアイソバイオニクスの全従業員がBASFのアロマ原料事業の所属となる。

 コナジンは発酵原料の優れた研究開発力・商品化力をもつ。発酵はビールの醸造やパンを焼く過程でよく知られている古代から続く技術で、ある物質を別の物質に変換するために、細菌や真菌などの微生物が用いられる。コナジンと協力協定を調印したことで、市場で最も需要の高い芳香成分の1つである、天然バニリンを市場に供給することが可能になった。

 BASFが販売する天然バニリンは、米由来のフェルラ酸をベースにしているため、天然バニリンFと名付けられた。そのクリーンなバニリン特性から、「オールナチュラル」表示で、チョコレートやイチゴ、キャラメルなどあらゆるフレーバー用途として使われる。

 さらに、BASFのニュートリション&ヘルス事業本部では、酵素の研究と生産に特化したグローバル・ビジネス・ユニットを設立した。酵素は食品・飼料・技術産業で、天然加工助剤をはじめ幅広いアプリケーションの原料として利用できる。

BASF プラスチック添加剤パッケージが水中ケーブルに採用

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2019年11月14日

 BASFのプラスチック添加剤パッケージが、インドの海洋・船舶用ケーブルの大手メーカーSiechem Wires and Cablesが開発した水中ケーブルに採用された。

 このプラスチック添加剤パッケージは「Irganox(イルガノックス)」シリーズの酸化防止剤と「Chimassorb(キマソーブ)」、「Tinuvin(チヌビン)」シリーズの光安定剤から構成されたパッケージで、加工プロセスの安定化と、水中ケーブルの被覆の耐用年数の延長に重要な役割を果たす。

 近年の海底光ファイバーケーブルは、髪の毛のように細いガラス繊維と銅の電力導体、スチールワイヤー強度膜で構成され、これらはすべて高密度ポリエチレン(HDPE)で覆われている。

 Siechem社は、電子ビーム架橋プロセスにより、高性能ワイヤーとケーブルに使われるHDPE被覆を製造する。

 プラスチックを高エネルギー電子で架橋するプロセスは、熱性や化学的物性、遮断性、衝撃、その他の機械的特性を改善するために使用され、ワイヤーとケーブル事業を手掛ける顧客が求める用途に応えることができる。

 酸化防止剤と光安定剤を使用することで、ポリマーを最適化し、架橋効率をさらに高め、使用期間中の耐久性を向上させる。

 BASFのプラスチック添加剤を樹脂に添加することで、色の生成を抑え、ペレット化と押出成形の加工工程を安定させる。これにより、ポリマーは加工段階と耐用年数を通して保護される。

BASF 消泡剤の新製品発売、主な食品接触材料規則に準拠

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2019年11月5日

 BASFは新しい消泡剤「Foamaster(フォーマスター)WO2360」を発売した。新製品は接着剤に関する中国の食品接触材料規則に初めて準拠したほか、米国、ドイツ、スイスなど主要な食品接触材料規則に準拠している。

 この白色オイルベースの消泡剤は、持続性に優れた消泡効果を発揮し、アクリル系PSAシステム全般への適合性や、接着剤配合の保管中に高い耐油性を示す。紙コーティング剤に適用すると、優れた消泡性と素早い消泡時間により、高い消泡効率を発揮する。

 汎用性があり、食品と接触する紙コーティング剤処方、バリアコーティング、紙や板紙向けなど広く適用することが可能で。これにより顧客が複数の消泡剤を在庫する必要がなくなる。

BASFの1-9月期 売上高2%減、ケミカル事業などの不振響く

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2019年10月31日

 BASFグループの2019年12月期第3四半期の売上高は、前年同期比2%減の152億ユーロとなった。主な減収要因は、マテリアル事業セグメントとケミカル事業セグメントの価格低下によるもの。市場の不確実性や顧客が発注に慎重であることも影響した。

 主要な顧客市場からの需要は回復しなかったが、アグロソリューション事業セグメントとサーフェステクノロジー事業セグメントで販売量が増加したことから、販売量は前年同期と同水準を維持することができた。

 特別項目控除前営業利益は同24%減の11億ユーロ。これは、マテリアル事業セグメントとケミカル事業セグメントの大幅な不振によるもの。イソシアネートの価格は予想通り大幅に下落し、スチームクラッカーの定期修繕や、クラッカー製品の利益率の低下もあった。これらの要素が、両事業セグメントの利益に大きなマイナスの影響を及ぼした。

 ただ、川下分野の事業は好調で、インダストリアル・ソリューション事業セグメントは、固定費が減少したことなどから、特別項目控除前営業利益が大幅に増加。サーフェステクノロジー事業セグメントも、3つの事業本部すべてで特別項目控除前営業利益が大幅増となった。

 ニュートリション&ケア事業セグメントでは、ケア・ケミカルズ事業本部が大幅な増益となったことから、特別項目控除前営業利益が大幅に増加。アグロソリューション事業セグメントでは、売上高の増加により、特別項目控除前営業利益が大幅に増加した。

 営業利益(EBIT)は前年同期とほぼ同水準の14億ユーロ。前年同期には営業利益の特別項目がマイナス7500万ユーロだったが、今期はプラス2億5700万ユーロとなった。スイス・バーゼルにある同社のクリベック拠点の株式を売却したことによる大幅な売却益が、バイエルから買収した事業の再編措置による特別費用を十分に補う形となった。純利益は前年同期の12億ユーロに対し、9億1100万ユーロだった。

BASF アントワープ拠点でエチレンオキサイド増強

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2019年10月30日

 BASFはベルギーのアントワープにあるフェアブント拠点(統合生産拠点)で、エチレンオキサイドと誘導体の生産能力を拡大する。投資予定額は600億円以上。今回の投資により、生産能力は年間約40万t増加する。2022年から順次稼働を開始する予定だ。

 今回の増強には、精製エチレンオキサイドの生産能力を含む、同社として2番目の世界規模となるエチレンオキサイドラインへの投資も含まれる。このプロジェクトの一環として、一部のエチレンオキサイド誘導体プラントへの追加投資も行われ、エチレンオキサイドの増強に合わせて進められる。

 これらの誘導体には、非イオン型界面活性剤、自動車用グリコールエーテル類、さまざまな川下のアルコキシレート製品が含まれる。同社パフォーマンス・ケミカルズ事業本部のアヌップ・コタリ・プレジデントによると「メチルトリグリコールの生産能力の増強により、欧州やアジアで高まる高性能ブレーキ液への需要を支えることができる」という。

 同社は現在、欧州ではアントワープとルートヴィッヒスハーフェンで、合わせて年間84万5000tの生産能力をもつエチレンオキサイド工場を操業しており、欧州地域で最大のエチレンオキサイド誘導体の製造者である。

 主なエチレンオキサイドの誘導体としては、非イオン性界面活性剤、エタノールアミン、グリコールエーテル類、ポリエーテルポリオール、ホームケア・パーソナルケア、産業用途、自動車などの幅広い産業で使用される、その他特殊製品がある。

BASF 北米エンジン冷却市場に来年1月から参入

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2019年10月29日

 BASFは来年1月から、プレミアムブランド「Glysantin(グリサンチン)」で、北米のエンジン冷却液市場に参入する。同社のシンシナティの生産拠点で設備投資を進めており、これにより北米が欧州・アジア・南米とともに、グローバル生産拠点の1つに加わることになる。

 シンシナティ工場は農業用、トランスミッションオイル用、ギア・車軸用潤滑油、航空用潤滑油の各市場向けに、エステルと合成潤滑油を製造している。同社が提供する豊富な技術的専門知識と生産ノウハウは、北米に冷却液の生産拠点を置くことで強化され、原材料や主要顧客へのアクセスが容易になる。

 「グリサンチン」のプレミアムエンジン冷却液と不凍液製品は1929年以来、金属腐食・オーバーヒート・霜からエンジンを保護し、年間を通じてエンジンの冷却システムを確実・円滑に機能させることに貢献している。

 「グリサンチン」製品は自動車メーカーから最も多くの認証を得ているため、同社は主にOEM工場充填向けの供給に注力しており、北米の充填サービスとアフターマーケット向けに、北米第一の不凍液・エンジン冷却液供給会社であるオールド・ワールド・インダストリーズ社(OWI)と提携する。

 OWIはBASFの「グリサンチン」製品を「PEAK」をはじめとするさまざまなブランドで提供し、その広範な流通ネットワークを活用してディーラーや小売店に供給する。

BASF 日本で栄養成分などの健康ソリューションを提案

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2019年10月25日

 BASFは世界で初めて人工知能(AI)によって同定された栄養成分「PeptAId(ペプタイド)」など、スポーツや健康的なライフスタイルに関心を寄せる日本の消費者に健康ソリューションを提案している。

 BASFのポートフォリオに新たに加わった 「ペプタイド」は、運動に関連する炎症マーカーの調整を助ける新世代の植物由来ペプチド。アイルランドを拠点とするバイオテクノロジー企業Nuritasとの協働事業により開発され、運動後のリカバリーをサポートする。

 数々の大きなスポーツイベントが日本で開催されるのを受け、日本の消費者の間では、スポーツ活動や健康への関心が高まっている。また、昨年以降、日本はアジア太平洋地域でスポーツニュートリションの最大市場となっており、関連製品は2桁の成長を続けている。過去15年間にフィットネスセンターへの加入率は約30%増加した。

 激しい運動による課題の1つに、炎症反応を引き起こす筋肉のストレスや損傷が挙げられる。これは筋肉痛や疲労感として身体活動を制限することがあり、アクティブな消費者にとっては懸念事項だ。

 「ペプタイド」は炎症マーカーの分泌をコントロールすることによって、損傷に対する身体の反応を調整し、炎症を抑え、回復を促進する。玄米から作られ、マイルドな植物性タンパク質の風味は、様々なアプリケーションに応用可能だ。

BASF 自動車・工業用コーテイング向けに高性能分散剤を発売

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2019年10月24日

 BASFは自動車・工業用コーティング向けに、高性能分散剤「Efka(エフカ)」シリーズの「PX4780」「PX4785」「PX4787」をグローバルで発売した。

 分散剤は着色コーティング処方の重要な要素で、一般的には分散効率・発色・透明性・光沢を改善する。一方で、塗膜層の物性を損なうおそれもある。

 新製品は高度なポリマー技術をベースに、この機能を変えるように特別に設計した。これらの高性能分散剤は、主剤の樹脂マトリックスと架橋することにより、優れた分散効率を発揮し、耐溶剤性や硬度などの塗膜特性を大幅に向上させる。また、カーボンブラックでの光沢の向上や、優れた漆黒性などにも寄与する。

BASF 農作物向けに土壌生分解性プラスチックを提案

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2019年10月16日

 「エコバイオ」、生育向上と環境負荷低減に貢献

 BASFは農作物の生育向上と環境負荷低減のため、認証済みのマルチフィルム用土壌生分解性プラスチック「エコバイオM2351」を提案している。同製品は生分解性コポリエステルのポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)「エコフレックス」と、再生可能原料から製造した他の生分解性ポリマーで構成されている。

 同製品で作ったマルチフィルムは、土壌中の天然に存在する微生物が、代謝可能な食物としてフィルムの構造を認識するため、収穫後に土壌に鋤き込むことができる。また、「エコバイオ」で作ったマルチフィルムは、無マルチ農法と比較して、トマト収穫量を15~50%増加させ、水の消費量を減らし、除草剤を減らしながら雑草を抑制することもできる。

 さらに、真菌病(菌類病)に対する作物の抵抗性が高く、収穫時期が早まるほか、品質が安定し、トマトの糖水比を示すBrix値(糖度)が高くなることも分かっている。

 トマトは加工食品業界向けに世界で最も多く栽培されている野菜である。多くの国の生産者が、ポリエチレン(PE)製のマルチフィルムを使い、雑草・土壌温度・水使用を制御することで、トマトの収穫量を増やしている。

 しかし、PEマルチフィルムの残留物は、微生物によって生分解されず土壌に蓄積される。このため、PEマルチフィルムを収穫後に土壌から除去する必要があるが、薄いフィルムを完全に回収することは通常不可能だ。

 「エコバイオM2351」で作ったフィルムは、手間や労力をかけて回収して産廃処理するのではなく、収穫後に土壌に鋤き込むことができるため、労働力とコスト削減にもつながる。

 「エコバイオM2351」は、EU域内の統一規格「EN規格」に則り、土壌生分解性であると認証された最初の素材である。同製品で作ったマルチフィルムの使用は、多くの国の有機農作物栽培でも認められている。

 国連食糧農業機関によると、2050年に90億人に増加すると予想される世界の人口を養うには、世界の農業生産を70%成長させる必要がある。BASFの担当者は「生分解性マルチフィルムは、土壌を汚染することなく、この課題に貢献できる」と述べている。

 

BASF NPGの生産能力を計21万5000tに拡大 

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2019年10月8日

 BASFはこのほど、ドイツ・ルートヴィッヒスハーフェンのフェアブント(統合生産拠点)にあるネオペンチルグリコール(NPG)工場の生産能力を年間1万t拡大すると発表した。

 これにより、米国(フリーポート)、中国(南京、吉林)の施設と合わせ、合計21万5000tのNPGの生産能力を保有することになる。同社は現在南京でもNPGの生産能力の拡大を進めており、2020年以降、全世界での生産能力はさらに4万t増加する予定だ。

 同社は、欧州、アジア、北米に生産拠点を有する世界有数のNPG製造会社。NPGはその高い安定性および熱安定性から、多くの用途、特に様々な塗料やプラスチック用ポリエステルやアルキド樹脂の製造において評価されている。粉体塗料は、特に建設産業や、家電製品の塗料において成功を収めている。