東洋紡 モノマテリアル化したOPPバリアフィルム開発

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2021年3月10日

 東洋紡はこのほど、モノマテリアル(単一素材)の包装材を実現する、高いバリア性をもつ二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム「DP065」を開発したと発表した。今月中旬からサンプル出荷を開始し、4月下旬の販売開始を目指す。

 同開発品は、フィルム1㎡あたり1日(24時間)に透過する水蒸気量(g)を示す水蒸気透過度が2g、また、1気圧下、1㎡あたり1日に透過する酸素量(CC)を表す酸素透過度は2CCと、高いバリア性をもつ。近年、消費者の環境への意識が世界的に高まる中、環境に配慮した製品の需要が増している。一方で、高い品質が要求される食品などの包装材は、PETフィルムやアルミ箔、ポリエチレンフィルムなど、異なる機能をもった複数の素材を貼り合わせて要求性能を満たすことが一般的であるため、リサイクルが困難という課題があった。

 同社が開発した「DP065」は、単一素材で構成しながらも高いバリア性を付与したほか、印刷やラミネート、製袋などに対する優れた加工適性、FDA規制やEU規則など国際的な基準に適合する安全性といった、包装材に求められる様々な機能を併せもつOPPフィルム。モノマテリアルの包材設計が可能となるため、プラスチックの再生利用が容易になるほか、非塩素系材料の使用により、リサイクルや焼却時に有害な塩素系ガスが発生しない特長も備えている。

 同社はこれまでも、シーラント素材などに使われるポリエステルフィルム「オリエステル」を上市し、モノマテリアル化を推進してきた。今後はポリオレフィン素材についても環境に配慮した高機能なフィルム製品のラインアップを拡充し、グローバル市場に展開することで、循環型経済の実現に貢献していく考えだ。