ナイルワークス ドローン開発で住友化学などから資金調達

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2019年3月18日

 農業用ドローン開発・販売のベンチャー、ナイルワークスは、住友化学、住友商事ら6者を引受先とする総額約16億円の第3者割当増資を実施した。創業以来の累計資金調達額は、約24億円となる。

 ナイルワークスは、「空からの精密農業」をビジョンに掲げ、センチメートル精度で完全自動飛行する農業用ドローンの開発と、ドローンに搭載した専用カメラで作物の生育をリアルタイムで診断し、診断結果に基づいた栽培管理を提案する生育診断クラウドサービスの事業化を推進している。

 昨夏には、全国各地で75回におよぶ実証実験で農作業の省力化を検証し、地域や水稲の品種ごとの生育データをもとに、診断技術の精緻化を行った。また住友商事とともに、VAIO社を委託先とした量産化体制を構築。現在、量産化モデル第1弾である新型機「Nile-T19」の6月からの販売開始に向け準備を進めている。同モデルは、プロペラガードを装着し、通信手段も二重化した作業者の安全性と作業の効率性を高めたもの。

 一方、引受先となった住友化学は、総合化学メーカーとして長年培ってきた確かな技術と、ナイルワークスの先進的な技術を融合させ、農業の大幅な省力化・効率化、農作物の収量と品質の向上を目指す。今後は、農業経営の競争力強化を支援する「トータル・ソリューション・プロバイダー」型ビジネスと精密農業の取り組みをより一層加速させていく考えだ。

 また、住友商事は総合商社として、革新的技術をもつナイルワークスを広くバックアップし、早期事業化を支援する。同時にインターネットイニシアティブ社、農業情報設計社などとも協業し、先端技術を分かりやすく、使いやすい形で生産者へ提供することで、精密農業の普及や農業の活性化を図っていく。

 なお、今回の第三者割当増資の引受先は前述2社のほか、INCJ、クミアイ化学工業、スパークス・グループを運営者とする未来創生2号ファンド、Drone Fund2号となっている。