戸田工業 EV向け非接触給電用フェライトシートを製品化

, ,

2020年7月13日

 戸田工業はこのほど、厚膜超大判フレキシブルフェライトシートに関し、量産製造も視野に入れた開発設備を導入し、EV向け非接触給電用途へのサンプルワークを開始したと発表した。

EV向け非接触給電システム用厚膜超大判フレキシブルフェライトシート
EV向け非接触給電システム用厚膜超大判フレキシブルフェライトシート

 同社は、長年培った酸化鉄・フェライト技術で、フレキシブルフェライトシートの特許・製造ノウハウを保有。スマートフォン搭載のNFCアンテナ用フレキシブルフェライトシートのパイオニアとして、2006年から本格量産を開始、17年からは同用途の非接触給電用フレキシブルフェライトシートの本格量産を開始した。現在は大竹事業所(広島県大竹市)をマザー工場に、グループ企業や提携企業を含め世界最大規模の供給能力を持つ。

 近年はEV向けにも非接触給電の採用が進み、方式も世界的に固まりつつある中、EVの出荷台数増加を背景に、非接触給電システムの開発・製品化が加速している。EV用の大電力送受信には、フェライト材料の一層の高性能化と大型・厚膜化が必要であり、韓国子会社・TODA ISUのMn‐Zn系フェライトと、日本のフレキシブルフェライトシートの開発・製造ノウハウの融合を目指している。

 フェライトはセラミックスのため、振動による割れや欠けが課題となり、EⅤ用に通常使用されるプレス成形のフェライトではアンテナコイル用の大判化が困難といった問題がある。

スマートフォン用薄膜フレキシブルフェライトシート
スマートフォン用薄膜フレキシブルフェライトシート

 戸田工業のシート成膜技術によるフレキシブルフェライトシートは耐衝撃性が高く超大判も製造可能。現在20cm×10cm(フェライト厚み1~2mm)シートのサンプルワークを開始し、今後20cm×30cm(同1~4mm)の製造を目指している。EV向け非接触給電システムのインフラが整備されて市場が拡大すると予測される2025年を目標に、年間100万台規模の供給能力を構築し、事業拡大を図る考えだ。