帝人 炭素繊維事業、英・研究施設との連携をさらに強化

, , , ,

2020年7月31日

 帝人は30日、ドイツの炭素繊維事業会社「テイジン・カーボン・ヨーロッパ社(TCE)」が、英国「ナショナル・コンポジット・センター(NCC)」のメンバーシップの位置づけをアソシエイトからTier2へとアップグレードしたと発表した。

 TCEはNCCメンバーとして、航空宇宙産業での次世代製造方法の開発プロジェクトを支援しているが、Tier2になることで、NCCがもつより幅広い情報へのアクセスや、プロジェクトへの材料提供の機会を大幅に増やすことなどが可能となる。

 NCCは、業種にかかわらず全ての企業に最先端技術や専門エンジニアを提供している世界規模の研究施設。その一環として、複合材料において価値が高く、持続可能なエンジニアリングソリューションの採用を加速することにフォーカス。最先端のデジタル製造技術をオープンアクセスで提供し、研究レベルから大規模な生産までの技術を駆使した新しい複合材料製品の開発を行っている。

 また、NCCは「iCAPプログラム」の1つとして、高効率かつ低コストを実現して生産量を高めるデジタル自動積層技術に関する開発を推進。自動積層に用いる産業用ロボットを開発することで、航空機の翼の製造プロセスを大幅に短縮することにつながる。この開発は航空機製造に革命を起こす可能性があり、エアバス社が主導する研究開発プログラム「Wing of Tomorrow」を推進する重要な役割を果たしている。

 今後、帝人グループは、TCEを中心に、「Wing of Tomorrow」や様々な航空宇宙プロジェクトに向けて、独自のNCF(多軸織物)や熱硬化性および熱可塑性プリプレグを開発し、NCCとそのパートナーをサポートするとともに、英国の複合材料業界に貢献していく。

 帝人グループは中期経営計画の中で、航空機向け炭素繊維中間材料の展開を「将来の収益源育成(ストラテジックフォーカス)」と位置づけ、幅広く用途開発を推進している。今後、航空機向け炭素繊維製品のマーケットリーダーとして、ソリューション提案力を一層強化し、2030年近傍までに航空機用途で年間9億ドル超の売上を目指す方針だ。