【化学企業 入社式訓示①】三菱ケミカル 和賀昌之社長

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2021年4月2日

 21世紀はまさに「化学の時代」だ。人工知能、IoT、自動運転といったデジタル技術を作り出すに至った社会、そしてデジタル技術そのものも、化学産業なしでは存在しえない。一方で、気候変動、環境汚染などにより、地球は悲鳴を上げているが、こうした地球規模の課題を解決できるのも化学産業であり、当社だ。

 当社は社会インフラを支える汎用プラスチックや化学品、繊維を提供してきたが、生分解性プラや植物由来プラ、炭素繊維といった軽量素材によるエネルギー浪費抑制、人工光合成などにより、これまで途中で止まっていた資源の循環を完結させ、サステナビリティを推進する製品群の開発、商品化を進めている。

 当社は三菱ケミカルホールディングスグループの一員として、「人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくこと」すなわち「KAITEKI」を実現するというビジョンを共有し、技術、営業、R&Dなど様々な機能、レベルで積極的な交流を行い「協奏」の実現を目指していく。皆さんも三菱ケミカルホールディングスグループの一員なのだという意識を常に忘れず、同じ理念を共有する仲間と積極的に協奏して、仕事に取り組んでほしい。

 入社にあたって3つのことをお願いしたい。まず、「安全第一」だ。「安全・安定操業」こそが、最大の目標だ。「第一」の言葉通り、安全はすべてに優先するので、研修や実習を通してしっかり学んでほしい。

 次に「学ぶ根気、発言する勇気」だ。自分の意志をもって調べ、習い、貪欲に視野を広げてほしい。根気よく学び、勇気をもって発言することで組織は動く。鋭い感性を生かすために、意見を言う勇気を鍛えてほしい。

 最後に、「大人としての自覚」だ。良識と常識をもつ大人として、挨拶、感謝、謝罪ができて、他人を敬うことができる社会人になってほしい。皆さんの持てる力を思う存分に発揮して、三菱ケミカルの変革を進め、世界のエクセレントカンパニーにしていこう。

 

《化学企業トップ年頭所感》三菱ケミカル 和賀昌之社長

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2021年1月7日

 2020年はまさしくコロナ禍の年となったが、当社グループとして人々の生活を直接的に支える製品を社会に提供することができた。人、社会、地球が抱える様々な課題に正面から向き合い、世の中に必要とされる素材を提供し、社会に貢献し続けるという当社グループの信念に変わりはない。

 また、経営効率向上のために、一部事業を縮小する反面、成長分野についてはM&Aなどによる強化を行っている。変わりゆく事業環境に適応し、着実に成長していくために、安全第一とコンプライアンスの徹底を基盤とし、「安全・安定操業」、「収益力の強化」、「真のグローバル化」および「営業改革」を推進する施策に、本年も引き続き取り組んでいく考えだ。

 人事制度については、「従業員と選び選ばれる関係」を実現するため、新しい制度を実施することとした。「Pay for job,Pay for performance」を基本方針に、挑戦する風土醸成、公正な評価・処遇、社員一人ひとりの自律、透明性の高い人事制度の実現を目指した制度変更を進めていく。

 本年4月には大幅な組織改正を実施し、事業部門を製品や市場分野といった軸で集約を行い、共通部門についても、より大きな単位の組織として再編する。組織の壁を取り払い、近い分野の人の交流が増えることで、シナジーを推進し、ソリューションの質を向上することが狙いだ。また、権限委譲を進めることで、アクションや判断の速度アップと、より柔軟な資源投入を図っていきたい。

 一方、菅総理が所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と述べ、日本でもカーボンニュートラルへ向かって大きく舵が切られた。総合化学としての引き出しを活用して、地球を救うための技術を社会に提供していくことが、当社グループの使命だと考えている。昨年4月にサーキュラーエコノミー推進部を新設し、グローバルな視点でサーキュラーエコノミーに資する事業・製品・サービス全ての課題整理、ソリューションの提案を進めてきた。地球の限りある資源の循環、有効利用という観点で、素材産業が目指していくべきビジネスモデルについて産学連携の共同研究も開始している。本年も、循環型社会の実現を目指して、社会全体に総合化学として価値を提供する活動を加速させていく。

【2020年 夏季特集】 三菱ケミカル代表取締役社長 和賀昌之氏

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2020年8月10日

循環型経済の実現に向け、共同歩調で取り組み加速

 ━2019年度の振り返りと20年度の見通しについて

 三菱ケミカル 和賀氏2019年度の上期はそれほど悪くはなかったが、下期に入り、景気全般が失速し始めた印象だ。米中経済摩擦でモノの動きが減速していったことに加え、年明けあたりからは新型コロナウイルス感染拡大による影響が出てきた。日本への影響はまだそれほどではなかったが、最初に中国がロックダウンに入ったことで、経済環境が一気に厳しくなった。一言で言えばダウントレンドをコロナが加速させたと言える。

 今年度については、少なくともV字回復はないと見ているが、見通すことは非常に難しい。主要マーケットである自動車産業を含めて、今後の生産が見通せない状況だ。各国のGDP(国内総生産)がこれほどまでに落ち込む中、

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【化学企業 入社式訓示②】三菱ケミカル 和賀昌之社長

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2020年4月3日

 21世紀はまさに「化学の時代」だ。化学産業を含めた技術の発展は社会の繁栄に大きく貢献してきたが、その素晴らしい作用に対して、地球温暖化や海洋プラスチック問題のような反作用が実体化している。こうした地球規模の問題を解決できるのは化学産業だと考えている。

 当社は、社会インフラを支える素材、機能性の高い製品群に加えて、生分解性プラスチックや人工光合成などのサステナビリティを推進する製品・技術の開発を進めている。また、本日から「サーキュラーエコノミー(循環型経済)推進部」を新設し、自らの環境負荷低減にとどまらず、これまでの取り組みをソリューションとして加速していく。この活動を進めていくことは当社の使命であり、誇りであると私は考えている。

 三菱ケミカルホールディングスは、「人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくこと」すなわち「KAITEKI」を実現するというビジョンを掲げており、当社も三菱ケミカルHDグループの事業会社として、グループ内の相乗効果を追求し、技術・営業・RDなど、様々な切り口で積極的な交流を図っている。皆さんも、三菱ケミカルHDグループの一員という意識も持って仕事に取り組んでほしい。

 入社にあたって次の3つをお願いしたい。まず、「安全第一」だ。「安全・安定操業」こそが、最大の目標だ。「第一」の言葉通り、安全はすべてに優先する。研修や実習を通してしっかり学んでほしい。

 次に「学ぶ根気、発言する勇気」だ。学ぶということは、自分の意思を持って調べ、習うことであり、若いうちに貪欲に視野を広げてもらいたい。若い感性を生かし、勇気をもって発言することで組織を動かしていってほしいと思う。

 最後に、「大人としての自覚」だ。「コンプライアンス」という言葉は難しいことではない。法律や秩序、ルールを守り、良識と常識がある大人として、挨拶・感謝・謝罪をきちんと表現できる社会人になってもらいたい。

 三菱ケミカルは若い力を必要としており、皆さんによって変えていける点がいくつもある。皆さんの持てる力を思う存分に発揮して、三菱ケミカルを化学の力によって世の中にソリューションを提供する世界のエクセレントカンパニーにしていこう。

《化学企業トップ年頭所感》三菱ケミカル 和賀昌之社長

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2020年1月8日

 昨年は、吉野博士のノーベル化学賞受賞、量子コンピューティングの革新的な成果報告といった次世代を切り開くイノベーションに注目が集まった一方で、ブレグジットや米中貿易摩擦、中東や北朝鮮の問題に加えて日韓関係の悪化などもあり、世界経済の諸問題はほとんど改善されることなく先行きが不透明なまま継続した1年だった。

 AIやIoT、再生医療などの科学技術は想像を絶するスピードで進化し続けており、他方で気候変動、資源の枯渇、廃プラスチック問題などの諸課題への対応も不可欠となっている。私たちを取り巻く事業環境は硬直と変化の複雑な模様を織りなしているが、人・社会・地球が抱える様々な課題に正面から向き合い、世の中に必要とされる素材を提供し、社会に貢献し続けるという三菱ケミカルグループの信念は変わっていない。

 着実に成長し続けるため、安全第一とコンプライアンスの徹底を基盤とし、変化し続ける外部要因に対応することに加えて、内包する問題を解決し、私たちの強みを生かした体制を構築していくことが喫緊の課題である。

 現在当社グループでは、「安全・安定操業」「収益力の強化」「真のグローバル化」および「営業改革」を推進する、様々な施策に取り組んでいる。これら各施策を独立したものではなく、一連のパッケージとして実施することで当社グループの持続的な成長にさらに大きな効果があると理解いただき、積極的な協力をお願いしたい。

 昨年は、成長戦略推進のために事業売却や買収によるポートフォリオ最適化を進めつつ、複数の設備投資を決断して収益力の強化を図った。6月には「三菱ケミカルは決めました」と題した30の宣言を発信し、多様な人材が生き生きと活力高く働ける現場・会社を従業員のみなさんと作り上げていくための方向性を明確にした。

 各宣言については、事業所のトイレ改革「爽快プロジェクト」や、危険な作業と重負荷作業を削減する「心身に負担の大きい作業削減プロジェクト」など、具体的な投資も進めており、テレワークの推進などではすでに大きな実績が上がっている。「営業改革」については、昨年4月に設置した営業改革推進室による検討を踏まえ、これまでの営業の在り方を見直し、よりきめ細やかな顧客対応を実現しうる体制を構築するための具体的な取り組みを本年より進めていく。

【2019年 夏季特集】 三菱ケミカル代表取締役社長 和賀昌之氏

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2019年8月9日

 安全が第一、安全・安心を担保できない事業はやめる覚悟

 ━昨年度の振り返りと、今年度の見通しについて。

 三菱ケミカル和賀社長 TOP 昨年の前半は、米中の貿易摩擦や中国での環境規制の問題、海洋プラスチック問題などと、さまざまな外部の不安要因はあったものの、化学業界にとっては良い状況が続いていた。しかし後半、10月ぐらいから完全に潮の流れが変わった。市況が下がり始め、一時的な調整局面かと見ていたが、年が明けたらモノの動きがピタッと止まった。その後は3月、4月と少しずつ回復の動きが出てきており、足下の値動きも全般的にそれほど悪くはない。

 振り返ってみると、

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【化学企業 入社式訓示②】三菱ケミカル 和賀昌之社長

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2019年4月3日

 入社おめでとう。新たな若い力を迎えることができ、大変うれしく思う。21世紀は「化学の時代」。人工知能・IoT・自動運転と、技術革新の波が押し寄せる一方、環境問題・気候変動など地球が悲鳴を上げている今こそ、化学の力でソリューションを提供することが求められており、それができるのが当社だ。

 われわれは民間企業なので、高収益を目指すことは当然だが、利益率という点では、世界の競合他社と比べて見劣りがする。国内の人口減少と少子高齢化が迫っている中、当社が今後も成長していくためには、世界を舞台にビジネス展開し、かつ変わり続けなければならない。皆さんは会社を変えるために、本日、ここに集まったのだと自覚していただきたい。

 三菱ケミカルホールディングスは「人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくこと」、すなわち「KAITEKI」を実現するというビジョンを掲げており、当社も三菱ケミカルホールディングスグループの事業会社として、グループ内の相乗効果を追求し、技術・営業・RDなど、さまざまな切り口で積極的な交流を図っている。皆さんも三菱ケミカルホールディングスグループの一員という意識も持って仕事に取り組んでもらいたい。

 入社にあたっては、「安全・安定操業」こそが最大の目標であり、ルールを守り安全の重要性を最初に学んでほしい。自分の意思をもって調べ、習い、貪欲に視野を広げてほしい。また、組織を動かすために勇気をもって発言してほしい。鋭い感性を生かすために、まずは意見を言う勇気を鍛えてほしい。

 「コンプライアンス」という言葉は、何も難しいものではない。良識と常識を有した大人として、あいさつ・感謝・謝罪をきちんと表現できる社会人になってほしい。

 皆さんの若い力を思う存分に発揮して、三菱ケミカルを化学の力で世の中にソリューションを提供する世界のエクセレントカンパニーにしていこうではないか。ぜひ一緒に頑張ろう。

 

《化学企業トップ年頭所感》 三菱ケミカル 和賀昌之社長

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2019年1月9日

 2019年の展望だが、米中貿易摩擦、Brexitの行方、中東や北朝鮮問題など、世界情勢は依然として先行きが不透明な状況が続いている。また、AI、IoT、ロボティクス、再生医療、遺伝子工学などの科学技術が日進月歩のスピードで進化を遂げている一方、気候変動、資源の枯渇、水・食糧の偏在や、海洋プラスチック問題等の諸課題への対応も不可欠である。

 私たちを取り巻く事業環境は絶えず変化していくが、人、社会、地球が抱える課題に正面から向き合い、社会に貢献し続けるという当社グループの信念は変わらない。いかなる変化にも、着実に対応することのできる体制を構築することが重要である。社長就任時には4つの重要事項を掲げた。

 その進捗についてだが、①安全・安定操業では、危険作業や身体的負荷の大きい作業に関して皆さんから頂いた2000件を超える提案について、一つひとつ検討し、AIなどを活用した機械化や作業負荷の低減等に取り組んでいる。皆さんは改めて「安全第一」を肝に銘じてほしい。

 ②収益力の強化では、KAITEKI健康経営、働き方改革、デジタルトランスフォーメーションといった名の下に注力する各種施策について、持続的成長のために行う一連のパッケージであると理解し、そのすべてに真摯に取り組めば、自ずと収益力の向上に結び付くと考えている。

 ③真のグローバル化では、4月から、外国人従業員を日本に招く研修プログラム「Experience Japan」を開始する。帰国した参加者や受け入れた日本人従業員を起点に情報共有することで、「双方向」のグローバル化を深めたい。欧米で先行する「One MCC」というブランディング活動も拡充しており、引き続き一体感の強化に取り組んでいく。

 ④営業改革では、最新のビジネスツールを活用して営業のやり方を見直すとともに、戦略的に重要な顧客との関係強化に向けた取り組みを開始した。今後は深化した顧客との信頼関係をもとに、新たなビジネスの更なる拡大に繋げていきたい。営業担当ではない従業員も、営業改革を働き方改革の一例として捉えていただきたい。事業所のトイレ改革を始め、働きやすい職場環境作りにも取り組んでいる。研究所についても、最先端の設備、環境を整えていく。

【2018年 夏季特集】 三菱ケミカル代表取締役社長  和賀昌之氏

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2018年8月9日

働き方改革に向けた〝危険作業の棚卸し〟と、面で捉える情報

 ━ 米中の貿易摩擦をはじめ、世界情勢について。

 米中の政策そのものについて、われわれがどうこうすることはできず、業界全体の流れが変わるような有効な手立てが直ちに見つかるわけでもないので、注視しているというのが正直なところだ。

 もちろん報復措置の応酬になると、全世界のトレードバランスが変わってくるので、非常に大きなインパクトがあると思っている。化学業界は昨年から全体的には順調な風が吹いている中で、トレードバランスが変わっていくというのは、決して好ましい状況ではない。

 ━ 世界のサプライチェーンに及ぼす影響は。

 われわれ化学産業というのは、「材」の提供だから、ものの動きが重要になってくる。たとえば、顧客である

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