【カーボンニュートラル特集】経済産業省

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2021年11月12日

製造産業局素材産業課長 吉村 一元氏

重要分野の実行計画を策定、基金造成し革新技術の開発支援

吉村 一元課長

 ━2050のカーボンニュートラル(CN)に向け、「グリーン成長戦略」を策定されました。どのような取り組みになりますか。

 日本は、2020年10月に2050年CNを目指すことを宣言したが、並大抵の努力では実現できない。そのためには、エネルギー・産業部門の構造転換、大胆な投資によるイノベーションの創出といった取り組みを大きく加速することが必要になる。これを踏まえ、経済産業省が中心となり、関係省庁と連携して2020年12月にグリーン成長戦略を策定し、2021年6月にはさらなる具体化のため、これを改定した。

 グリーン成長戦略では、産業政策・エネルギー政策の両面から、成長が期待される14の重要分野について実行計画を策定し、国として高い目標を掲げ、可能な限り、具体的な見通しを示している。特に「カーボンリサイクル・マテリアル産業」分野では、CN社会を実現するためのキーテクノロジーであるカーボンリサイクル技術の開発と社会実装を進め、CO2を資源として有効活用することが求められる。

 また、社会の基盤となる製品の材料を供給するマテリアル産業は、

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【カーボンニュートラル特集】三菱ケミカル

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2021年11月12日

サーキュラーエコノミー推進本部長 馬渡 謙一郎氏

GHG削減目標は実効性重視、社内横断的取り組みを推進

  三菱ケミカルホールディングス(MCHC)は、人、社会そして地球の心地よさが続く「KAITEKI」の実現を目指している。2050年のあるべき姿を掲げ、そこからバックキャストし策定した「KAITEKI VISION 30(KV30)」を昨年2月に発表。さらにKV30に基づいた新中計「APTSIS25」を今年度スタートさせ、目指す姿の1つとして最適化された循環型社会の構築を掲げている。

 先日、2050年のカーボンニュートラル(CN)実現に向けた、MCHCグループの方針、および2030年度のGHG排出削減目標を表明。それに合わせるかたちで、中核事業会社である三菱ケミカル(MCC)は、それらを実現するための方策を打ち出している。MCCで、社内横断的にサーキュラーエコノミー(CE)の構築に取り組む、CE推進本部の馬渡謙一郎本部長に話を聞いた。

馬渡 謙一郎本部長

 ━CNを宣言した経緯をお聞かせください。

 昨年10月に日本としてCNの目標設定がされ、今年4月には2030年度のGHG排出削減目標が引き上げられた。こうした中、MCHCグループとして、どういった目標設定をすべきかについて経営陣が議論を重ねてきた結果、

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【カーボンニュートラル特集】三井化学

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2021年11月12日

理事・ESG推進室長 右田 健氏

サーキュラー型ビジネスモデルを確立、チェーン全体で進める

右田 健理事・ESG推進室長

  ━カーボンニュートラル(CN)の基本戦略をお聞かせください。

 我々の2050年に向けたCN戦略は、大きく分けると2本柱で考えている。1つは自社のGHG(温室効果ガス)排出量を削減するスコープ1、2の取り組みになる。例えば、当社の2013年度の排出量は615万tと非常に多い。原燃料の低炭素化や製造設備などの省エネ化を図り、再生可能エネルギーを活用していくことで、生産拠点を中心に、2030年度には対2013年度比で40%削減していく。

 さらに、これらの施策に加え、新技術の導入や事業ポートフォリオの転換を行い、2050年度には80%以上の削減率を目指していく。残りの20%程度については、他社やアカデミア、自治体などと協力しながら、CCUS(CO2回収・利用・貯留)といったカーボンネガティブ施策を進めていく。

 もう1つは、

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【カーボンニュートラル特集】BASFジャパン

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2021年11月12日

経営推進本部 入江 剛氏

省エネ・再エネ・リサイクルで、資源消費型成長から脱却

  世界最大の化学メーカーであるBASFは、サステナブル経営でも先行している。1994年にサステナビリティへのコミットを発表し、世界の240を超える生産サイトでCO2の排出削減を進め、2018年には45%減(1990年比)を達成。さらに、2050年のネット・ゼロ、2030年の25%削減目標(2018年比)を表明した。将来のグリーン社会を見据え、風力発電への先行投資やスチームクラッカーの電化など、革新的な取り組みを進めている。カーボンニュートラル(CN)に対する方針や取り組み、また日本の課題などについて、事業推進室兼サステナビリティ推進室の入江剛シニアマネジャーに話を聞いた。

入江 剛シニアマネジャー

 ━BASFの経営理念とサステナビリティについて。

 当社は、サステナビリティが経営の根幹にあり、企業目的に「持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくる」を掲げて事業を展開している。化学こそが、

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【カーボンニュートラル特集】出光興産

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2021年11月12日

技術・CNX戦略部 大沼安志氏 /片桐絢也氏

炭素循環社会に向けて、事業ポートフォリオを大幅転換

 脱炭素社会・循環型経済へのシフトが進む中、石油会社はどのように対応して生き残りを図っていくのか、またエネルギーや原料の安定供給の責任をどう果たしていくのか、が問われている。

 出光興産は、カーボンニュートラル(CN)を実現させるため、今年5月に「CNXセンター」構想を発表。製油所・事業所を低炭素エネルギーの供給拠点へと進化させていく方針を示した。その背景と全体像、各種施策や課題、提言について、今年7月に発足したCNX戦略室の資源循環事業推進グループリーダー大沼安志氏と、水素・アンモニア事業推進グループリーダー片桐絢也氏に話を聞いた。

 ━CNXセンター構想を打ち出した背景について。

大沼 安志グループリーダー

 大沼 当社は、2050年のエネルギー事業の環境について、4つのシナリオを描いていたが、コロナ禍により世界の脱炭素化が加速したことで、化石燃料の需要の見通しを「劇的な需要減少」に引き下げた。その前提の下、現在、主要な収益源である化石燃料・基礎化学品から低炭素・資源循環エネルギー、先進マテリアル等の高付加価値製品への収益構造の転換を打ち出し、そのための戦略づくりに取り組んでいる。特に、CO2排出削減のカギとなる製油所については、検討を重ねた結果、「CNX(カーボンニュートラル・トランスフォーメンション)センター」へと進化させる構想を掲げた。

 これまでコンビナートでは原油から燃料油と基礎化学品を製造していたが、既存のアセットを活用しながら、原料を合成エタノールや廃食油などの低炭素原料へ置き換え、水素やアンモニアを発電燃料にしていく絵を描いている。

 それにとどまらず、廃プラを油化して化学品原料にすることや、地域の焼却センターから熱源を誘導することも視野に入れ、さらにサーキュラービジネスとして、カルシムを多く含む産廃物とCO2を炭酸塩化し高機能材料の原料として活用することや、太陽光パネルやLi電池などの先端材料のリサイクルも手掛けていく。

 このように、製油所の敷地とアセット、ノウハウを総合的に最大限活用し、低炭素のエネルギー・素材を供給する事業モデルに変えることが「CNXセンター」のコンセプトだ。

 ━これらの取り組みは、全製油所に導入していきますか。

片桐 絢也グループリーダー

 片桐 すべての取り組みを、1カ所に集約したり7カ所すべてに導入するということは考えていない。それぞれの製油所の特性を生かし、その地域に適した取り組みを進めていくことになる。

 例えば、今年6月に発表したが、アンモニアでは徳山事業所の既存設備を活用したサプライチェーン構築の共同検討をIHIと開始した。これは同地域にアンモニア需要が見込めることが背景にある。他のバイオマス、水素、合成燃料などについても、地域によって取り組み方に違いがあると見ている。

 ━新たに発足した技術・CNX戦略部の役割について。

 大沼 技術・CNX戦略部(CNX戦略室)は、CNXセンターを実現していくことがミッションになる。これまで高機能材等に対する技術立脚型の事業企画やオープンイノベーションに取り組んでいた技術戦略室に、

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【カーボンニュートラル特集】マイクロ波化学

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2021年11月12日

代表取締役社長 吉野 巌氏

マイクロ波により、化学産業の製造プロセスに革新を起こす

 電子レンジで使われているマイクロ波(電磁波)は、物質を直接・瞬時に加熱できる、極めて高効率なエネルギー伝達手段。近年では、地球温暖化問題を契機に環境意識が高まっており、CO2削減に貢献できるマイクロ波技術に注目が集まっている。

 2007年に設立されたマイクロ波化学は、化学産業にイノベーションを起こすことをミッションに掲げている。化学産業では外部から加熱してモノを作るプロセスが100年以上変わらずに使われており、マイクロ波技術に転換することでエネルギーの効率化、省エネ、環境負荷の低減が期待できる。カーボンニュートラル(CN)がフォローの風となり大きなビジネスチャンスを迎えている中、吉野巌社長に、これまでの取り組みや今後の展望などを聞いた。

吉野 巌社長

 ━会社の概要をお聞かせください。

 当社は、マイクロ波をキーワードに研究開発を行い、技術プラットフォームを確立した。それをベースに反応系と装置をデザインし、マイクロ波プロセスとして提供している。

 技術の基盤は、物理と化学と化学工学だが、ラボ実験から工場立ち上げまでカバーするため、当社には多様な人材が揃っている。社員約60名のうち、技術系は物理と化学領域のサイエンティストと、エンジニアが半分ずつ在籍している。

 技術の導入・実施にはエンジニアリングが重要であるが、シミュレーションの専門家も必要となる。足元では、多様な案件に適用することで、汎用化に向けた技術プラットフォームのさらなる強化に取り組んでいる段階だ。また、科学的知見も重要となるため、

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【カーボンニュートラル特集】リファインバース

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2021年11月12日

常務取締役 加志村 竜彦氏

廃棄処理困難物を技術力で再生、廃プラ回収でCRにも貢献

 カーボンニュートラル実現のためには、原燃料のグリーン化とともに、循環経済(サーキュラーエコノミー)の構築がカギを握る。プラスチックをリサイクルしていくためには、廃プラを分別・回収する工程の重要性が増しており、動脈産業と静脈産業が一体となってバリューチェーンを構築する必要がある。

 産廃業とリサイクル業の両方の顔を持つリファインバースは、タイルカーペットやナイロン漁網のリサイクルを手掛けており、豊富なノウハウや高い技術力をもつ。昨年には三菱ケミカルが出資し、今年8月にはケミカルリサイクルでの協業を発表するなど注目を集めている。同社でリサイクルの事業開発に取り組む、加志村竜彦常務に話を聞いた。

加志村 竜彦常務取締役

 ━リファインバースの概要をお聞かせください。

 当社の前身は産業廃棄物処理業であり、主にオフィスなどの内装関係を強い分野とし、廃棄物の回収・処理を行ってきた。ただ、オフィスから大量に発生するプラスチックや繊維系といった軟質系の産廃物は、破砕機に絡まるため、業界的には処理困難物として扱われる。

 こうした中、当社は、埋め立て処分するしか方法がなかったタイルカーペットに注目し、

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【カーボンニュートラル特集】アールプラスジャパン

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2021年11月12日

代表取締役社長  横井 恒彦氏

バリューチェーン一体で廃プラCR支援、27年商業化目指す

 カーボンニュートラルを実現する上で、リサイクルの技術革新は欠かせない。使用済みプラスチック再資源化事業の商業化を目的に、2020年4月、サントリーMONOZUKURIエキスパートが中心となり、12社共同出資で「アールプラスジャパン(RPJ)」が設立された。米国バイオ化学ベンチャー・アネロテック社が進める、廃プラを原料に芳香族とオレフィンを生産するケミカルリサイクル(CR)技術の開発を全面的に支援し、2027年の日本での社会実装を目指している。

 現在、参画企業は32社にまで増え、川上の化学メーカーから容器・包装会社、ブランドオーナー、小売り、リサイクル会社とバリューチェーンを構成する各社が名を連ねる。RPJ社長は、サントリーMONOZUKURIエキスパート執行役員の横井氏が務める。会社設立の経緯や技術の強み、今後の展開などを聞いた。

横井 恒彦社長

 ━RPJ設立経緯についてお聞かせください。

 発端は2011年にまで遡る。当時サントリーグループ(以下、サントリー)は、ペットボトルを石油由来ではなく、別の素材でできる技術はないかと様々な可能性を調査していた。トウモロコシやサトウキビを原料に、液相での化学変換法でバイオペットボトルを作る技術は知られていたが、サントリーとしては、環境負荷への配慮から

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