JSR ポリマー型抗菌成分、糸・不織布で性能を確認

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2021年11月8日

ポリマー型抗菌成分添加の糸と不織布

 JSRは5日、国立感染症研究所と共同開発した薬剤耐性菌に効果を発現するポリマー型抗菌成分を、糸および不織布に添加し抗菌性能を確認したと発表した。

 作製した糸および不織布は、黄色ブドウ球菌と大腸菌を99.9%以上低減。さらに糸では新型コロナウイルスとネココロナウイルスに対して99%以上のウイルスの数を低減させる効果が認められた。

 ポリマー型抗菌成分は、高い耐熱性と両親媒性による樹脂との良好な相溶性がある。そのため、既存の加工プロセスを用いて、ポリプロピレン(PP)のマルチフィラメントによる紡糸、メルトブローン法による不織布、溶融押出法によるフィルムの作製が可能。

 また、既存の汎用プラスチック(PP、ABS樹脂、ブタジエンゴム、アクリル樹脂、ポリウレタン、3Dプリンター用樹脂)を製造する際に使用する添加剤として活用することもできるため、医療現場における院内感染抑制や在宅医療や介護現場での衛生状態の向上に貢献することが期待される。

 同社は今後、ポリマー型抗菌成分が含まれる汎用プラスチックのSIAA「抗菌マーク」の取得に向けた申請を予定している。

ダイセル こんにゃくセラミド構造、高い体内吸収性確認

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2021年5月6日

 ダイセルはこのほど、同社の機能性食品素材である「こんにゃくセラミド」の植物性スフィンゴイド塩基が体内への高い吸収性を示す研究成果を得たと発表した。同社と北海道大学は、2016年4月に同学内の「次世代物質生命科学研究センター」内に共同で設置した産業創出講座を中心に、「こんにゃくセラミド」がもつアルツハイマー病予防効果に関する研究に取り組んできた。

 そして、今回、北海道大学、国立感染症研究所、岩手大学と共同で実施した機能性食品として利用可能な非哺乳類型スフィンゴイド塩基の種類による代謝吸収率の違いに関する研究において、ラットに経胃投与した際、小腸からリンパ液への吸収性は「こんにゃくセラミド」の主要構造である植物性スフィンゴイド塩基が最も高いことを確認した。この成果から「こんにゃくセラミド」を摂取した場合も同様に高い吸収率が期待できる。なお、この研究成果は、3月公開の「Lipids in Health and Disease」誌に掲載された。

 ダイセルは2002年から「こんにゃくセラミド(こんにゃく芋粉抽出物)」を、食品素材として健康食品メーカーや化粧品メーカーなどに販売している。今後も、人々の「美と健康」に貢献する健康食品素材の開発を進めていく考えだ。

 

 

デンカ コロナウイルスの簡易検査キット開発状況を報告

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2020年3月26日

 デンカはこのほど、連結子会社であるデンカ生研が、国立感染症研究所と新型コロナウイルス感染症の診断法開発に関する共同研究契約を締結したと発表した。AMED(日本医療研究開発機構)の研究班への参画を通じて必要な抗体と抗原を国立感染症研究所より分与を受け、イムノクロマト法による簡易検査キットの開発を進めている。

 通常、簡易検査キットの製造販売承認取得までには最短で1年半から2年かかるが、同社は開発を早めるために関係官庁や公的機関、国内外の研究機関の協力と支援を仰ぎながら、2~3カ月内に試作品を完成させ評価し、体外診断薬の国内薬事承認を取得することを前提に、今後1年以内に最大1日10万検査分の量産体制構築を目指していく。

 さらに、さまざまな医療現場の検査ニーズに応えるために、ELISA法や遺伝子診断法を含め、イムノクロマト法による抗原検出以外の診断方法も同時に検討を進めている。

 同社が昨年9月に、株式を33.4%取得した台湾プレックスバイオ社では、新型コロナウイルスとその他の呼吸器感染症関連ウイルスの有無を同時に測定する検出法を開発中。すでに試作品が完成し、今後台湾で実用化に向けた検証を行うとともに、日本での展開も検討していく考えだ。