WTI価格 OPECプラス減産継続で一段高に

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2021年3月8日

サウジも減産を継続、需給バランスの改善見込む

 世界の原油相場では、産油国の減産継続を背景にWTIが一段高となっている。4日に開催されたOPECプラスの会合では減産幅の維持が決定され、さらに、サウジアラビアが独自に行っている日量100万バレルの減産を2、3月に続き4月も継続すると発表。これにより、同日のWTI価格は前日の終値から2.55ドル上昇の63.83ドル/バレルとなり、昨年1月上旬以来、約14カ月ぶりの高値を記録した。世界経済はコロナ禍による低迷が継続しているものの、各国においてワクチン接種が進んでいることや、景気対策で金融緩和が継続されていることもあり、投資家の買いが強まっている状況だ。

 昨年のWTI価格は、協調減産の混乱やコロナ禍の影響で落ち込んだ4月を底に反転し、10月頃まで40ドル前後で推移。こうした中、コロナワクチンの承認が相次いだことや、OPECプラスが減産幅縮小に合意したことを背景にWTIは上昇基調となり、年明けサウジが単独減産を表明したことで1月6日に50ドルを突破した。

 さらに中東の地政学リスクが高まったことで、2月中旬には60ドル台に到達。その後は、サウジが単独減産を取り止めるとの観測が出たことなどで上値が抑えられていたが、今回の減産継続が市場に大きなインパクトとなり、前日から2.55ドルも高騰する結果となっている。

 今後については、WTIは強含みになるとの見方が強い。減産継続により原油の余剰在庫の消化が進むことで、需給バランスの改善が見込まれる。とはいえ、長期金利が上昇すれば投資家の買いが弱まることに加え、コロナ禍の収束も未だ見通せず再拡大の懸念も拭えない状況。昨年のように急落する可能性は低いものの、この先も原油相場は予断の許さない状況が続きそうだ。

 

WTI価格 OPECプラス減産継続も頭打ちに

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2020年9月2日

需給バランス改善期待も、コロナ影響が懸念材料

 世界の原油相場では、OPECプラスによる減産継続が承認された後も、小幅な値動きが続いている。WTI価格は8月下旬に、世界経済が持ち直してきたことで43ドル台を回復し、コロナ禍の発生や協調減産の混乱で急落して以降の最高値を更新した。しかし、WTI価格を押し上げる要因の1つであったメキシコ湾のハリケーンが通過したことで頭打ちとなり、その後は43ドルを挟む動きで推移している状況だ。

 OPECプラスの減産計画については、先月、協調減産の取り組み状況を点検する監視委員会が開かれ、減産の維持が確認された。5~7月までは日量980万バレルの減産を目指していたが、7月の順守率は95~97%以上と高水準になったもよう。8月~12月は日量770万バレルと減産幅の縮小を予定しているが、10月以降は冬場の暖房需要により需給が悪化しないと見られている。

 とはいえ、原油需要の下振れ懸念は払拭できない。8月に発表されたOPEC月報によれば、2020年の世界石油需要見通しは日量9063万バレルと、前月予想から同9万バレルの下方修正となり、またIEA(国際エネルギー機関)の月報でも2020年の見通しを同9790万バレルとし14万バレル引下げられた。コロナの第2波が世界各地で拡大していることや、航空機などのジェット燃料の需要低迷が続いていることが背景にある。

 一方、2021年の需要についてOPECは、日量9763万バレルと前年比同700万バレルの大幅な回復を想定した。ただコロナの収束を前提としているため、感染次第によっては予測が大きく下振れする可能性もある。さらに、米中対立が先鋭化していることも不安材料。仮に大統領選後も対立が収まらなければ、世界経済を冷え込ませ、原油需要が落ち込むとの指摘も出ている。

 いずれにせよ、様々な要因が絡み合い、原油市場はこの先も予断の許さない状況が続きそうだ。