BASF PESU樹脂がコーヒーマシンピストンに採用

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2020年12月11日

 BASFはこのほど、ポリエーテルスルホン(PESU)「Ultrason(ウルトラゾーン)E 3010 MR」がデロンギ社(イタリア)の新型コーヒーマシン「マグニフィカS ECAM 22」の抽出ユニットの上部ピストンに採用されたと発表した。

 「ウルトラゾーンE 3010 MR」は180℃までの耐熱性・耐蒸気性と機械的特性、長時間の温度変化に対する寸法安定性に優れ、食品との接触、安全性、加工性と組み立てに関するデロンギ社の厳しい要件を満たした。有害物質を含まず温度に影響されない機械的特性で、コーヒーマシン用のポリエーテルイミド(PEI)などの素材にまさる。

 ピストンはマシンの耐用年数期間中、コーヒー抽出中の高圧・高温蒸気に曝される。「ウルトラゾーンE 3010 MR」はISO規格試験で、134℃の加熱蒸気滅菌を2000回繰り返した後も、機械的特性を維持し、ストレスクラッキングに対する高い耐性も実証された。射出成形グレードは複雑な部品の成形性に特化。BASFのシミュレーションツール「Ultrasim(ウルトラシム)」の金型流動解析により最適な金型を開発し、上部ピストンのような薄肉で長く繊細なねじ部分をもつ複雑な形状の部品を製造できる。流動長の長い製品もボイド無しで充填でき、卓越した機械的特性により、ピストンを抽出ユニットにねじで取り付けられる。

 「ウルトラゾーン」は、PESUの「ウルトラゾーンE」、ポリスルホンの「ウルトラゾーンS」、ポリフェニルスルホンの「ウルトラゾーンP」などスルホン系樹脂製品群の登録商標。電子機器、自動車、航空宇宙産業にとどまらず、ろ過用メンブレンや、温水や食品と接する部品にも使用されている。優れた特性により、熱硬化性樹脂、金属、セラミックの代替として利用することもできるとしている。

 

BASF 超高粘度PESUを上市、膜などの耐久性向上

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2020年10月7日

 BASFはこのほど、ポリエーテルスルホン(PESU)「Ultrason(ウルトラゾーン)E」の超高粘度グレード「E7020P」を日本で上市したと発表した。優れた機械特性を維持しつつ分子量をかつてないレベルに上げたことで、食品・飲料分野、電子工業分野、医薬品分野向けの高耐久性の中空糸膜やフィルターの製造が可能となった。

 PESUは酸やカセイソーダへの高い耐薬品性と機械的強度をもち、高圧などの厳しい環境下での長期間使用が可能。「ウルトラゾーンE7020P」は過熱蒸気への耐性があり、膜やフィルターの洗浄温度を上げ、洗浄頻度を増すことができる。高圧蒸気(134℃)やエチレンオキサイド、ガンマ線による滅菌を繰り返しても、膜の繊細な細孔構造は維持される。

 「ウルトラゾーンE」は、ゲルやオリゴマー含有量の少ない高純度材料で、安定的な膜製造プロセスを確実にする。広いpH値(0~13)でも劣化しない。米国食品医薬品局(FDA)と欧州の食品接触材料の反復使用基準に適合し、飲料水や食品加工用途にも使用可能だ。

 ほかにも「ウルトラゾーンS」(ポリスルホン)、「ウルトラゾーンP」(ポリフェニルスルホン)などのスルホン系樹脂製品があり、水処理膜、温水や食品と接する部品のほか、電子機器、自動車、航空宇宙産業の軽量部品にも使用される。

 「ウルトラゾーン」製品群のその優れた特性で、熱硬化性樹脂、金属、セラミックを代替することを目指している。