花王 再利用で新事業、廃PET利用の舗装改質剤を展開

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2021年5月24日

 花王は、豊かな生活文化の実現と社会のサステナビリティへの貢献を目指し、社会インフラ構築に寄与する研究開発に取り組んでいる。その一環として、再利用により新事業を創造する〝ポジティブリサイクル〟の実現に向け、廃PET(廃棄処分されるポリエチレンテレフタレート素材)を原料の一部に使用したアスファルト改質剤「ニュートラック5000」を開発し、昨年12月から展開を始めた。

「ニュートラック 5000」が採用された市道
「ニュートラック 5000」が採用された市道

 同製品は、舗装に対してわずか1%配合することで舗装の耐久性を約5倍に向上させるもので、同社の実験では、配合したアスファルト舗装の強度が増すために、舗装からの粉塵の発生を80%抑える効果も確認している。

 今年1月、ウエルシア薬局が運営する新店舗ウエルシア藤沢用田店(神奈川県藤沢市)の駐車場舗装に初採用され、3月には、自治体として初めて静岡県磐田市への採用が決まり、市道舗装に使われた。同市道は大型トラックの通行量が多く舗装の劣化が顕著だったが、今回「ニュートラック5000」のアスファルト改質効果により舗装の耐久性、耐油性、耐水性が向上することで、修繕回数の低減と舗装ライフサイクルコストの削減が期待されている。

 花王と磐田市は、改修した道路の経年変化を確認しつつ、市内の道路への採用を継続的に進めていく予定だ。近い将来予測されている全自動運転時代では車輪が同じところを通るため、アスファルト舗装の劣化速度が早まると考えられており、今以上に道路の高耐久性が求められてくる。

 同社は今後、この技術をグローバルに展開していくとともに、ヒトへの安心・安全の提供と豊かな持続的社会の実現に向けた取り組みを推進していく考えだ。