DIC ハイブリッド型無機系抗ウイルス・抗菌剤を開発

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2021年6月7日

 DICはこのほど、ハイブリッド型の無機系抗ウイルス・抗菌剤「ウィルミッシュ」を開発し販売を開始したと発表した。同製品は、高い抗ウイルス・抗菌性を発揮する金属化合物と特殊な光触媒から構成されるハイブリッド型。同社は今後、住宅内装材や繊維、産業資材などの広範な用途での展開に向けて製品ラインアップを拡充し、日本、中国、東南アジア地域への販売を視野に入れ、2025年までに売上高15億円を目指す方針だ。

ハイブリッド型抗ウイルス・抗菌剤の⽤途展開
ハイブリッド型抗ウイルス・抗菌剤の⽤途展開

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況下では、消費者の衛生面への関心が高まり、医療施設や公共施設だけでなく、日常生活のあらゆる場面で抗ウイルス・抗菌製品の使用を求める声が多くなっている。抗ウイルス・抗菌剤として有機系製品があるが、皮膚刺激性などの安全性や耐久性の点で近年、無機系製品が着目されている。しかしながら、抗ウイルス性や耐久性、安全性の全ての点で高い機能をもつ製品は多くない。

 今回、同社が開発した「ウィルミッシュ」は、一般的な細菌やインフルエンザ型ウイルスはもちろん、従来の製品では効き難いとされるノロ型ウイルスにも有効。光のない暗所では、金属化合物の作用で高い抗ウイルス性を発現し、光のある明所では、屋内の弱い光でも反応する(可視光応答型)光触媒の作用でさらに高い抗ウイルス性を発揮するとともに、皮脂などの特定の有機物汚れを目立ちにくくするセルフクリーニング機能が期待できる。加えて、耐熱性や耐水性などの耐久試験後も、高い抗ウイルス性を確認しており、安全性試験でも良好なデータが得られている。

 同社は今後の幅広い用途展開を視野に、多方面の製品への応用技術についても特許を出願中。現在、住宅内装材や繊維、産業資材などの広範な分野で同製品の実証試験が進んでおり、すでに内装材分野で一部採用されている。

 今後もDICグループ内に培ってきた多種多様な技術を基盤に、性能向上とアプリケーション開発を進め、人々の健康で安心・安全な暮らしの実現と生活空間の快適化に貢献していく。