【新社長インタビュー特集】 トップインタビュー

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2020年10月2日

わが国化学産業、コロナ影響拡大で厳しい局面に
トップの方針が重要、経営力で逆境を乗り越える

 わが国化学産業は、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の減速により、厳しい局面を迎えている。日本の4-6月期のGDPは年率ではマイナス28.1%となり、過去最大の落ち込みとなった。各国が経済活動を再開したことで、景気は回復に向かっているが、コロナ感染が再拡大する懸念が払拭できず、先行き不透明な状況にある。企業トップは目指すべき方向をしっかり示し、経営力で逆境を乗り越えていかなければならないだろう。

 コロナ禍により、事業環境も激変している。コモディティの分野では、原油価格の下落を背景に市況の低迷が続いており、高稼働を維持することが課題となっている。またスペシャリティの分野でも、5GやCASEといった成長市場に各社が参入しており、製品の差別化だけでなく価格競争も激化している。各社は生き残りを図るために、生産体制の最適化やコストダウン、またデジタル化への対応など、早急に手を打っていかなければならない。

 一方、環境問題への取り組みも大きなテーマだ。プラスチックごみの削減に社会の関心が集まるなど、サステナブルがキーワードとなっている。各社はプラスチックの有用性やリサイクル性を訴え、社会に対しソリューションを提供していく必要がある。

 今回の「新社長インタビュー特集」では、厳しい経済環境の中、いかに収益基盤を安定させ、将来への成長へとつなげていくか、今年度から就任した新社長の方々に抱負と今後の戦略を聞いた。

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積水化学工業 加藤敬太社長
 ▽業容倍増を目指し、今期は体力強化と経営基盤強化を図る

日鉄ケミカル&マテリアル 榮 敏治社長
 ▽機能材料を大きな柱に、選択と集中で経営資源を有効活用

ダウ・ケミカル日本 桜井恵理子社長
 ▽幅広いポートフォリオとネットワーク、イノベーションに貢献

テクノUMG 山脇一公社長
 ▽統合のシナジー効果を最大化、「飛躍」のステージへ導く

日本ポリエチレン 山田清隆社長
 ▽高付加価値化を推進、再投資できる収益体制を目指す

PSジャパン 室園康博社長
 ▽リーディングカンパニーを堅持、安心と価値を提供

新日本理化  三浦芳樹社長
 ▽マーケットインで、オンリーワンの技術と信用を届ける企業に

 

【新社長特集】テクノUMG 山脇一公社長

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2020年10月2日

統合のシナジー効果を最大化、「飛躍」のステージへ導く

 ━抱負をお聞かせください。

 私は当社の親会社であるJSRに入社以来、前身であるテクノポリマーのキャリアが1番長い。四日市事業所ではABS樹脂の研究開発や製造技術に携わり、さらに2010年までの3年間は本社で企画管理部長を務めるなど、計19年にわたりABS事業に関わってきた。

 また、2018年のテクノUMG設立の際には、統合準備室のメンバーでもあった。こうした経歴からABS事業に大変愛着を持っている。10年ぶりに社長として古巣に戻れたことを喜ばしく思っており、やりがいを感じているところだ。

 ━御社の強みをどう捉えていますか。

 当社は旧テクノポリマーと旧UMG ABSが合併したが、最大の特徴として、両社が得意としていた市場や技術の重なりがほとんどなかったことが挙げられる。もちろん、同じABS事業であることから一部重なる部分はあったが、ほぼ1足す1が2というように市場や顧客を拡大することができた。また、技術面でも、多様な技術が集約されており、

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