日本ゼオン 蓄電池向けセパレータ用接着剤、採用が拡大

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2021年2月25日

 日本ゼオンは24日、リチウムイオン電池の電極とセパレータを接着させる接着剤「AFL」の本格的な展開を開始したと発表した。

 同社は、正極と負極がセパレータで絶縁されたシート形状を巻き取ってコイル状にした捲回体を一体化する技術の実用化を推進。同接着剤を用いることでパウチ型セルの課題である電極間距離の維持を解決し、蓄電池の長寿命化と低コスト化の実現に貢献していく。

 パウチ型のリチウムイオン電池は、使用を重ねることで残留応力などの影響により電極とセパレータの間に隙間が発生し、正負極間でのリチウムイオンの移動が阻害され、電池寿命に影響が生じる課題があった。同社が販売している接着剤「AFL」は、セパレータに塗布することで電極間距離を維持できることに加え、温度や圧力など任意の条件に合わせた接着が可能でプロセスへの適合性が高いという特長をもつ。

 さらに、「AFL」を適用することで、電池製造プロセスでも多くのメリットがもたらされる。捲回体を熱プレスなどで一体化することで、製造工程内の搬送を高速化させ、また、大型サイズの電池であっても電池容器への挿入が容易になるなど、電池の生産性向上に大きく貢献している。

 普及が進む積層型電池の積層体では、層間のズレや折れなどの発生による歩留まり低下の課題を抱えていたが、「AFL」を使用して層を一体化させることにより、ハンドリングが向上しプロセスの高速化にも役立っている。

 なお、これら成果の詳細については、3月に東京ビッグサイトで開催される展示会「二次電池展(バッテリ―ジャパン)」の講演で発表する予定。ゼオングループは、これからも持続可能な社会の実現に向けて蓄電池産業の発展に寄与していく。

GSユアサ リチウムイオン電池がイプシロンロケットに搭載

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2019年1月24日

 GSユアサはこのほど、グループのジーエス・ユアサ テクノロジー(GYT)製のリチウムイオン電池が、今月18日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が内之浦宇宙空間観測所で打ち上げたイプシロンロケット4号機に採用されたと発表した。

 GYT製の「ロケット共通リチウムイオン電池」はイプシロンロケット4号機の1~3段目に搭載されており、ロケットの制御系機器などに電力を供給する。また同ロケットには、飛翔中のロケットの姿勢制御系機器に必要な電力供給の働きをするGYT製の駆動用熱電池も採用されている。

 ロケット共通リチウムイオン電池はJAXAからの開発要求を受け、IHIエアロスペースとの契約によりGYTが開発したもので、イプシロンロケット初号機から継続して採用されている。

 GYTは特殊用途の電池や電源を開発・製造販売しており、水深6500mの深海から上空3万6000kmの宇宙空間まで、海・陸・空の特殊環境フィールドで、高性能かつ高品質な電池を提供している。

 今後も高性能リチウムイオン電池の開発・製造を通じて、宇宙開発事業へ貢献していく。

 

宇部マクセル セパレーター原膜製造設備の増強を決定

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2018年9月26日

 宇部興産とマクセルホールディングスの合弁会社である宇部マクセルは25日、車載用リチウムイオン電池(LiB)の需要増大に対応するため、セパレーター原膜製造設備の増強を決定したと発表した。

 今回の増強計画は、4月に宇部興産の堺工場に完工した新規設備に続くもので、2020年8月に完工する予定。これにより、宇部興産と宇部マクセルのセパレーター原膜製造能力は、合計3億2000万㎡となる。

 電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、ハイブリッド自動車(HV)の普及拡大に伴い、LiBの基幹部材であるセパレーターの需要も急速な拡大が予想されている。また、定置蓄電用途や産業用途などへの展開も、さらに進むことが見込まれている。

 宇部興産の乾式製法セパレーターは機能と安全性から、車載用LiBですでに多くの採用実績があり、需要増大に対応するため、生産能力の増強を実施している。

 また、宇部マクセルで生産・販売する高機能塗布型セパレーターは、宇部興産のセパレーター原膜とマクセルの高度な分散技術、高速高精度塗布技術との融合により、高信頼性をはじめとする多様な性能を保有し、顧客にその優位性が高く評価され、車載用LiBの国内外市場の伸びとともに、近年、大幅に販売数量を伸ばしている。

 宇部興産とマクセルは、急成長が続くセパレーター市場での競争力をより一層高め、合弁事業をさらに拡大・発展させることを目的として、7月31日に宇部興産のセパレーター事業の宇部マクセルへの移管と、塗布型セパレーターの塗布製造を行う、新会社設立を含む合弁事業の再編について基本合意した。

 今後もセパレーターの需要増大にタイムリーに対応し、拡大基調にある車載用途でのプレゼンスをより強固なものにするため、セパレーター原膜の製造能力を2021年以降に、合計4億㎡へと段階的に引き上げることを検討していく。