【CN技術の社会実装】化学産業、カーボンニュートラルをビジネス機会に転換

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2022年11月18日

革新技術を社会実装、先行投資や環境整備が大きな課題

 ウクライナ侵攻によるエネルギー資源のひっ迫が、カーボンニュートラル(CN)へのシフトを加速させている。次世代エネルギーではグリーン水素に注目が集まり、世界的に大型プロジェクトが計画されている。また資源循環でも、廃プラのケミカルリサイクルやバイオマスを活用した原料など、化石資源からの転換を目指した動きが強まってきた。すでに研究段階から実証段階に移行した技術も出始め、事業化も視野に入っている。日本政府もGI基金事業やGXリーグ構想などを打ち出し、革新技術を社会実装するためのサポートや仕組みづくりを進めている状況だ。

 一方、化学企業にとっては自社の脱炭素化も重要になる。電力やプロセスの見直しには大規模な投資が避けられず、収益成長との両立が大きなテーマとなっている。今回の特集では、CNをいかにビジネスチャンスに転換していくかについて、経産省や川崎市、各企業の取り組みを取材した。

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◇インタビュー◇

経済産業省 製造産業局素材産業課長 吉村一元氏
 ▽化学産業はGXを強力推進、CNに向け炭素循環のプロ集団に

川崎市 臨海部国際戦略部本部 CN推進担当課長 篠原 顕氏
 ▽水素エネルギーと資源循環で脱炭素化、川崎モデルを構築

◇水 素◇サプライチェーンの構築を目指し開発が活発化

旭化成 執行役員 GSP長 植竹伸子氏
 ▽アルカリ水電解装置を大型化、海外市場でポジションを確立

東レ 常任顧問 経営企画室担当 出口雄吉氏
 ▽PEM型水電解装置に貢献、材料のリーディングカンパニーへ

◇各社の取り組み◇

積水化学工業 ESG経営推進部長 西山宏喜氏/担当部長 三浦仁美氏                       
 ▽環境中期計画は前倒しで進捗、次世代の環境技術を社会実装へ                      
  積水化学のCN技術:ペロブスカイト太陽電池/BR技術 

日本ゼオン CN推進室長 泉水慶太氏
 ▽省エネ・技術革新・燃料転換を軸に、「ものづくり」を転換

マイクロ波化学 代表取締役社長 吉野 巌氏
 ▽マイクロ波技術による電力の効率利用で、CN実現に貢献

ちとせグループ 最高経営責任者 藤田朋宏氏
 ▽バイオマス基点のものづくり、藻類事業を拡大し循環社会形成

【カーボンニュートラル特集】マイクロ波化学

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2021年11月12日

代表取締役社長 吉野 巌氏

マイクロ波により、化学産業の製造プロセスに革新を起こす

 電子レンジで使われているマイクロ波(電磁波)は、物質を直接・瞬時に加熱できる、極めて高効率なエネルギー伝達手段。近年では、地球温暖化問題を契機に環境意識が高まっており、CO2削減に貢献できるマイクロ波技術に注目が集まっている。

 2007年に設立されたマイクロ波化学は、化学産業にイノベーションを起こすことをミッションに掲げている。化学産業では外部から加熱してモノを作るプロセスが100年以上変わらずに使われており、マイクロ波技術に転換することでエネルギーの効率化、省エネ、環境負荷の低減が期待できる。カーボンニュートラル(CN)がフォローの風となり大きなビジネスチャンスを迎えている中、吉野巌社長に、これまでの取り組みや今後の展望などを聞いた。

吉野 巌社長

 ━会社の概要をお聞かせください。

 当社は、マイクロ波をキーワードに研究開発を行い、技術プラットフォームを確立した。それをベースに反応系と装置をデザインし、マイクロ波プロセスとして提供している。

 技術の基盤は、物理と化学と化学工学だが、ラボ実験から工場立ち上げまでカバーするため、当社には多様な人材が揃っている。社員約60名のうち、技術系は物理と化学領域のサイエンティストと、エンジニアが半分ずつ在籍している。

 技術の導入・実施にはエンジニアリングが重要であるが、シミュレーションの専門家も必要となる。足元では、多様な案件に適用することで、汎用化に向けた技術プラットフォームのさらなる強化に取り組んでいる段階だ。また、科学的知見も重要となるため、

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