富士フイルムなど 新たながん免疫療法の共同研究を開始

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2019年4月3日

 富士フイルムと国立がん研究センターはこのほど、新たながん免疫療法の共同研究を開始したと発表した。今回の共同研究では、ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)技術の1つであるリポソーム製剤を用いて、新たながん免疫療法の創出を目指す。

 リポソームは、細胞膜や生体膜の構成成分である有機物のリン脂質をカプセル状にした微粒子で、富士フイルム独自の設計により、がん組織の未成熟な血管壁の隙間を透過し、薬剤をがん組織に集積させ、副作用を抑制して薬効を高めることができると期待されている。

 がん免疫療法は、生体のもつ免疫機能を高めてがん細胞を排除する治療法。延命効果や症状の緩和が期待できることから、外科療法、化学療法、放射線療法に続く治療法として注目度がますます高まっている。現在、免疫チェックポイント阻害剤を用いたがん免疫療法が行われているが、一部の患者でしか効果がみられないといった課題がある。

 両者は今回の共同研究を通し、富士フイルムが研究開発を進めている既存抗がん剤を内包したリポソーム製剤「FF-10832」「FF-10850」と免疫チェックポイント阻害剤との併用投与でみられた生存期間延長のメカニズムを解明する。

 具体的には、富士フイルムのリポソーム製剤に関する高度な技術・ノウハウと、国立がん研究センターがもつ、最先端の免疫細胞の解析技術、動物モデルや臨床検体を用いた研究のノウハウなどを組み合わせて、リポソーム製剤が免疫細胞に及ぼす作用を明らかにし、生存期間延長との関係性を解明していく。

 さらに解明内容をもとに、がん免疫療法に必要なリポソーム製剤の要件を見いだし、がんに対する免疫応答を制御する細胞を標的とした新たながん免疫療法を開発し、臨床展開することを目指す。