DICグループ 放電破壊を防止するフォトマスクを開発

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2020年1月21日

 DICはこのほど、100%子会社のトピックと、静電気による放電破壊を防止するフォトマスク「ESD障害対策クロムフォトマスク」の共同開発に成功したと発表した。トピックは同製品を3月から国内と東南アジア地域の電子部品・半導体市場に投入し、同年の売上高2億円を目指す。

ESD障害対策クロムフォトマスク
ESD障害対策クロムフォトマスク

 フォトマスクは、スマートフォンやタブレットなどの電子デバイスに用いる電子回路基板を製造する際に、電子回路基材に回路を描写する工程で利用される原版。

 フォトマスクの遮光層には、導電性遮光膜(金属クロム)を使用したフォトマスクがあるが、使用中に発生する静電気でパターン間に電位差が生じ、放電して破壊される「ESD障害」を引き起こす可能性がある。

 このESD障害は、露光工程はもとより、工程内でのハンドリング時や搬送時にも発生することが知られている。特に露光方式が、密着露光時やプロキシミティ露光時に、高い電圧が発生する場合が多く、これまでこのESD障害が歩留まり低下の大きな原因となっていた。

ESD障害(イメージ)
ESD障害(イメージ)

 今回開発した「ESD障害対策クロムフォトマスク」は、高精細で高精度のハイスペックなクロムマスクに特殊コーティングを施すことで、電子デバイスメーカーの製造工程での歩留まり向上とESD障害の防止の両立を実現。さらに、クリーンルーム内の異物付着防止や、付着した異物の容易な除去などの効果も期待できる。

 今後、次世代通信規格「5G」の商用サービスが本格的に開始することで、すでに世界的に普及し始めている5G対応の電子デバイスやIoTデバイスの需要が急激に高まることも予測される。

 DICグループは、〝ユニークで社会から信頼されるグローバル企業〟を目指し、社会要請に対応した製品を提供することで顧客の生産性向上に寄与するとともに、デジタル分野の社会変革にも対応した高機能な製品を迅速に社会へ提供していく考えだ。