三井化学 丹青社と協業開始、感性価値高めフィルム開発

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2021年5月24日

 三井化学はこのほど、丹青社との協業により、フィルム越しに見える景色を自然な見え方ながら色鮮やかに見せるポリエステルベースのウインドウフィルム「ポジカフィルム」を開発したと発表した。両社は、より豊かな空間体験の提供を目的に協業を開始。三井化学の最先端テクノロジーと丹青社の空間づくりのノウハウを組み合わせることで、感性に着目した共同開発を推進している。

『ポジカフィルム』による視覚効果(イメージ写真)
「ポジカフィルム」による視覚効果(イメージ写真)

 第1弾は、三井化学がメガネレンズ材料分野で培った、より良い視界を追求する「くっきり色素」技術により同製品を開発した。同技術は、可視光の黄色領域を特定の割合で選択的にカットするため、彩度が向上し、黄ばみのない白さを引き立たせる。「ポジカフィルム」を窓に貼ると、青空や海、緑の木々や赤い花などの色を濃く鮮やかに感じたり、青空に浮かんだ雲の白さをより白く感じたりするほか、肌色を血色よく見せる効果などが現れる。

 今後は、リゾートホテルやブライダル施設の窓ガラス、博物館のショーケース、店舗・商業施設のショーウインドウ、オフィスの窓ガラスや照明などへの展開を見込む。三井化学・研究開発本部長の柴田真吾常務執行役員は、「当社グループには多くの素材や技術があるが、これからは機能的価値の追求だけではなく、それらがいかに人々にとっての良い生活やライフスタイルの提供につながるかを提案していくことが重要だ」と話す。

 今回の協業では、三井化学の特定波長カット技術を感性価値に高めた。これを皮切りに「研究開発からスピード感をもって事業開発に繋げていく事例を数多く輩出していきたい」(柴田常務)と協業に期待感を寄せた。

 また、丹青社・企画開発センター企画部の菅波紀宏部長は、三井化学の最先端の化学・素材の力と、丹青社の「こころを動かす空間」づくりの共創を強調する。両社の協業を通じ、利用者の五感に訴えかける新たな体験価値の創出を目指していく考えだ。

 なお、「ポジカフィルム」は、三井化学の100%子会社、三井化学ファインが今年9月からの販売を予定する。