帝人 工学院大学のソーラーカープロジェクトを支援

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2019年7月10日

 帝人グループは10月13~20日にオーストラリアで開催される、世界最大級のソーラーカー大会「ワールド・ソーラー・チャレンジ」に参加する工学院大学に、車体の主要部材向けとして自社素材を提供する。加えて、それらを使用したCFRP製の車体の設計から製作までの支援も行う。

 同社グループは、2013年大会で工学院大学のソーラーカープロジェクトに参加して以来、今回まで4大会連続で同チームを支援している。前回大会まではサポート企業の1つとして、車体向けの軽量・高強度素材、チームメンバーの快適性向上につながる素材・製品を幅広く提供してきた。

 しかし、今大会はそれに加えて、工学院大学を次世代の革新的モビリティ開発を目指すパートナーと位置づけ、ソーラーパネルなどソーラーカーに搭載される部品関連の技術を得ることも目的に、開発支援を行うことにした。

 今回提供した素材・製品は、炭素繊維「テナックス」製超軽量織物プリプレグ、ポリカーボネート樹脂「パンライト」製樹脂窓、パラ系アラミド繊維「テクノーラ」製プリプレグ、タテ型不織布「V‐Lap」製衝撃吸収シートクッション、超極細ポリエステル繊維「ナノフロント」製グローブ、メタ系アラミド繊維「コーネックス」製ドライビングスーツ、「デルタピーク」製チームウェア。

 このうち、「テナックス」を使用したプリプレグは、帝人がサカイオーベックスと共同開発した成形厚0.06mm、重量60g/㎡という極薄の超軽量織物。これを使用することで、従来にはないCFRPの薄肉化を実現し、超軽量車体の製作を可能にした。

 樹脂窓は帝人が開発したガラスの約200倍という耐衝撃性と、2分の1という軽量性を持つ「パンライト」を使用することで、車体の軽量化と搭乗者の安全性向上に貢献する。

 また、帝人フロンティアが製造・販売する「V‐Lap」製衝撃吸収シートクッションは、反発性や通気性に優れ、車体の軽量化やドライバーの快適性向上に寄与する。

 ソーラーカーのボディの設計、成形加工を支援するのは、帝人子会社のジーエイチクラフト。超軽量の乗物構造技術に基づく独自のデザインや成形加工から、構造物評価に至るまでの全工程を自社内で一貫して手掛けている。

 自動車や航空機などのモビリティ分野の世界的なファーストランナーとして、さまざまなCFRPコンポジット構造体を設計・製作しており、同社は今回も担当者がレース全行程に同行し、チーム一丸で念願の初優勝を目指す。

 帝人グループは今回の革新的ソーラーカーの共同制作を通じて得られた軽量車体の設計・成形加工のノウハウや、ソーラー発電に関する技術を有効活用することにより、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指し、モビリティ分野におけるソリューション開発に注力していく。