NEDO トンネル掘削作業で自動火薬装填システム開発

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2023年9月22日

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)はこのほど、慶應義塾大学の野崎貴裕准教授らの研究グループと大林組が、遠隔で力触覚を再現する技術「リアルハプティクス」を応用し、危険が伴う山岳トンネルの掘削面(切羽)直下での火薬の装填・結線作業を遠隔化・自動化するシステムの開発に取り組み、今回、自動火薬装填システムの開発に成功したと発表した。

自動火薬装填・結線システムイメージ

 山岳トンネル工事に

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ENEOS 生分解性グリースを発売、エコマーク認定を取得

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2020年9月24日

 ENEOSはこのほど、大林組と共同開発した、生分解性をもつシールドマシン用のテールシールグリース「シールノックBD」を発売すると発表した。一般商品として10月から発売を開始する。

 都市部の地下鉄やリニア新幹線、また海底などのトンネル工事では、地上の建築物や地中の埋設物に影響を与えることなく大深度を掘削でき、同時にトンネル本体を施工するシールド工法が採用されている。同工法では、施工中にトンネル内に地下水や土砂が入らないよう、シールドマシンとトンネル本体外壁の隙間にグリース(テールシールグリース)を充填するが、トンネル本体外壁と地山間に留まり、地下水に触れることで地中に拡散されるといった課題があった。

 今回開発した「シールノックBD」は、微生物により成分が分解される生分解性をもつため、土壌汚染や地下水汚染などの環境負荷低減への貢献が可能。地球環境に優しいことが評価され、テールシールグリースとして初めてエコマーク商品として登録されている。また、トンネル工事の安全性を確保するために、これまで商品化してきたテールシールグリースの高い止水性能を維持したまま、生分解性付与に加え、圧送性能を向上させることにも成功した。

 ENEOSは、グループ行動基準の1つに「価値ある商品・サービスの提供」を掲げる。今後も、環境に配慮した商品の開発・提供を通じて、顧客の満足と信頼獲得に努めていく考えだ。

シールノックBDの外観と荷姿
シールノックBDの外観と荷姿

NEDOなど 高効率低負荷の水素専焼ガスタービン成功

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2020年8月26日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と川崎重工業、大林組はこのほど、「水素社会構築技術開発事業」で川崎重工が開発した「マイクロミックス燃焼」技術を使ったドライ低NOx水素専焼ガスタービンの技術実証試験に、世界で初めて成功した。

 ドライ燃焼方式は従来式よりも発電効率が高く、NOx排出量も低減できる。水素はガスタービン発電や燃料電池など、CO2を排出しない究極のクリーンエネルギーとして将来の中心的役割が期待されている。

 同事業は水素社会の実現に向け2017~18年度に神戸市や関西電力などの協力で「水噴射方式」の水素ガスタービンを実証試験し、世界で初めて神戸市ポートアイランド市街地への水素専焼の熱電併給を達成した。

 「水噴射方式」は局所的な高温燃焼によるNOx発生を抑える技術だが、水の蒸発により発電効率が低下。一方「ドライ燃焼方式」は発電効率が高くNOx排出量も少ないが、水素の高速燃焼による火炎逆流があり、燃焼の安定化が課題であった。

 今回、川崎重工は微小な水素火炎による燃焼技術「マイクロミックス燃焼」を使ったドライ低NOx水素専焼ガスタービンを開発。排熱回収ボイラを組み合わせたコジェネレーションシステムで、約1100kWの電力と約2800kWの熱エネルギー(蒸気・温水)を周辺の公共施設へ供給。今年度末まで、断続的な実証運転により水素発電の安定運用と発電効率、環境負荷低減効果などを検証する。

 今秋からは大林組により、燃料「水素」と地域の「熱」「電気」利用を総合管理し、経済・環境的に最適制御する統合型エネルギーマネジメントシステムを実証し、事業性評価を行う。また大林組は大阪大学、関西大学と共同で、液化水素の冷熱の活用を検討する。

 ガスタービン用の水素は、マイナス253℃(1気圧)の液化水素を蒸発器で気化させて得るが、その冷熱により蒸発器に着霜するため、除霜を行う運転停止が必要だった。プロパンガスなどの中間熱媒体で液化水素の冷熱を取り出すと着霜が回避でき、連続運転が可能となる。さらにこの冷熱でガスタービンの吸気を冷却すると、発電効率も上がる。こうした液化水素の冷熱の活用で、システム全体の効率化を図る。

 NEDOと川崎重工、大林組は、水素社会の実現に向け、地域コミュニティーでの効率的エネルギー利用につながるエネルギー供給システムの確立を目指し、本事業を着実に実施していく。

ドライ低NOx水素専焼ガスタービンの実証試験プラント
ドライ低NOx水素専焼ガスタービンの実証試験プラント

大林組 地熱発電で水素製造、実証プラントの建設に着手

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2020年7月15日

 大林組はこのほど、大分県玖珠郡九重町に、地熱発電実証プラント(250kW)と水素製造実証プラント(10N㎥/h)を建設すると発表した。地熱発電電力で作るCO2フリー水素を、様々な需要先へ供給する一連のプロセスを実証する日本初の試みで、大分地熱開発(大分市)の協力で進める。実証プラントの稼働開始は、来年7月の予定。

 同社は太陽光、バイオマス、風力など再生可能エネルギーの利用拡大に取り組んできた。地熱発電は安定供給可能な優れたエネルギー源だが、発電場所は山間部のため送電網の容量が不十分であること、開発期間が長く固定価格買い取り制度の適用が困難といった課題から事業化が遅れている。

 一方、水素は利用時のCO2排出はなく、大容量貯蔵が可能。特に再生可能エネルギーを利用した水電気分解によるCO2フリー水素は、環境負荷低減やエネルギー自給率改善への貢献が大きい。そこで今回、地熱発電電力で作った水素を工場などへ陸送するスキームを実証することとした。 同社ニュージーランドの地熱発電電力・CO2フリー水素サプライチェーン構築の社会実装研究の知見も生かし、地熱発電候補地の選定・調査、発電所建設、水素の製造と供給に至る一連の事業化プロセスを検討する。

 実証では、低温・低圧蒸気でも発電効率の高いバイナリー発電機を使った発電プラントの設計、建設、性能検証を行う。水素製造プラントでは、複数運転モード(水素製造量最大、同製造単価最小、地熱電力比率最大)のエネルギーマネージメントシステムで水素製造の最適化検証を行う。また、GPS端末で水素搬送車両の運行状況を把握し、プラントを効率よく連続運転する制御機能もある。

 実証プラントで製造したCO2フリー水素は、地元工場で燃料電池フォークリフトなどに利用する。また、研究パートナーを広く募り、地熱発電電力や水素の活用方法を検討し、地域住民をはじめ広く再生エネルギーの利用や水素社会の到来を体感できるよう取り組む。

 大林組は今後も、再生可能エネルギーによるCO2フリー水素の製造・輸送・貯蔵・供給のサプライチェーン全体に取り組み、環境や社会の課題解決に向けた活動を進めていく。