三菱ケミカル 有機と無機のハイブリッド技術基盤を拡充

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2020年5月12日

 三菱ケミカルはこのほど、ケイ素化合物・金属化合物メーカーGelest(米国・ペンシルバニア州)を買収すると発表した。今秋をめどに、米国子会社のMitsubishi Chemical America(MCA)を通じて、Gelestの支配権を持つGelest Intermediate Holdingsの全株式をNew Mountain Capitalより取得する予定。

 Gelestは、コンタクトレンズ原料や抗菌剤などの有機ケイ素材料、特殊アクリレート、半導体プリカーサーなどに用いられる金属化合物、樹脂添加剤用途の有機化合物およびそれらを組み合わせた複合化合物の領域について、高度な分子設計と合成技術を持つ。ヘルスケア、エレクトロニクスといった幅広い市場向けに事業展開しており、顧客の要望に対して他社と差異化された的確なソリューションを提供することを得意としている。

 MCAのYurich社長は「Gelestの高度な研究開発力、卓越した製品化力と顧客から厚い信頼に、三菱ケミカルグループの経営資源や顧客ネットワークを活用することで、Gelestの技術力の市場展開を加速し、顧客に新たなソリューションや価値を提供できる」と述べている。

 三菱ケミカルが蓄積してきた主として炭素化学分野の高度な技術と、Gelestの広範囲なケイ素化学・金属化合物などの研究開発力、製品化力を組み合わせることで、両社の素材の設計力、提供可能なソリューションの幅を拡充する。加えて、Gelestが培った技術力と三菱ケミカルの経営資源や顧客ネットワークを組み合わせることにより、デジタル社会基盤の発展や医療進化など将来の社会課題を起点とする市場ニーズに対して、これまで以上に貢献していく。

 三菱ケミカルは、今後もテクノロジープラットフォームの強化を図り、成長市場での積極的な研究開発と事業展開をすることにより、一層の成長を目指す考えだ。