ランクセス 中空構造向けハイブリッド成形技術を発表

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2021年10月26日

 ランクセスはこのほど、中空構造向けハイブリッド射出成形技術の市場導入を進めていると発表した。

 従来の射出成形機で金属製中空部材をプラスチック材料でオーバーモールドでき、従来技術に比べ高いねじり剛性と強度のプラスチック・金属ハイブリッド構造を作ることができる。自動車産業向けのIPメンバー、ジョイントロッド、スタビライザー、シート芯材などの他、スキーやハイキングのポール、家具や建設業界向け部材の製造にも適用できる。

 薄肉の中空部材を溶融プラスチックでオーバーモールドすると、射出キャビティ内は40~50M㎩超の高圧になり、部材の変形・潰れのリスクがある。今回、同社のシミュレーションツールをベースに開発した新しい計算モデルによる製造プロセス予測により、内側からの部材のサポートなしに射出圧力に耐えるようにプロセスを最適化。また優れた公差管理によって、部材による金型損傷や樹脂漏れを防ぎ、補助ユニットや工具による細工なしで、短いサイクルタイムでの製造が可能となった。

 この計算モデルは金属・プラスチック間の接合品質予測にも適応でき、ハイブリッド中空部材の耐圧性や破損挙動が予測できる。重量比60%のガラス短繊維を含む高強度ポリアミド6製品「デュレタンBKV60H2・0EF DUS060」などを使用したIPメンバーをシミュレーション検証した結果、全スチール製のものと比べて約30%軽量化し、一般的な荷重条件に加え、振動挙動、重力方向に対するステアリングホイールの剛性などのコンポーネント特性も優れていた。

 また、Aピラーの接続部位やステアリングコラム、ダッシュボード、空調ユニット、エアバッグの金属ブラケットなどを直接射出成形することで、機能統合によるコスト削減も期待できる。この中空構造向けハイブリッド技術は高度に進化しており、顧客との様々な開発プロジェクトに取り組む中、いくつかはプロトタイプ製作の段階にあるとしている。