SEMI 今年のウェーハ販売額、2つのシナリオを示唆

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2020年4月24日

 SEMIはこのほど、新たな四半期市場データについて、2020年下半期のシリコンウェーハ市場の2つのシナリオを提示した。

 1つは半導体業界への新型コロナウイルスの影響を巡る不確実性が続くことで、販売額が減少するという悲観的シナリオ。もう1つは半導体売上の回復の勢いに乗って上昇するという楽観的シナリオだ。現時点ではいずれの可能性も否定していない。

 SEMIは、世界各国で新型コロナとの闘いが続く中、今年下半期にウェーハ販売額が減少し、2021年の価格交渉にも影響する可能性があるという悲観的シナリオに沿って予測を立てている。しかし、新型コロナが引き起こした不確実性がウェーハ需要の減少につながるのか、それともその甚大な影響は数カ月に限定されるのかという疑問は残る。リスクを分散し、今年第2四半期の販売額への影響を和らげる手段として、半導体メーカーはウェーハの発注を増やし、今後の需要に対応するために安全在庫の確保に努めると見られる。

 新型コロナの蔓延によって半導体需要が今年下半期に大きく落ち込む場合、ウェーハ出荷面積は第2四半期まで増加し続けるものの、第3四半期には減少に転じる可能性がある。この悲観的シナリオでは、今年の300㎜ウェーハ出荷面積が第2四半期に大幅に増加したとしても、通年では横バイまたは僅かな減少となり、200㎜と150㎜の出荷面積はそれぞれ5%と13%減少すると考えられる。

 一方、今年後半に業界の力強い回復が始まれば、第2四半期の在庫増加がウェーハ出荷面積の増加にもつながる。留保需要が半導体業界の回復を後押しする期待の高まりにより、この上昇傾向は年末まで続く可能性がある。

 今年に入って新型コロナが蔓延し、ウェーハ出荷面積の総計は2018年10月をピークに減少が続く。昨年の総出荷面積は前年比6.9%の減少となり、販売額も減少したが、在庫水準の正常化、メモリー市場の改善、データセンター市場や5G市場の成長への期待の高まりとともに、今年は楽観的な予測がされていた。