住友化学 米国バイオベンチャーに出資、合成生物学を活用

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2020年4月3日

 住友化学は2日、米国のバイオベンチャー企業であるコナジェン社に3000万ドルを出資したと発表した。今回の出資により戦略的業務提携を一層推進し、合成生物学を活用した画期的な高機能製品や革新的プロセスの開発を目指す。

 コナジェン社は、合成生物学を活用して微生物の設計と培養から発酵プロセスの工業化までを一貫して行うことに強みを持つ研究開発型のバイオテクノロジー企業。機能性食品素材、ヘルスケア、香料など幅広い分野を対象とした研究開発に加え、中国や欧州に量産拠点を確保しており、多くの企業との協業に基づき事業を展開している。

 住友化学は、2018年からコナジェン社との間で既存化学品のバイオ合成に関する共同研究を実施。その成果を踏まえて昨年にはコナジェン社が中核をなす企業グループの1社であるスィージェン社に出資するなど、協力関係を強化してきた。

 近年、バイオテクノロジーとデジタルテクノロジーの融合による技術の急速な進歩により、合成生物学の商業化が進んでいる。そうした中、住友化学は、合成生物学と化学技術を融合させることにより、化学合成だけでは製造が困難な高機能製品や、高効率かつクリーンで省エネルギーなプロセスを開発し、新事業の創出を加速させることが可能になると考えている。

 一方、コナジェン社も、機能性食品素材や香料などに続く新分野での事業化に向け、ダウンストリームプロセスや安全性評価などの共通的な基盤技術や、アプリケーションノウハウを持つ化学企業との戦略的協業を望んでいることから、今回の出資に至った。

 今後、共同でテーマ探索を行なうとともに技術者を相互に派遣して当社の技術基盤を強化し、革新的な技術やプロセス開発につなげていく。

住友化学 次世代事業の共同研究で米・スタートアップ企業へ出資

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2019年10月16日

 住友化学は15日、コナジェン社を中核とする米国のスタートアップ企業グループの1社で、機能性食品素材である次世代ステビア甘味料を事業化したスィージェン社に1000万ドルを出資したと発表した。

 今回の出資により、両社をはじめとする企業グループとの戦略的協業関係を強化し、合成生物学と住友化学の技術とを融合させた革新的技術を確立することで「環境負荷低減」や「ヘルスケア」といった重点分野での次世代事業の創出を加速させる。

 住友化学は、気候変動や環境保全問題といった重要課題を解決するため、化石資源への依存度が低いバイオ合成に着目。合成生物学に強みをもつスタートアップとの協業をグローバルに進めることにより、コスト競争力のある新プロセスの開発や、化学合成では困難とされた高機能素材の開発を目指している。

 その一環として、数年前より、微生物の設計と培養から発酵プロセスの工業化までを一貫して行うことができるコナジェン社との間で、既存化学品のバイオ合成に関する共同研究を開始。新しい高機能素材の開発についても協議を重ねてきた経緯があり、今回の出資を決定した。

 スィージェン社は、コナジェン社からの技術ライセンスに基づき、次世代ステビア甘味料を事業化。この製品の特長は、自然物由来の原料を用いて生産され、Non‐GMO、ノンカロリー、かつ従来型のステビア甘味料と比較して砂糖により近いおいしさであることで、飲料・食品業界からも注目されている。

 一方、生活習慣病や肥満の予防対策として世界保健機関(WHO)が清涼飲料への課税を呼びかけたことから、欧州や東南アジアなどの国々で砂糖税が導入されるなど、低カロリーな甘味料の使用を促す動きが世界的に拡大。こうした背景から、次世代甘味料の急激な需要拡大が見込まれるため、スィージェン社は、新工場の建設と開発・販売体制の拡充を進めている。

 住友化学は、事業の本格的な立ち上げ期を迎えたスィージェン社への出資を契機とし、コナジェン社およびスィージェン社との協業を深化、拡大させる。将来的には、スィージェン社の工場を実証実験の場として活用することにより、ダウンストリームプロセス(精製、廃液処理)に関する革新的技術開発や、それを適用して新設する自社プラントでの高機能素材などの生産を目指す考えだ。