NEDO CO2の有効利用に向け6テーマを採択

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2021年11月22日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、CO2を資源として捉え化学品や燃料、鉱物へ有効利用するカーボンリサイクル技術について新たに6件の技術開発テーマを採択した。実施期間は2025年度までの5年間で、事業総額は約130億円。

 カーボンリサイクル技術は、火力発電などで排出されるCO2を分離・回収し有効利用することで、大気中への排出を抑制するもので、今年6月策定の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、キーテクノロジーに位置づけられている。カーボンニュートラル社会の実現に向け、技術的選択肢の増加・強化を加速する。

 昨年度採択の7テーマに、新たに化学品分野2件、燃料分野1件、鉱物分野3件の計6件を追加。化学品分野の「CO2直接合成反応による低級オレフィン製造(IHI)」と「メタノール合成の最適システム(JFEスチールなど)」、燃料分野の「大規模メタネーションによるメタン製造(INPEX)」、鉱物分野の「製鋼スラグを活用したCO2固定(神戸製鋼所など)」、「製鋼スラグの高速多量炭酸化よる革新的CO2固定(JFEスチール)」と「CO2の化学的分解による炭素材料製造(三菱マテリアル)」に関する技術開発を推進する。

 カーボンリサイクル技術の関連産業への利用可能性を拡大しCO2の大気中への排出量をより多く削減することで、カーボンニュートラル社会の実現を目指す。

NEDO 炭素リサイクル技術の実証研究拠点は大崎上島

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2020年9月3日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、CO2を資源として有効利用するカーボンリサイクル技術の早期実用化に向け、様々な研究や技術開発に集中・横断的に取り組む実証研究拠点を広島県の大崎上島(大崎上島町)に整備すると発表した。

 また、同地にある中国電力・大崎発電所内の研究開発用施設の整備とカーボンリサイクル技術の研究を進めるために、テーマ5件を採択した。事業期間は今年度からの5年間、事業総額は約60億円。

 昨年経済産業省が示した「カーボンリサイクル3Cイニシアティブ」と今年策定の「革新的環境イノベーション戦略」で、石炭ガス化複合発電(IGCC:ガス・蒸気タービン発電)、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC:燃料電池とガス・蒸気タービン発電)、発生するCO2の分離・回収の実証事業を進める大崎上島をカーボンリサイクル技術の実証研究拠点として整備するとされた。

 これを踏まえ、拠点化・技術開発事業に着手。実証研究拠点として必要な設備・施設の整備と運営、研究活動の支援、技術開発の総括的評価をする「CO2有効利用拠点化推進事業」と、そこでの技術開発とそれらの経済性や有効性を評価する「研究拠点におけるCO2有効利用技術開発・実証事業」からなる。

 「拠点化推進事業」では、その拠点化推進を大崎クールジェンに、整備・支援・最適化検討と実施は石炭エネルギーセンターに委託の予定。「技術開発・実証事業」では、市場規模の大きい打設や鉄筋に適用できるCO2有効利用コンクリートの研究開発(中国電力、鹿島建設、三菱商事)、将来需要が見込めるCO2を利用した化成品製造プロセスの構築(川崎重工業、大阪大学)と、菌類によるCO2固定化技術のシステム構築(広島大学、中国電力)、に取り組む。

 世界最先端の技術や実用化の近い技術を一元的に研究開発することで、カーボンリサイクル技術の確立を通じたCO2削減に貢献する。

 

NEDO CO2固定化・有効利用技術、5テーマに着手

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2020年8月20日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、CO2を資源として捉え、炭酸塩やコンクリート製品・コンクリート構造物へ固定化し有効利用する「カーボンリサイクル技術」の技術開発5テーマに着手すると発表した。

 火力発電などから排出されるCO2の削減は気候変動対策に重要であり、CO2を資源とし回収・有効利用する「カーボンリサイクル技術」の開発が求められている。炭酸塩やコンクリート製品・コンクリート構造物へのCO2固定化は、使用量が多いためCO2の固定化ポテンシャルが高く、固定化後の生成物は安定な上、燃料や化学品へのCO2利用に必要な水素が不要なことから、カーボンリサイクル技術として期待される。

 こうした中NEDOは、CO2の炭酸塩やコンクリート類への固定化・有効利用の技術開発と、プロセス全体のCO2削減効果と経済性評価を行うため、5カ年事業で次の技術開発テーマに着手する。

 ①「化石燃料排ガスのCO2を微細ミスト技術により回収、CO2を原料とする炭酸塩生成技術の研究開発」(双日、トクヤマ、ナノミストテクノロジーズ)

 ②「海水および廃かん水を用いた有価物併産CO2固定化技術の研究開発」(早稲田大学、ササクラ、日揮グローバル)

 ③「マイクロ波によるCO2吸収焼結体の研究開発」(中国電力、広島大学、中国高圧コンクリート工業)

 ④「廃コンクリートなど産業廃棄物中のカルシウム等を用いた加速炭酸塩化プロセスの研究開発」(出光興産、宇部興産、日揮グローバル、日揮、成蹊大学、東北大学)

 ⑤「セメント系廃材を活用したCO2固定プロセス及び副産物の建設分野への利用技術の研究」(竹中工務店)

 事業総額は約40億円。早期の社会実装を目指す。