三菱ケミカル 遮炎機能をもつ熱可塑性複合材料を開発

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2021年9月22日

 三菱ケミカルは21日、子会社である三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズとともに、遮炎機能と、高い生産性やリサイクル性を併せもつ熱可塑性複合材料(FRTP)を開発したと発表した。

 近年、気候変動対策として、CO2排出削減に向けた取り組みが進む中、モビリティの分野では電動化の動きが加速している。EVに代表される電動モビリティのバッテリーシステムは、搭乗者の安全を確保するための高い遮炎性と、省エネのための軽量化が求められている。従来、難燃機能の付与が比較的容易であり、軽量化を実現できる熱硬化性複合材が使用されてきたが、生産サイクルが長いこと、リサイクル性が低いことが課題となっていた。

 今回の開発品は、同社グループがもつ繊維や樹脂、バッテリーシステムに関する技術とノウハウを結集し、熱可塑性樹脂をベースに繊維や樹脂の組成を工夫することで、強度・剛性や軽量性と加工性、リサイクル特性を同時に達成。加えて難燃機能も向上させ、実験では1000℃以上の火炎を5分以上遮炎することを確認している。現在、一部の顧客との間でサンプルワークを進め、バッテリーパックの外装など用途開拓にも取り組んでいる。

 三菱ケミカルは、多様化・高度化する顧客の要望に応える複数の新製品の開発を進めており、今後も引き続き、最適なソリューションをタイムリーに提供することで、積極的に事業を展開していく考えだ。