中外製薬 アジア国際共同研究「A‐TRAIN」に参画

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2021年12月28日

 中外製薬は27日、国立がん研究センターと共同研究契約を締結し、同センター中央病院が中心となって進めるアジア多施設共同前向き研究「A‐TRAIN(エー・トレイン)」に参画したと発表した。

 エー・トレインは、アジアでの発生頻度が高い6種類の難治がん(子宮頸がん、卵巣明細胞がん、卵巣がん、上咽頭がん、子宮体がん、トリプルネガティブ乳がん)に対して、リキッドバイオプシー検査による遺伝子解析および臨床情報を合わせたデータベースを構築・解析する国際共同研究。同研究を通じ、治療標的となりうる遺伝子異常の特定や治験の実施につなげることで、アジア地域に多い難治がんに対する個別化医療の基盤構築および治療薬の研究開発を推進することを目指す。

 共同研究で中外製薬は、ロシュ社と協働の上、卵巣がんコホートにおける遺伝子解析検査として、血液を用いたリキッドバイオプシー検査である「FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル」を提供する。

 奥田修社長CEOは「アジア諸国におけるがんの問題は深刻さを増しており、質の高いがん治療の実現は重要な課題だ。今回研究が、この地域におけるがん個別化医療の基盤構築および研究開発の推進につながることを期待している」と述べている。

富士フイルムなど 新たながん免疫療法の共同研究を開始

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2019年4月3日

 富士フイルムと国立がん研究センターはこのほど、新たながん免疫療法の共同研究を開始したと発表した。今回の共同研究では、ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)技術の1つであるリポソーム製剤を用いて、新たながん免疫療法の創出を目指す。

 リポソームは、細胞膜や生体膜の構成成分である有機物のリン脂質をカプセル状にした微粒子で、富士フイルム独自の設計により、がん組織の未成熟な血管壁の隙間を透過し、薬剤をがん組織に集積させ、副作用を抑制して薬効を高めることができると期待されている。

 がん免疫療法は、生体のもつ免疫機能を高めてがん細胞を排除する治療法。延命効果や症状の緩和が期待できることから、外科療法、化学療法、放射線療法に続く治療法として注目度がますます高まっている。現在、免疫チェックポイント阻害剤を用いたがん免疫療法が行われているが、一部の患者でしか効果がみられないといった課題がある。

 両者は今回の共同研究を通し、富士フイルムが研究開発を進めている既存抗がん剤を内包したリポソーム製剤「FF-10832」「FF-10850」と免疫チェックポイント阻害剤との併用投与でみられた生存期間延長のメカニズムを解明する。

 具体的には、富士フイルムのリポソーム製剤に関する高度な技術・ノウハウと、国立がん研究センターがもつ、最先端の免疫細胞の解析技術、動物モデルや臨床検体を用いた研究のノウハウなどを組み合わせて、リポソーム製剤が免疫細胞に及ぼす作用を明らかにし、生存期間延長との関係性を解明していく。

 さらに解明内容をもとに、がん免疫療法に必要なリポソーム製剤の要件を見いだし、がんに対する免疫応答を制御する細胞を標的とした新たながん免疫療法を開発し、臨床展開することを目指す。